• ★「米国産大豆」が中国側の必殺の武器? 2019年7月15日

    by  • July 26, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

    中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売。「2018」編集中;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     G20大阪サミットにおけるトランプ大統領と習近平主席の公表された会談結果では、トランプ大統領が3千億米ドル文の中国の輸入商品に関税を課すのを延期し、中国への制限を緩和する。それと交換に、中国は米国の農産物を購入するということでした。しかし、会議後、中国は、米は米国から購入しましたが、大規模に米国の農産物を買う動きはありません。トランプ大統領はこ文句を言っていますが、中国側は、それには華為(Huawei)解禁が必要だと答え、米国メディアはトランプ大統領を冷笑しています。米国の相当強い「カード」でも中国に言うことを聞かせられず、大統領選挙の前年の今、中国側に「大豆」カードを報復に使われるという理由は確かに追求すべきです。私の見方は、貿易戦争が始まった時と同じです。外交は内政の延長であり、米国が未だに交渉で勝てないのは、トランプ大統領が米国内から足を引っ張られているからです。

     ★貿易戦争 — 北京は「専守防衛」から、「防衛しつつ攻勢」へ

     今年5月、一年以上かけて続いて来た貿易交渉が、終わり間近という時になって、中国は防衛型だった対米戦略を、防衛から進攻型に切り替えました。その第一歩が、それまでの交渉をご破算にする「ちゃぶだい返し」でした。理由は、別に貿易交渉の内容に新要素が加わったからではなく、トランプ大統領はこの交渉をまとめて、農業州の選挙民の支持を取り付けなければならない状態にあると、情勢が自分たちに有利だと知って、中国は交渉を打ち切ったのでした。

     こうして「生煮え状態」に置かれた米国は、やむをえず中国に交渉に復帰するようにお願いする立場となり、中国は主導権を獲得し、次の局面に移り、交渉においては二つの点が変わりました。

     一つは、最初の主題の取り消しで、その上、米国側に関税値上げの取り消しを求めました。理由は、もともと中国側は同意していないし、米国は圧力としてかけてきた関税を取り消すべきだというもの。第二には、大豆の輸入は、華為の解禁と引き換えという点で、対華為の解禁の度合いに応じて、農産物を輸入する、でした。貿易戦争の初期には、中国側は何度も、大豆をもっと多く輸入すると言ったのに対して、米国側は取り合いませんでしたが、いまや、それが北京側の必殺の武器になってしまいました。

     この形勢逆転は、米国は中国側の要求にしたがって交渉をしなければならないということです。米国がぶつぶつ文句を言うしかなかったのは、計がなさすぎにみえますが、なぜ、そんなことになったのかは、米・中両国の政治制度の違いがあります。

     ★トランプの弱み — 民選大統領は任期制

     トランプ大統領には任期という圧力がありますが、習近平主席にはありません。本来なら、前者は民主制度の優れた点であり、後者は専制制度につきものの病というべきです。しかし、戦略的には、いわゆる優勢と劣勢は、一定の条件下ではひっくり返ります。米中貿易戦争の過程で、大統領選挙が間近に迫れば、民主制度の有利な任期制度は、却ってトランプ大統領の弱みに変わり、専制制度の欠点は却って、相対的に有利になるのです。

     米国の政治的分裂は常態で、2016年以来、誰もこの点は疑いませんし、中国も当然、はっきり知っています。ただはっきりしないのは、分裂がどの程度で、中国がどこまでそれを利用出来るかです。貿易戦争と2019年の民主党の候補選びで、中国は農業州が貿易戦争に不満なこと、それが2020年の大統領選挙でトランプの政治的弱みであることをちゃんと知っています。

     ウォール・ストリート・ジャーナル紙7月5日では、2017年には、米国は210億ドルの大豆を輸出し、他の農産物を引き離してトップでした。大豆の作付けは20年間に、2倍になりました。背後には米国のあらゆる農業部門の巨大な努力があります。しかし、2018年、貿易戦争のとばっちりで、米国大豆の対中輸出量は74%に減り、そのぶんはブラジルに急速に流れ、米国農家への支払われる価格は、この7年間で最低になりました。

     中国の報復関税がもたらした損害を補償する為、トランプ政府は2回にわたって農場主に対して、第1回120億ドル、第2回160億ドルの補償を行いました。農業州の農場主たちは、トランプ大統領が出来るだけ早く貿易協議をまとめて、自分たちの大豆が無駄にならない
    ことを期待しています。選挙戦を控えたトランプはさっさと貿易戦争を終わらせて、中部諸州の農場主の要求に応えなければなりません。ですから、習近平は交渉再開にあたって、華為の禁止解除と関税実施中止を主要条件として、米国の大豆などの農産品を購入するとしたのです。

     その結果、意外にも米国は華為の禁止を解除し、関税も暫時見合わせるということになりました。しかし、中国は、それでもすぐに米国農産物を購入しません。中国から見れば、大豆はトランプ大統領の支持票に直接関わるもので、この弱点を今、利用しなければいつ利用するのだ、というわけです。ましてや、この情勢を利用して、2020年の大統領選挙でトランプの基盤を揺るがし、2期目を阻止できれば、中国にとって極めて有利なのですから。

     ★中国の制度的優位と米国の劣勢

     国内の民衆にとっては、専制政権下では、統治者の意思だけがあって、民意は存在しませんし、企業などの統治者の「友軍」だって、権力の意思に従うだけです。しかし、西側の民主国家には、大小様々な利益集団が山のように林立し、それぞれが利益を表明するパイプをもっています。メディアも、政府の政策ややり方を存分に批判する権利を持っています。こうした政治は、国民、民衆にとっては当然、良いことです。しかし、いったん外国と事を構えるとなると、それもとりわけ戦争動員といったあことにあると(利益のことなる集団の貿易戦争も含めて)、はっきり劣勢となります。

     6月29日のウォール・ストリート・ジャーナル紙は「米中貿易交渉の優位に立つには目標を明確に」という記事で、「中国も強大な優位さを持っている。目標が明確なのだ。交渉の重点に変化が起きたとしても、過去数十年、その目的は終始変わらなかった。、一党独裁の維持と、発展水準の緩やかな上昇である。これに比べると、米国は中国を管理できるパートナなのか、排斥すべきライバルなのかという点で、指導者はずっと分裂していた。トランプ政府の中にも異なった意見があり、トランプが華為禁止令の決定を解除したように、これまでずっと訳のわからないものだった」と書いています。

     両国の華為への態度が、鮮明な例です、。中国は、米国が華為にキーとなるハイテク技術の提供を禁止したのは、全世界の先進技術分野での競争力にとって死活の問題だと、中国は認識しており、これを交渉の第一目標にしました。しかし、米国はスタンスが揺れています。米国の国家安全への最大の脅威だとするかと思うと、今度は、クアルコムやインテル、ブロードコム、グーグルなどのロビイングを受けて、これらの企業の貴重な収入源のために、華為にマイクロチップやソフトウェアを販売したり、スマホに必要な部品を販売することを許しています。

     私は「★G20大阪サミットで米・中の”成果”は? 」2019年6月25日で、はっきりと「米国の手持ちカードは多いが、制約となる要素も多い」と書いて起きました。米国企業、ビジネス界は、対中国貿易戦争に極力反対しています。更にイラつくのは、貿易戦争の主要目標は、米国企業の知的財産権を中国の窃盗行為から守ることなのですが、これらの企業の態度は、お世辞にも良いとは言えません。自国政府には、自分たちの長期的利益を防衛するように願いつつ、しかし、自分たちは、いかなる短期的利益も犠牲にしたくないというのです。

     ★貿易戦争はトランプの個人的戦争、と見る米国人

    ニューヨーク・タイムズ紙の専属コラムニストで、超有名な経済学者のポール・クルーグマンは「トランプはなぜ貿易戦争で失敗したか」という記事を書きました。タイトル通り、この筆者の目には米中貿易戦争は米国対中国の貿易戦争ではなく、大統領個人の貿易戦だと映っています。こうした見方は、クルーグマン1人ではありません。米国では、極めて多いのです。少なくともウォール街、ビジネス界、農業州の少なからぬ人々がこうした見方をしています。米校区の知的財産権が侵害され、米国の対中貿易の巨額赤字に米国人が不満なのは事実ですが、この「米国人」というのはバーチャルな存在で、ちょうど、中国の「人民」と似ています。しかし、いったん中国の知的財産権侵害に対して攻撃したり、関税が値上げされた結果となれば、関係する英国人は、実体化します。彼らの意見が、米国メディアを通じて表明され、国会公聴会で反対意見が証言されるのです。

     貿易戦争開始時に分析したのですが、トランプの足かせになるのは中国ではなく、国内の利益集団です。中国人には耳の痛い話です。中共以外、いかなる利益集団も存在を許されないのですから。しかし、民主政治では違っていて、どの利益集団も皆、自分たちの発展できる空間をもっていますし、制度としてのパイプを通じて利益獲得ゲームができるのです。今回の貿易戦争で、米・中経済関係が大変密接ななかで起こりましたし、関連する利益集団となれば産業界、金融界、投資業界があります。それぞれが、極めて強力なロビイング活動を行ってきました。

     簡単に言ってしまえば、米国は米国は貿易戦争を発動しましたが、その支持者は中国との関係があまり高くない企業だけです。損する方は、例えばハイテク企業のように複雑な利害を持ち、影響を受けるもっと多くの企業は反対なのです。貿易戦争は、国力以外に、両国の企業と国民の痛みに耐える力比べでもあります。

     中国企業と消費者は、今より痛めつけられても、黙って我慢するしかありません。米国企業は、ちょっとした痛みでも、ホワイトハウスに手紙を出して、メディアは大げさに報道し、痛い!痛い!と騒ぎ、全国公聴会でも懸念と怒りを表明します。トランプは米国大統領として、一つには自国の各大利益集団の現実的要求を考慮しなければならず、二つには、選挙というプレッシャーに包囲され、今年の10月以前に、貿易戦争を終わらせなければなりません。そこを中国は、トランプの弱みとして、米国の大豆を必殺の武器としてきたのです。(終わり)

     原文は;何清漣【观点】与选情相关的大豆成了中国的必杀器

    Print Friendly, PDF & Email

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *