• ★中国経済の「6つの安定」はただの「バブル安定」策 2019年1月22日

    by  • January 22, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

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    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

    中国経済の「6つの安定」はただの「バブル安定」策

    2019年1月22日

     今年1月以来、中国政府が発するシグナルは、大変はっきりしています。政府が都市交通網 — インフラ建設によって、経済刺激とする。つまり、またぞろ2009年の4兆元(6千億米ドル)経済刺激策の古いお神輿を担ぎ出しました。でも今度は、リーマン・ショック時のような「世界経済を救う」ためではなく、中国経済を救うため。2018年に中共中央政治局が決定した「6つの安定」、つまり就職、金融、外国貿易、外資、投資、経済成長目標達成の安定が目的です。「中国製造2025」(メイド・イン・チャイナ2025)計画が米国の攻撃目標になってから、中国は、産業チェーンの国外逃避や経済不況、失業圧力に対して、政府投資の増強という古いやり方でしか対応出来ないのです。

    ★5回連続の銀行の預金準備率の引き下げ

     今年1月4日、中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率の1%引き下げ、新規融資向けに1.5兆元(1160億ドル)の資金を金融システムに供給すると発表しました。そして、1月16日の国務院国有資産監督管理委員会(国資委、SASAC)は、更に「国債を基準金融資産として活用するために、国債を準通貨として活用する」との情報を流しました。これには世論も「財布を握るおっかさん(中央銀行)が、おとっさん(財政部)に直接、クレジットカードを渡すようなもんだ」と驚きました。

     中国政府公表のデータでは、2017年の債務総額は200兆元を超えています。中国国民1人当たりの負債額は、17万元(270万円)で、債務の国内総生産(GDP)比率は200%。国際金融機関の計算では、もっと深刻で、中国国内では挙げられている数字は、2017年末で全債務のGDP比率364%です。ブルームバーグ・ニュースが去年3月に21人の経済学者の予測数字を調査した中位数でも、中国の2018年末の債務総額は、GDPの260%と、その前年と同水準でした。

     この巨額債務には、多くの企業債務と地方政府債務が含まれており、もし期日に償還出来なければ、債券パニックが起こります。それを避けるために、中央銀行は、預金準備高を引き下げた後の新規融資で供給する資金は、主に二つの用途、一つは債務返済、二つ目は貸し出し資金の拡大、つまり増やした通貨が実体経済に用立てられることを望んでいます。

     期日が来た債務の返済に使う中期貸し出しファシリティー(Medium-term Lending Facility,MLF;中国人民銀行が採用している商業銀行・政策性銀行を対象とした、国債・中央銀行手形・政策性金融債・優良な債券等を適格担保とする金融調節手段)は、例えば、今年の1月4日では、基準が1%下げられ、1.5兆元が供給されました。しかし、ロイターの報道によると、9千億元が投資され、6千億元は「金融安定目的のMLF」として債務償還に充てられたそうです。

     中国政府の投資による経済刺激策は、とっくに効果低減限界状態で、国際通貨基金(IMF)の試算だと、以前同様の経済成長を維持するためには、投資資金は本来の3倍必要です。これがつまり、中央銀行がずっと通貨をジャブジャブと発行をしているのに、市場ではいつも資金不足が起きる原因です。

    ★「新しい靴」で「古い道」。他に手段がなし

     中国経済には、何頭もの「灰色のサイ」(誰の目にも明らかな危険要因)がいます。そのうちの公認の1頭が上述の、政府の鉄道インフラ建設による巨大債務です。そんな大金を投じる高速鉄道がなくたって、既に地下鉄は全て赤字状態です。それなのに、なぜ、国家発展改革委員会は、その上に更に1.2兆元もの「都市交通プロジェクト」予算を、この1カ月半の間に集中的に批准したのでしょうか? それが「投資の安定」という政府の言葉のキーワードです。

     高速鉄道、地下鉄の赤字は、中国で初めての高速鉄道が開通して以来、鉄道会社はずっと借金漬け状態で、2018年の鉄道会社の負債額は、4兆人民元に達しました。あるいは、高速鉄道は今年は政府の重点投資目標ではないと弁解する向きもあるかもしれません。しかし、地下鉄の収益も総体では赤字です。「中国都市軌道交通発展の総解説」によれば、2016年末までに、全国43都市で地下鉄建設計画が批准され、総距離は8600kmにもなります。しかし、一つの路線という角度から見れば、現在、北京の地下鉄4号線、空港線、上海地下鉄の1号線などを除けば、全て赤字です。

     中国政府の投資行為は、そもそも経済の視点から理解することは出来ません。政治的な視点から理解する必要があります。例えば、この度は「短所を補い、投資を安定」(补短板,稳投资)ですが、都市交通プロジェクトは「短所」ではありません。1線級都市(訳注;1線都市は北京、上海市など。新1線都市は杭州、南京、武漢市など)、2線級の都市(副省級の都市と沿海都市。福州市、合肥市など)ですら、地下鉄は深刻なまでに過剰なのです。50もの3線級都市(蘭州、桂林市など)の地下鉄建設など、目下のところ急務ではありません。

     それでも地方政府が争って地下鉄建設をしようというのは、「お金をどぶに捨てる」プロジェクトです。国家発展改革委員会のスポークスマン趙辰昕が公開で述べたデータでは、地下鉄のコストはキロ当たり約7億元。建設費は主に政府の財政資金と間接融資、運営費は主に財政補助ですから、全然、儲けることなぞ考えなくてもよいのです。いったん、建設が許可されれば、地元政府は少なくとも、「投資の安定」「就職の安定」「経済成長目標達成の安定」は達成出来ますし、建設には少なくとも数年間かかります。役人には任期がありますから、任期中にこの三つの安定を達成し、現地の経済成長を保証すれば、我が身は安泰で、あわよくば出世だって望めるのです。これが中国の地方政府が「新しい靴を履いて古い道を歩く」、政府のインフラ建設路線に回帰して、「21世紀の交通資源」を開発することが中国発展の発展のためだ、という理由です。

    ★「外国貿易の安定」「外資の安定」は、米国次第

     残るは、「外国貿易の安定」「外資の安定」です。これは後者が、前者を決定します。

     米・中の貿易摩擦は、経済成長を減速させます。中国の2018年の貿易黒字はマイナス16.2%,総額で3,517.6億ドルで、2013年以来の最低でした。その中でも注目すべきは、中国の対米貿易の黒字が3233.2億ドルで、プラス17.2%と2017年2,758億ドルを超えて、史上最高だったことです。これは、2018年の中国の外国貿易黒字の9割が米国からだったということです。こうした状況は、米国の専門家が言うような、中国との一切の関係を断つなどいうことが、いかに現実的ではないか、同時に中国がなぜ、早く米・中貿易戦争を終わらせなければならないかを説明しています。

     中国の対外貿易は、主に外国資本、とりわけ台湾資本、台湾の実業家は中国に10万社もの工場や会社を持っています。中国の対米貿易のベスト10のうち8社が台湾資本です。中国の対米輸出100社のうち外資は7割(台湾資本は4割)を占めます。中国大陸資本は、わずかに3割です。米・中貿易戦争開始以来、関税値上げの恐れもあって、少なからぬ外国資本が企業の移転、コストの低減を考慮するようになって、その結果、グローバルな企業再配置へと動いています。

     1月18日、ブルームバーグ・ニュース、ロイター両社はどちらも、消息筋の話として、中・米交渉に重大な発展があったと伝えました。ブルームバーグ・ニュースによると、中国は、米国との交渉で、将来6年先に大幅に総額1兆元に上る米国商品を輸入して、巨額の貿易赤字に対応すると提案したとのことです。ロイターは、米国は中国側に、貿易改革の約束を守っているか、その進展状況の定期査察を受け入れるように求めており、これが、貿易協議の条件となるとしています。米国は、更に、もし協議に違反した場合、再び対中関税措置を取るとしています。

     国が果たして、将来1兆元もの米国商品を輸入出来るかどうかは、米国の対中輸出商品に関する規定にも関連します。現在許されている範囲内では、米国はそんな多額の商品を提供できません。定期審査機関も将来の協議ですが、しかし、実現すれば米・中貿易戦争を終わらせ、中国の「外国貿易安定」「外資安定」への大きな助けになるでしょう。

    ★「六つの安定」の目的はバブル

     中国の「六つの安定」の実際の意味は、「バブルの安定」です。このバブルは不動産市場に象徴されるように、中国の大地にうずくまる「灰色のサイ」の一つです。中国の不動産価格は65兆ドルに達するとも言われ、米国、欧州連合(EU)、日本の不動産総額がそれぞれ60兆ドルです。このデータの正確さには疑問もありますが、しかし、中国の不動産が人類史上、これまで最大のバブルであるという点では、疑問の余地はありません。

     過去100年間、人類社会では100回近くの、規模様々な経済危機が起きています。平和な時代の経済危機は10中9までが不動産がらみです。日本では1986年から91年の不動産バブルの痛みを思い出せるでしょう。バブル経済がもっとも盛んだった時期には、東京の地価が米国全土の土地価格に相当しました。この不動産大バブルがはじけてから、不動産価格はずっと長い間下がりっぱなしで、日本経済は「失われた20年」となりました。研究者の総括では、不動産価格の下落が、日本にもたらした財富の損失は、1500兆円に相当し、日本全国の個人金融資産の総和に等しく、日本の当時のGNPの3年分に相当しました。

     信用貸し付けの拡大発展に頼った経済国家は、最終的には皆、不動産バブルに陥ります。世界有数の金融機関クレディ・スイス証券が、2018年に発表した「グローバル財富報告」によると、2018年に、中国の家庭の財富の規模は世界第2位になりました。2017年の富豪ランキングでは、中国大陸の940人に1人の割合で、1千万元富豪がいるそうです。国内研究では、不動産が中国の家庭資産の7割以上を占めると言います。まさに、この家庭の財産が目減りするのを心配して、中国の多くの地方では、不動産会社が値下げするのに対しては抗議活動が起こります。これは疑いなく中国的特色であって、不動産が、政府、銀行、所有者が一体となって利益共同体化し、それぞれが自分自身の目的で、この超巨大バブルを維持しているのです。(終わり)

    原文は;何清涟:中国经济“六稳”策 其实只是稳泡沫 http://www.epochtimes.com/gb/19/1/21/n10992003.htm?fbclid=IwAR0uHrGMDkXEBaCcWe46LLQyCJG705TNf7rnhdiwWsmwg7xbuMZ1E6mnlFs

    原文は;何清涟:中国经济“六稳”策 其实只是稳泡沫 

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