• 程暁農氏★ホンデュラスの移民の波が暴露したグローバリズムの弊害 2018年10月13日

    by  • January 30, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

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    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     グローバリズムの過程で出現した「得をする国」と「損をする国」では、「損をする国」に、グローバリズムのマイナス面が行く。すなわち、税金の流出と、納税者の懐に穴が開くことになる。米国の納税者の財産と企業の知的財産権は、「西遊記の三蔵法師のお肉」(食べると不老長生効果があると言われる)ではない。米国は、近年、新たな経済政策で事実上、不当なグローバリズムの要求を拒否している。

     ホンデュラスから何千人もの移民たちが安全な場所を求めてアメリカへと国境を越えようと「キャラバン隊」を組んできたことは、アメリカの中間選挙前に、有権者とトランプの大きな注目を浴びるところとなった。この突発的な米国移民希望者の大波は、グローバリズムの考え方には大きな欠点があるのではないか? という大問題を私たちに突きつけた。

     私は、グローバリズムには重大な問題があると思う。というのは、主要先進国の財政基盤を直撃しかねず、先進国の納税者の人生の未来にとって脅威となるからだ。トランプは大統領就任後に解決向けに一連の措置をとったが、無条件にグローバリズムを鼓吹する左翼思想の抵抗に出合ったった。そのどこが間違っているかを明らかにすることだけが、グローバリズム思想の誤りがどこにあるかを分からせてくれるだろう。

     ★グローバリズムのマイナスその一;税収流出

     先進国の、労働年齢にある中・青年納税者たちは、苦労して仕事をしながら税金を納めている。それはただ政府をちゃんと運営させるだけではない。自国に必要な、医療、老人福祉、低収入者福祉などの福祉システムを支えるためだ。しかし、グローバリズムがもたらす、企業の外国への発注や、資本流出は、投資する側の国の空洞化、失業率の上昇を招く。

     米国の中産階級は、前世紀には人口の3分の2を占めていたのが、オバマ大統領時代には47%に下がった。納税者の主力をなすグループの個人所得税納税額もまたずっと減少してきた。同時に、グローバリズムは、2種の脱税を生みだした。一つには、多国籍企業の国外経営で、利益は海外の「税金天国」に逃避した。第二は、多国籍企業が国外で得た利益は、そのまま「税金天国」に逃げ込み、国内の所得税にはならなかった。

    2012年に「The Tax Justice Network」(公正な税金のネット)が発表したデータでは、だいたい21兆から32兆米ドルの金融資産が「脱税天国」に逃れ、自国の税収から免れている。

     税収の不断の流出、そして社会福祉への支出を削減出来ないとなれば、政府は国債を発行するしかない。が、その債務は決して「タダのランチ」ではない。それは、納税者が将来にわたって更に多くの税金を払うことによって償還されるのだ。

     トランプ政権が採った一連の措置には、減税によって多国籍企業の国外利潤を米国に戻し、それによって自国と外資企業の産業チェーンを米国に戻すことだった。こうした措置は、米国経済を刺激し、中・低層労働者から大いに歓迎されているが、同時に、グローバリズムを擁護する外国政府(たとえば中国政府)からは、強烈な批判を浴びている。その批判の理由は、トランプ政府はグローバリズムが形成した国際秩序を破壊しているという者で、この言い分は、多くの西側経済学者の支持を集めている。

     西側の経済学界の主流の観点は、グローバリズムは資源と生産過程をグローバル規模で、最も効率的に配分し、経済成長を促すと同時に、新たなハイテク知識を途上国にもたらすというものだ。グローバリズムは、経済学界と金融界においての「ポリティカル・コレクトネス」(政治的正義)の「栄光の冠」を戴いており、疑問をさし挟めないかのようだ。

     しかし、グローバリズム自体の最大の問題は、実はその存在自体が学問的には「不正確」なことだ。というのは、グローバリズムといいうのはもともと、ミクロ経済学の命題で、企業のレベルからグローバリズムの長所を見るものではあっても、全世界を視野においたマクロの視点からではないのだ。

     税収の逃避と納税者の財布の穴の問題がある。もしマクロ経済学の角度からグローバル化を認識すれば、産業チェーンがグローバル化しても、各国財政収支はグローバル化出来ないのだ。だから、対外投資国は、財政をバランスさせようとするために、グローバリズムに適応する新たな徴税政策が必要なのだ。

      ★グローバリズムのマイナスその一;財布の穴

     納税者は自国に納税する。これは民主制度の基礎であり、国際的な通例である。つまり、先進国の納税者の財布は、本来「国別のチャック」が付いており、政府は自国の選挙民によって、納税者の財布からお金をいただくことが許されているわけだ。

     今に至るまで、まだ誰も、先進国の納税者は必ず発展途上国の政府や民衆に税金を払うべきだ、と言った人はいない。しかし、発展途上国が、先進国に移民を強制したならば、例えば、ホンデュラスのキャラバン隊や、アフリカの民衆が地中海を渡って欧州に押し寄せるといったことは、事実上、ヒューマニズムの旗の下で、移民先の国家から「税金をいただいている」ことにある。移民が到達した先進国には、福祉制度があり、こうした強行突破移民に対しても、とりわけその中の、女性や子供達に対しては社会福祉を提供せざるをえない。また、それが移民たちの強行突破への最大の原動力になっている。だから、移民が移民が納税者の財布に到達すれば、こうして外国人がその財布を開いて、使うということになる。

     納税者のお財布の「国別」をやめるべきか? おそらく多くの移民の目的先となった国々の納税者は、皆、ノーだろう。これは、移民がやってくる国々の納税者の未来が脅威を受けるだけではない。更に重要なことは、世界の低収入国家の人口は、はるかに先進国の人口を上回っているという事実だ。もし先進国の福祉が、低収入国からの移民に開かれるならば、いかに先進国の財力を傾けようとも、数限りなくやってくる移民たちの需要を満たすことは出来ない。例えば、米国とカナダは、わずか数億人の人口しかいないが、世界で米国の社会福祉を受けたいと願う人口は、おそらく数十億人になる。米国とカナダの納税者がどうしたって、それほど多くの非法的な移民の需要を賄えるはずがないのだ。

     もし、米国カナダ両国の社会福祉が、どこから来た人にでも自由に受けることの出来る「みんなのもの」になったなら、それは「どこからでも来た人たち」による納税者への搾取であり、その結果は国が壊滅してしまうだろうが、それでも違法移民がやってきた元の国々の国家の問題は、全く解決されないだろう。もし、先進国が無条件に、やってくる人々に門戸を開くならば、違法移民の元の国でも、ますます多くの自分の国に責任を負わない国民を増やすだけだろう。彼らは自分の国に対しては恨み言を言うだけで、何の努力もしないで、ただ一心に先進国にいって「みんなのもの」の恩恵に浴したいと願うだけだ。

     アジアの「4小龍」とかつて呼ばれたシンガポール、韓国、台湾、香港が貧困から脱し、発展出来た経験は、後進国や地域でも自分たちの努力によって、完全に先進国の仲間入り出来ることを証明している。今、経済発展や国家統治で成功していない国家について、人々は無数の失敗国家になってしまった原因、例えば政府の腐敗、ギャングの横行、部族の内紛などなどをあげることが出来るだろうが、しかし、こうした問題は、だからと言って、先進国へ押し寄せて「みんなのもの」をゲットしようぜという話を正当化する理由にはならない。暮らしを良くしようと言うのなら、それは必ず自分と自国の様々なグループの、長期にわたる苦しい努力を通じてであって、別の国の人々の財産を搾取することによってではないのだ。無条件のグローバリズムを提唱し、国境をなくそうなどと唱える西側の左翼たちは、事実上「多国籍共産風」を吹かせているだけで、人類社会の「進歩」などではなく、世界各国の全体状況を悪化させようと後押ししているのだ。

     ★損する国と得する国ー「守衛」の役割の違い

     グローバリズムの擁護者は、対外投資を行う国と、投資先になる国は「ウィン・ウィン関係」だと強調する。だから、グローバリズム擁護は、新たな秩序、人類共通の運命共同体作りだというのだ。

     しかし、本当にそのようなユートピアの建設が実現出来るだろうか? 少なくとも、グローバリズムの下で、財政の角度から見れば、対外投資国と投資受け入れ国の中で、ある者は得をし、あるものは損をする。それぞれの政府がその国民の「守衛」としての立場は、当然はっきり違うものになる。

     「損する国」は、税の流出、産業の流出、就業先の流出、失業者への社会福祉支出の不断の増加、借金の増加、簡単に言えば、財政状況の悪化が主たる特徴。だから、こうした国家の政府は自衛せざるをえない。米国のここ数年の一連の対外経済政策は、まさにこの種の自己防衛措置の現れだ。

     「得する国」は二種類ある。一つは中国のような外資流入、輸出で急速成長し利益をえる国。彼らはやってくる外資が多ければ多いほど良い。グローバリズムを通じて更に自分たちの経済成長を実現させ、損する国のことなど全く考えない。どころか国際競争で勝って、立場が逆転することを願っている。

     もう一つのタイプは違法移民を生み出している国々だ。連中は自国の国民が先進国に潜り込もむのを楽しげに見ている。一旦、彼らが先進国に潜り込めたら、稼いだ金の一部を母国に送金して、貴重な外貨収入になる。

     疑いなく、損する国と得する国の間に、運命共同体とかお互いにウィン・ウィンの関係なぞない。これはある程度、ゼロサムゲームなのだ。つまり、お前が損したら俺が得する、ということだ。こんな国際経済秩序は、初めから国家間の利益の衝突を解決するのは難しい。「得をする国」は現状維持を願うのが当たり前だ。「損する国」は、少しでも損害を少なくしようとして現状を変えようとする。

     単純な事実にも目を向けようとしない、多くの無条件グローバリズム支持者たちはこうした利益衝突から目をそらし、お高い調子でグローバリズムの素晴らしさを説きまくる。事実は、違法移民が国境を超えてくる話と、まともな経済成長のグローバル化の話は関係などなく、ただ国境を越えて、その国の納税者の懐からお金をかすめ取ろうという欲望を体現しているのだ。納税者の財産が、彼らが欲するお金の出どころだ。

     この二日間、メキシコ政府は、中米からの違法移民たちを、自国に滞在させて仕事のチャンスも与えると言ったが、多くの連中はハナも引っ掛けなかった。彼らが狙いとしているのはメキシコの納税者の懐ではなく、もっと豊かな米国の納税者の財布なのだ。米国は世界の大国ではあるが、「三蔵法師の肉」ではない。米国の納税者の財産もそうだ。彼らには自分の財布を外国人の欲しがるままに与えなければいけないという義務なぞない。

     グローバリズムの衣の下には、もう一種類の先進国の財産を奪おうとする行動がある。知的財産権だ。先進国の技術と財産を、自分が金儲けする道具に使おうと言うわけだ。これが米中貿易戦争の争いのタネの一つだ。北京はいつも、中国経済発展には技術が必要だといい、「市場と技術の交換」政策を弁護する。しかし、誰か他の人間の知的財産というのは、大量の研究開発投資から生まれたもので、先進国の納税者が納めた税金と同じであって、これも「三蔵法師の肉」ではないのだ。中国に投資した多くの外国企業は、中国政府の圧力に屈して、技術移転を強いられた。しかし、北京のこうしたやり口は、実質的にはホンデュラスの国境を超えて米国に行こうとする連中とさして変わらないのだ。

     多くのグローバリズムの中で存した先進国は、みな中国のやり方に不満を持っている。しかし、自国の力があまりにも小さく、中国に文句を言えない。ただ実力が中国より大きい米国だけだ、グローバリズム経済秩序の中で、不正なグローバリズムを変える力を持っている。

     世界貿易機関(WTO)は、最近になって、改革を急ぐことを約束した。多くの重要メンバーが、WTOの「紳士協定」ルールが、中国によって食い荒らされていることに気がついたからだ。そのルールを改変するのに、食い荒らしの張本人の中国にリードさせるわけには行かない。まさに米国の国境を、ホンデュラスからの越境志願者たちの好きにさせては置けないのと同じことだ。(終わり)

     原文は;洪都拉斯大篷车暴露了全球化思潮的弊端
      

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