• ★米・中関係は「戦略的パートナー」になりうるのか? 2019年07月04日

    by  • July 5, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

     G20大阪サミット(2019年6月28日〜29日)でトランプ米大統領と習近平中国国家主席の会談後、  トランプ大統領を褒める声も多少はあるとはいえ、  非難の声の方がますます高まっています。  トランプ攻撃は、  彼が共産党をやっつけることを期待した中国や香港の政治的なプロテスター(反政府抗議者)の間で高いようです。  これは、  トランプ大統領のちょっとした言葉を、  深読みし過ぎたのが原因です。 

     ★「IF」を故意に無視した「戦略的パートナー」報道

     トランプ大統領は、  6月29日の記者会見で将来の米・中関係に関して、  「戦略的パートナーか? ライバルか? それとも敵なのか?」と問われました。  「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)の数十秒のビデオを見ると、  やりとりの全文はこうでした。 

     ;「私は、  我々が互いに助け合えば、  戦略的パートナーだと思う。  もし我々が、  最終的に正しく協議し、  互いに語り合えれば。  もし中国が、  市場を開放したなら世界最大の市場だ。  ただ現在、  中国は米国に対して開放していないが、  米国は中国に開放されている」

     多くのメディアは「戦略的パートナー」という言葉だけをことさら大きく扱って記事にして、  トランプ大統領のこの言葉には「もし」という前置詞がついていることは無視しました。  この前置詞とは、  二つの肝心な条件、  「中国と良い協定を結ぶこと」ができ、  「(米国の希望通りの)対外的開放がなされたなら」です。 

     トランプ大統領の言う「中国との良い協定」については、  ★米・中交渉卓上の「硬いクルミ」は「残る10%」にある (2019年6月30日)ではっきりと分析しておきました。  トランプ大統領の目から見て正しい協議がなされる、  というのは、  中国が知的財産権の窃盗問題を解決して、  構造的改革を行うということです。  つまり、  米・中間でまだ解決をみていない「残る10%」がそれです。 

     いわゆる対外開放も、  中国政府が言うところの開放ではなく、  米国が願う形での対外開放なのです。  それなのに、  一部のメディア人は、  台湾の関連番組で「米・中がまた戦略的パートナーになったら台湾はどうなる?」だの、  「友邦につらくあたることはあっても、  友邦を途方にくれさせてはならない」などと大声で騒ぎました。 

     これに比べると、  中国の官製メディアの方がはるかに冷静でした。  どの官製メディアもトランプ大統領が習近平に贈った「戦略的パートナー」という美辞麗句を褒めたたえたりしませんでした。  彼らは、  皆、  この二つの前提条件が、  中国が短期間に譲歩できるようなものではないことを十分承知しています。  当然、  トランプ大統領のリップサービスなど本気にできないと理解しているからです。 

     米国の左派メディアは、  トランプの「譲歩」を嘲笑する一方、  北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党書記長と会うべきではなかったと批判しています。  カナダの国際放送だけが、  7月1日付で「トランプは対中国、  南北朝鮮問題で手腕を発揮し、  米・中貿易戦争のこれ以上のエスカレートを避け、  世界経済悪化への懸念を緩和し、  金正恩に米・朝会談への復帰をさせた。  ツイッターを通じて全世界の前で、  金正恩と板門店で会見し、  かつ38度線を数十㍍越えてみせた。  朝鮮領土内に入った最初の現職米国大統領になった」と評価していました。 

     ★中国や香港の反政府派はなぜ失望したのか?

     トランプ大統領に悪罵を浴びせている中国人は、  主に中国の民主活動家や政治的な反対派です。  米・中貿易戦争が始まって以来、  この戦争で米国が願ってもいない目標、  すなわち「中共政権打倒」という役割を与えてきたからです。  香港の「逃亡犯条例改正案」反対運動で、  米国が北京に強烈な打撃を与えることを期待したのです。 

     トランプ大統領が、  米国国内の様々な利益集団による束縛を受け、  大統領選挙前には、  この交渉を「生煮えのコメ」状態にしてはおけないのだ、  などということは、  彼らは考えに入れません。 

     トランプ大統領が、  自国内で直面している様々な問題については、  ★G20大阪サミットで米・中の”成果”は期待できるか? 2019年6月25日(2019年6月25日)ではっきりと分析しておきましたし、  事実が裏付けています。 

     ツイッター上では、  トランプにがっかりしたというサポーターに「君のトランプへの認識は、  幾つかの前提をはっきりさせておこうと私はツイッターに書いておきました。 

     「まず第一に、  トランプは米国の大統領であって、  世界の大統領ではないから、  中国人民を解放する責任などない」。 

     「第二に、  トランプはイデオロギー的な人物ではなく、  その主張はここ十数年間の民主党の伝統的派に近い。  あのころ彼も民主党員だったし」。   

     「第三に、  彼は妥協の名人であり、  実務攻略にたけた人物なのだ」と。 

     また

     「多くの人々は米国の政治を全く理解しておらず、  米国大統領の第一の任務は専制政治を消滅させることだと思っているが、  それは間違い。  第一の任務は、  強大な実力、  つまり『偉大な米国』を保持すること。  そうすることによってのみ、  世界に安全保障という公共サービスを提供することができる」

     「米国国内の様々な利益集団に対する数々の約束に加え、  大統領選挙前という時間的な制限の下で、  トランプ大統領は、  しばし休戦を余儀なくされている。  時間を稼いで状況が有利に変わるのを待つという中共と、  この点では方向は反対でも目標は一致している。  この1年以上の間は、  交渉をやめないという形で、  暫時、  休戦というのが本当のところなのだ」

     金正恩に対する大げさな賛辞は、  聞き苦しいものですが、  これは、  気に入れば大げさに褒めちぎり、  嫌いならこっぴどく悪口を言うトランプの話し方の癖のようなものです。 


     ★再びうごめき始めた米国内パンダ派について

     1970年代の米・中国交回復以来、  元国務長官のヘンリー・キッシンジャーをトップとするパンダ派(親中国派)が米国の対中国政策を、  何十年にもわたってリードしてきました。 

     それが2017年にトランプ大統領になって以来、  米国の情報機関中国政府の援助による文化、  学術、  科学技術分野での協力研究が、  中国の米国への紅色浸透工作の調査対象になって、  パンダ派はこれまでにない苦境に陥りました。  これについては、  ★2018年 — 中国は、  なぜ米国を失った?(上) 2018年12月29日 ★2018年 — 中国は、  なぜ米国を失った?(中) 2018年12月31日 ★2018年 — 中国は、  なぜ米国を失った?(下) 2019年01月08日に書いておきました。 

     特に、  パンダ派が主流を占めていた米国の中国研究学会は、  「フーバー報告」(2018年11月29日、  スタンフォード大学フーバー研究所と、  米国アジア協会米・中関係センター、  アーネンバーグ・エステート•サニーランド信託が、  ワシントンで共同発表した「中国の影響と米国の利益;建設的な警戒の推進」報告)によって、  「これまでの中国研究は、  丸ごと間違っていた」と認めさせられ、  暫時、  発言権を失ってしまいました。 

     ただ、  これはこうした学者たちが、  本心から自己批判したわけではありません。  今回のG20大阪サミットのトランプ・習近平会談で、  「将来、  戦略的パートナーになる可能性」が云々された途端に、  冷遇されていたパンダ派は、  チャンスと見て元気づきました。 

     6月30日には、  80人の米国の中国専門家らが、  ロイター通信を通じてトランプ大統領に、  中国を敵視しないように考え直させる公開レターを現在、  準備しているとしました。 

     「現在のトランプの政策は、  米国と全世界の利益を損ないかねない。  なぜならば中国を国家安全の脅威と見なすことは、  中国国内の穏健派の影響力を縮小させ、  米国の盟友国家は中国経済と政治を敵と見なしたくないから国際的にも米国の孤立を招きかねない」というのです。 

     この80人の中国専門家の大部分は皆、  パンダ派の人々です。  元駐中国米国大使のステープルトン・ロイや、  前アメリカ合衆国国務次官補(東アジア・太平洋担当)だったスーザン・ソーントンがいます。  理屈からいえば、  彼らは、  来年の大統領選挙で民主党が勝利をしてから、  これを発表する方がより適切でしょう。 

     目下、  民主党で最大の支持を受けている前副大統領の上院議員ジョー・バイデンは、  はっきりと中国は戦略的ライバルではない、  と言っています。  トランプ大統領と習近平主席の会談で出た「戦略的パートナーになる可能性」が、  こうしたパンダ派の巻き返しの望みを刺激したのでしょうか。 

     あるいは、  民主党大統領候補たちの第1回討論会からは、  民主党の勝利の展望がみられなかったのでしょう、  トランプ大統領の今回の話が、  米・中関係で、  自分たちの復活チャンスが繰り上がったと思わせたのかもしれません。 

     ★米・中関係が「戦略的パートナーになる」チャンスは微々たるもの

     オバマ前大統領の2期目から、  米・中関係は悪化し、  オバマ前大統領が作ろうとした環太平洋パートナーシップ協定(TPP)構想とは、  中国を排除する国際関係構造でした。  トランプ大統領になってから、  米・中関係は一連の問題によって、  引き続き悪化していきました。  相互に巨額の関税を掛け合う貿易戦争や、  米国が中国が全面的に大規模に展開してきた米国におけるスパイ活動、  西太平洋、  南シナ海における中国海軍の急激な現代化が、  米国の優位に脅威を与えていることなどが含まれます。 

     以上の数々のことが、  米国で中国の脅威が高まり、  戦略的パートナーの位置から戦略的ライバルになった、  ということの背景にあります。 

     習近平は、  米・中関係は、  すでにただの経済的な関係の範囲を超えて新た段階に入っていること。  貿易協定に署名しようが、  米・中相互の不信感を変えることはできず、  2020年の大統領選挙で、  トランプが2期目の任期を獲得したら、  中国は更に大きな米国からの遠慮なしの圧力にさらされることが分かっているでしょう。 

     もし、  民主党がホワイトハウスを奪還したならば、  これは中国にとっては大きなチャンスです。  バイデンの親中国的な感情もそうです。  また、  バーニー・サンダースは、  いかに米国に社会主義的政策を実現させるかに主たる関心があって、  中国との競争には関心がありません。 

     でも、  中国も、  現在の民主党の大統領候補の主張から見て、  その確率は、  あまり高くないことは分かっています。  (終わり)

     原文は;何清涟专栏:中美还有可能成为「战略伙伴」吗

     

     

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