• ★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(下) 2019年01月08日

    by  • January 9, 2019 • 日文文章 • 1 Comment

    日中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売しました;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     2018年、中国が米国を失った大きな背景には、グローバリズムの逆流があります。グローバリズムは、価値の多元化、対共産主義(社会主義)、各宗教の過激な勢力に対し許容度がかなり高く、かつグローバリズムがその他のイデオロギーに対して極めて強い指導作用を持っていると信じています。「パンダ派(親中国派)」の主流派は、基本的に全てグローバリズム主義者です。彼らの誘導下での中国民主化実現を信じていました。これが中国がグローバリズムで最大の利益者になれた理由です。

     ★「フーバー報告」;パンダ派、面子を保って退場へ

     まず、簡単にパンダ派と中国のハネムーン時期が終わった象徴的な事件を簡単に紹介します。

     ワシントン政界の巨大なプレッシャーの下で、2018年11月29日、スタンフォード大学フーバー研究所と、米国アジア協会米中関係センター、アーネンバーグ・エステート•サニーランド信託が、ワシントンで共同発表したのが「中国の米国の利益に対する影響 — 建設的警戒の推進」報告(フーバー報告)です。

     これには、数十名の中国研究の学者らが参加し、中国の米国大学、シンクタンク、メディア、華僑界、企業、科学研究機関などへの、浸透ぶりと影響について書かれています。これまでの米国の中国研究界が、中国に対する判断を誤っていたことを認め、中国が、米国の開放的社会制度を利用して、大挙して米国政府、大学、シンクタンク、メディア、企業、二世社会を操って、米国の中国批判や、台湾支援阻止を狙ったと指摘しています。
     
     報告は、正常な外交でも、ソフトパワーとして、招聘計画や文化教育交流、政府によるロビイング活動などは多くの国家がやっているが、中国の其の種の活動は、資金投入の規模、深い浸透ぶりに対して、より厳重な審査が必要だとしています。また、「中共は、活動において、更に組織的に活動し、米国の生活の多元的な構造に、更に広範な、長期的影響を与えている」と警告しています。

     報告には、中国の合法的なロビイング活動から、「背後で行われる、強制的、腐敗的な活動」など一連の活動の例が挙げられています。例えば、留学先の学校における中国人学生たちの動向を報告するように、留学生に圧力をかけるなどです。

     報告は22ページを費やして、中国が米国国内のメディアに対する支配ぶりを明らかにし、中共がいかにその海外のメディアを操作しているか、「中国的特色」社会主義を支援し、中共の「改革開放」政策を推進し、「覇権主義(米国の)」に反対させているかも取り上げています。報告の結論は、「言い換えれば、彼らが反対しているのは西側のイデオロギーである」です。私のまだ出版していない中国の対外宣伝に関する研究報告の内容も、大幅に引用されています。

     注目に値するのは、筆者たちの中には元々、米中交流を支持してきた人たちがたくさんいることです。今年、米国の各機関で続々と出てきた報告のほとんどが、中共は利益によって代理人を買収しているという点に触れていますが、フーバー報告は、一世代丸々の学者が、中国に対して判断を誤ったのは、買収されたからではないとして、中・米関係の舞台から、パンダ派学者が当面、面目を保って”退場”出来るように計らっています。

     しかし、「パンダ派」の数は多く、「骨までパンダ命」の主な人々は、元々中・米交流の支持者でした。この大事件は、自分たちの生涯の”資本”に関わり、一生の功績に影響しますから、そう簡単に自己否定など出来ません。

     2018年12月18日に米中関係全国委員会がニューヨークで中・米国交40周年の祝賀会を行い、キッシンジャー・元国務長官、元中国大使たちといった「骨までパンダ命」級のパンダ派がずらりと集いました。スター・インターナショナル金融財団理事長、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)会長兼最高経営責任者を務めていたモーリス・グリーンバーグは、「中国外交貿易協力・中・米友好推進宣伝企業家」として、中国改革開放40周年記念大会で、改革開放友誼勲章の対象とされた十人の「中国の国際的な友人」(*日本では、松下幸之助と大平正芳が選ばれている)です。

     この人物は、中・米の両方で開かれた記念大会で、二つのメルクマール的大事件のつながりについて珍しくも、「中・米国交回復と中国の改革開放40周年が、同時に合流したのは偶然では無い。中国が改革開放後に、米国の資金、人材、技術資源が不断に流入したことが、中国の改革開放に極めて重要な鍵となる働きをした」と説明しました。(*つまり、今問題になっているようなことを、事実として認めた。)

     ★オバマ大統領は、なぜ中国の浸透を傍観したのか?

     グローバリズム信奉者のオバマ大統領の任期8年の間に、中国はまさに経済のパートナーから、戦略的パートナー関係になったのでした。
    オバマ大統領時期には、パンダ派は、全面的に米国の対中関係を主導し、それもやりたい放題でした。2008年11月の大統領選挙でオバマが当選してからは、対中国政策をニューヨークのシンクタンクの東西研究センター(The East-West Center)に作らせたのでした。、中国外務省の下部機関である中国国際問題研究所の所長・馬振崗が指揮、研究員の劉学成が起草した「希望リスト」をオバマがホワイトハウスの主人になった2009年1月に奉ったものでした。こんなことは、米国外交史上これまでないことでした。

     この「対中国外交政策希望リスト」が、米中両国に、経済、反テロ拡散、環境保護、パンパシフィックで「パートナー」関係を築くことを提案しています。そればかりか、米国の声を反映させただけでなく、中国の見方も含んでいるのです。その内容の半分は米側が、残りの半分は中国側が書いたのですから。

     それだけではありません。2009年1月、オバマは大統領就任式を終えたばかりの時、ブレジンスキー元国家安全顧問、ロバート・ブルース・ゼーリック元国務副長官、林毅夫北京大学中国経済センター所長、ニーアル・ファーガソン(経済金融学者)らが、オバマ大統領に、中国との間にG2を非正規の特殊な関係を作って、これを米中関係の中心に据えるべきだという提案をしました。このG2とは、中米両国に世界の指導者の責任を分かち合わせようというものでした。

     この種の、故意に中共は独裁専制国家だという点を無視する特徴を持つ提案が続々と出され、これがオバマ大統領の8年間を決定付け、米中関係は、「パートナー」「戦略的パートナー」「重要な戦略的パートナー」の間をいったりきたりするようになりました。オバマ大統領二期目の終わる2015年までに、米国は、更にIMFの拒否権を行使せず、中国人民元の「SDRバスケット入り」を認め、中国人民元が国際化への夢を実現する道を開いたのでした。

     オバマ大統領は任期最後の1年前に、「アトランティック・マンスリー」の取材に対して、自分の政治遺産は「オバマ主義」となって、その中で中国に対する最も重要な観点は、依然として「世界にとって、没落する中国は、強大化する中国より更に恐ろしい」でした。

     オバマ大統領時代の対中国政策を理解しないと、なぜ中国がこの年月で今のように、大威張りで公然と、知的財産を摂取する目標の「千人計画」や、中国に投資しようとする米国企業に対して、その知的財産権を無理やり差し出せと要求するのに反対しようとせず、せいぜい米国政府や議会にブツブツ文句を言うだけだったのかを理解できません。中国ははっきりと、米国がその知的財産権侵害に批判的なのを知りながら、今では「知的財産権窃盗リスト」と言われる、「中国製造2025」を公然と国家経済発展の青写真にしたのかということもです。

     ★グローバリズムはパンダ派を「善良天使」にした温床

     パンダ派がグローバリズムを擁護したので、中国はグローバリズムの進展の中で、最もトクをした国と慣れました。どちらも、この二つは「唇と歯」のような関係だと大変はっきりと承知しており、現在は、お互いに励ましい、抱き合って”暖を取って”います。

     2018年11月24日、シンクタンクのCenter For China And Globalization(全球化智庫)は、北京で記録映画「善良な天使」を、中国国内で初上映して、中・米関係の未来フォーラムを開きました。参加者は各界から400人を超え、ビズネス、文化、学界、その他の社会組織のエリートや100社近い主流メディアが参加、多くの「中国人民の老朋友」が集いました。「骨まで中国命」的なパンダ派は、中国では基本的に国賓待遇です。

     ある人が数えたところ、中共政権成立後に「老朋友」に列せられた人は世界の5大陸123国家の601人だそうです。改革開放以来、「老朋友」と呼ばれたのは、主に2種類の人々で、一つは中国と外交関係再建で助力した人 — 米国のキッシンジャー元国務長官やニクソン元大統領。もう一種は、経済改革後、中国に来た国際組織の人で、例えば2008年の北京五輪開催を助けたサマランチ五輪委員会会長です。

     アカデミー長編と短編のドキュメンタリー映画賞を受賞したマルコム・クラークが指揮をとって作った「善良な天使」によると、訪問した「天使」には、キッシンジャー(ニクソン政権)、ジェイムズ・ベイカー(ジョージ・H・W・ブッシュ政権)、マデレーン・オルブライト(第二期クリントン政権)の3人の米国の前国務長官や、ケビン・ラッド元オーストラリア首相(2007〜2010年在任)、テリー・ブランスタッド・アイオワ州知事、1億ドルを清華大学に寄付し「シュワルツマン学者計画」を作ったブラックストーングループの創業者、スティーブン・シュワルツマン(*世界で117番目の大富豪)がいるそうです。映画では彼らがそれぞれ、中米関係への期待を述べ、落下的な態度と慎しみ深い懸念を表明し、皆、米中間の共通認識と相互信頼の増強の深い意義を認識しています。映画全体での意味は、「中国が引き続き発展するには、もっと多くの『善良な天使』を必要としている」ということです。

     パンダ派の主流は、大多数が引き続き「善良な天使」役を続けたいのです。この「★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(中)」でも書きましたが、米国の中国研究学界が、チャイナ・ウォッチングに失敗したのは、中共政府が日増しに専制政治を強化して、彼らが支持し続ける理由をぶち壊してしまったからです。中共は、民主化に向かって一歩たりとも歩もうとはしていません。今、ホワイトハウスの主が代わり、屠龍派が勢いを得ている状況下で、パンダ派は、やむをえず「一服」せざるを得ないわけです。

     では、パンダ派が再び米中関係で指導的役割を担うことがあるのか? これはなかなか予測困難です。その理由は

     ;グローバリズムと自国主義の対決。米国でのこの対決は、グローバリズムと「米国をもう一度偉大な国に」のスローガンが代表する米国第一主義との衝突として表れます。グローバリズムは「普遍的価値観」を強調しますが、多元主義が中米間のイデオロギー衝突・対決に蓋をしてしまいました。其の結果、米国は親切にも両手を広げて、中国を歓迎し、中国が国際ルールと軌を合わせて、国際社会の責任あるメンバーになることを期待しました。このために大いに力を入れて中国経済の発展を助けたのでした。

     そして、米国が、全面的に市場を開放したのに対して、中国政府の回答は、厳しい規制の下での市場部分開放で、結局、蒔いた種は実らず、米国が中国を改造したのではなく、中共が米国に大々的に浸透したのです。「★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(上)」に紹介したのは、ほんのその一部です。

     民主党は、米国が代表するグローバリズムの核心となる力です。彼らは国連、WTO、NATOといった第二次大戦の結果うまれた世界秩序構造を擁護します。クリントン元大統領以来、20数年のうちに、米国の教育システムも基本的にグローバリズムの理念で行われてきました。トランプ大統領の「米国第一主義回帰」は、必然的にグローバリズムと激烈に衝突しますし、この衝突の勝敗は、大統領選挙の投票によって決まります。更に多くの左翼青年が投票権を持つ年齢に差し掛かりますから、2020年の大統領選挙は、必ずや大変激烈な、価値観同士の闘いになるでしょう。もし、民主党がホワイトハウス奪還に成功すれば、パンダ派の復活も可能性があります。(終わり)

     原文は、何清涟专栏:2018年-中国缘何失去了美国?(下)
    ★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(上)
    ★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(中)
     
    程暁農★米国の中国研究者たちはどこで間違えた?★  2018年12月29日

     

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    One Response to ★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(下) 2019年01月08日

    1. 杰克
      January 14, 2019 at 20:15

      越来越无米下锅

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