• G20大阪サミットで米・中の”成果”は期待できるか? 2019年6月25日

    by  • June 27, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

     目下、 世界各国は、 G20大阪サミット(2019年6月28日から6月29日)の前日に開かれるトランプ大統領と習近平主席の会談が、 どんな結果になるかの予想を競っています。 私は、 以下の幾つかの問題をはっきりさせれば、 おのずから今回の会議の結果が見えてくると思っています。 

     ★米・中どちらが威力のあるカードを持つ?

     貿易戦争だけに限って言えば、 中国には切れるカードが何もありません。 しかし、 「カードを作り出す」ことは、 中国にはできます。 最近、 2枚用意しました。 

     1枚は朝鮮カードです。 習近平は6月20日から2日間、 北朝鮮を訪問しました。 米国のニューヨーク・タイムズ紙、 ウォール・ストリート・ジャーナル紙などは、 これは対米カードを手にする目的だと見ました。 例えば、 北朝鮮に米・朝会談を再開させ、 米・中貿易交渉を推進させるとかです。 

     しかし意外にも、 習近平は、 はっきりと、 北朝鮮の安全を助けると表明しました。 ここでいう「安全」とは、 金正恩が米国に要求している体制の安全保障です。 去年米・朝種の階段時には、 北朝鮮に支援を提供するだけだったのが、 今後は北朝鮮の体制の保障と安全については積極的に行うという中国側の「予告」です。 

     二枚目のカードは、 タリバンとの関係強化です。 タリバンの指導者、 アブドゥル・ガニ・バラダル師たちと、 北京で中国側の役人が会見しました。 これは、 ただ北京が自分たちはタリバンにも影響力を持っており、 中東地域に力があるのだと言いたかったのだと思われています。 

     しかし、 中国は、 今、 米国に弱みを握られています。 香港の特別関税地区としての地位が、 米国から”注目”されていることです。 

     6月12日、 香港での「逃亡犯条例改定」に抗議する大規模デモと警察との衝突後、 米国下院議長のナンシー・ペロシはこう言いました。 

     ;もし香港政府が「逃亡犯条例改定」を行うなら、 米国議会は、 香港の「一国二制度」の枠組みが、 果たして自治たり得ているかどうかを再評価し、 国会としては、 『香港の人権と民主法案』を考える」と。 

     後者は、 米国と香港との「特別な関係」を新たに見直すということです。 このカードがどれほど重要なのかは、 香港の特別な地位の由来と、 米国と香港の特殊な法的なつながりを見なければなりません。 

     香港の特殊な国際的地位は、 二つの法律文書によって定められています。 一つは、 「中・英連合声明」。 香港の主権が移管されてからも、 自由港と独立関税地区としての地位を継続して維持するというもの。 香港は、 「中国香港」の名義で国際組織に参加でき、 貿易レベルでは、 香港は他国家と独自に交渉が行えるというものです。 

     二つ目は、 1992年に米国議会を通過した「米国 — 香港政策法」で、 これは、 香港が中国復帰後も、 継続して貿易面の優遇を受けられるということ。 香港特区のパスポートを承認し、 香港が「デリケートな技術」を購入することを認めています、 政策法は、 もし米国の大統領が香港が「十分な自治」を得ていないと判断すれば、 この法案を停止することができます。 

     近年、 米国議会では超党派議員が、 何度も「香港人権と民主法案」を提出して、 これは「政策法」の強化版だとされています。 2017年版では、 香港の特殊な地位に与えるいかなる法律の競技以前にも、 米国国務長官は、 議会に対して「香港が十分な自治」を享受していることを確認しなければならない、 となっています。 

     また、 この他にも国務長官は、 毎年国会に、 「米国の利益に関する香港の状況」を報告すべしとなっています。 この法案はこれまで議会を通過したことがありません。 しかし、 今年、 香港での「逃亡犯条例」改定反対運動が起きたのち、 米国の下院・上院で両党の議員が一致して、 法の修正を可決したために、 中国は大慌てだしたのです。 

    と言うのは、 香港が特別関税地区の地位を失えば、 一番大損するのは香港だけではなく、 中国もだからです。 

     香港の特別関税区という特別な国際的地位によって、 中国が直接表に顔を出せないようなことは、 みな香港が代わりにやってきたのです。 例えば、 中国企業が米国で上場するとか、 マネーロンダリングとか、 香港を経由しないものはないのです。 なぜなら、 香港は自由世界の一員で、 信用も大陸中国よりはるかに高いからです。 

     ★米国のカードは多いが制約も多い

     米国の持つカードは中共より相当に多いです。 

     まず関税。 しかし、 米国は中国とは違って、 各種の利益集団がそれぞれにゲームに参加することが許されていますから、 関税一つにしても、 当然、 賛否両論があります。 ホワイトハウスが、 7月2日に関税値上げしようとしたのは、 本当は対中国の懲罰性関税を暫時緩和して、 G20の席上で習近平との階段で中国を交渉テーブルに呼びもどそうとしたのです。 

     しかし、 6月17日から25日の一週間の公聴会では、 300社以上の米国企業代表が証言台に立つ予定で、 現在、 米国貿易代表事務所には1200以上の意見書や証言希望が寄せられているといいます。 

     英・フィナンシャル・タイムズ紙の6月17日版には、 ワシントンの最強商業団体である米国商工会議所(AMCHAM)は、 米国貿易代表事務所に、 対中国関税は米国の消費者、 労働者、 企業に大きな損害をもたらすという強硬な文書をつきつけ、 もし実行されたら今後10年間に米国経済に1兆ドルの損害をもたらすとしています。 

     米国企業の関税に対する姿勢は、 それぞれの企業がグローバルなサプライチェーンのどこに位置するかによって違います。 企業が必要とする中国製品が、 関税値上げの対象になれば、 当然、 生産コストが上がりますから、 反対します。 

     例えば、 ニューハンプシャー州の花火会社のアトラス・パイロヴィジョン社は、 ほとんど全て、 中国からの花火の輸入に頼って、 全米各地で花火を上げたり、 販売したりしています。 乳児用のベッドやゲートを作っているレガロ社もそうです。 

     ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、 米国の輸入データを分析した結果、 関税の影響を受けそうな品々には、 電気絨毯、 釣り糸、 花火などが9割を占めている273種類の中国製品が含まれており、 これらの総価値は663億ドルだとしています。 

     企業の生産品が中国商品と直接競争している場合、 一般には関税支持の立場です。 こうした中国製品に高度に依存している企業が関税値上げに反対する一方で、 600社を超す米国企業が6月21日に連名で、 米国での就業機会を増やし企業のコストを下げられるという理由で、 中国商品への関税値上げに賛成する手紙を、 政府に出しています。 署名しているのは大部分が米国の中小製造業者で、 彼らは、 対中国の関税は製造業の米国回帰と国家の安全に有意義だと考えています。 

     香港の特別関税区の地位というのは、 当然、 G20サミットでの交渉のカードになります。 しかし、 それだけのことです。 それ以上、 どうにもならない原因は、 一つには1300社の米国企業が香港にベースを持っていること。 二つ目は、 米国の香港貿易は黒字だということ。 米国貿易代表事務所のデータでは、 2018年、 米国の香港向け輸出額は506億ドルで、 輸入は167億ドル。 米国が340億ドルの黒字なのです。 

     米国のシンクタンクの政治学者や経済学者からも「反戦」の声がでています。 政治学者のハリスは、 ナショナル・インタレスト誌で、 中国との新たな冷戦は間違いで、 今なら退却して双方の決裂を修復するのに遅くない、 としており、 同雑誌ははっきりと、 トランプは中国と妥協に達するようにすべきであって、 さもないと間に合わないとしています。 北京をターゲットにして怪物のように描き出すことは、 米国人を一層貧しく、 さらに安全を損なうとしています。 

     というわけで、 貿易戦争が始まった時に、 以前から申し上げているように、 トランプ大統領の手足を縛っているのは中国ではありません。 米国国内の様々な利益集団なのです。 

     ★米・中どちらが早く合意に達したいのか?

     これも前から言ってるのですが、 中国は、 トランプ大統領の再選阻止による「事態の変化待ち」で、 より有利な条件で米・中関係の再構築を願っています。 

     香港の「逃亡犯条例改定」抗議の大規模デモは、 米国上院・下院で「香港人権と民主法案」の通過を促進させるという特別な関係があるわけです。 それがなかったなら、 習近平は絶対に、 トランプ大統領を「友人」などとは呼ばなかったでしょうし、 G20前に交渉に応じるようなことにはならなかったでしょう。 

     米国の政局は中国と完全に違うのです。 選挙という圧力によって、 米国大統領は、 振り回せないほど大きな尻尾をもつ貿易戦争を収拾して早く終わらせたいのです。 

     中国側が貿易交渉を拒否して以来、 トランプ大統領は関税値上げを唱えていますが、 しかし実現時期を延長し、 ドアの隙間を開けて、 中国が入ってくるのを待っています。 

     ベンス副大統領も、 本来、 天安門事件の時期に発表するはずだった演説を延期しました。 G20サミットでトランプ・習近平会談前に、 緊張を高めることを避けたかったのでしょう。 これらは、 皆、 米国側の貿易交渉妥結への期待を表しています。 

     経済方面だけに限って言えば、 中国が受けているプレッシャーは米国よりはるかに大きい。 しかし、 米国は民主国家であり、 大統領と大統領の政策は、 社会から広範な批判を浴びます、 ましてやトランプ大統領の状況はいささか特殊です。 

     例えば米国経済情勢がうまくいったとしても、 メディアは見て見ぬ振りをします。 今、 貿易戦争が生煮えのままになったので、 メデイァと民主党は、 これを2020年の大統領選挙に利用しようとしています。 これがトランプ大統領が直面する現状です。 

     こうして、 両国の事情を考えると、 D20サミット期間のトランプ・習近平会談では、 両国首脳が再び交渉のテーブルにつくことで原則的に意見は一致するでしょう。 しかし、 具体的な条項の交渉となると、 比較的長い時間がかかることでしょう。 

     香港と台湾という「叛逆の島」に対して、 習近平も、 やむをえず低姿勢で臨まなければなりません。 しかし、 米国の次期大統領選挙の結果が出るまで、 北京が貿易交渉で妥結するなどいうことはありそうにないことです。 (終わり)

     
     原文は;G20习特会将有什么“成果”?

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