• ★国際社会の恐怖のマトとなる中国の社会信用評価システム 2019年9月2日

    by  • September 8, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

    中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売。「2018」編集中;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     ウォール・ストリート・ジャーナル紙が8月29日に報道した「企業社会信用システム、中国貿易の新兵器に」では、米・中貿易戦争の最中に、中国政府が現在構築中の企業社会信用システムが、多国籍企業攻撃用の武器になることを、外国企業は恐れています。これは中国人として見過ごせない問題です。中国は、社会信用システムを西側から学んだと言いますが、中国での国家的信用とビジネスの信用は、ずっと不評でした。では、なぜ中国が「西側に学んだ」のに、西側が深刻に心配しなければならないのでしょうか?

    ★中国信用システムは崩壊状態

     長年、私はずっと中国の信用体系の崩壊ぶりを批判してきました。「中国 — 潰ても崩壊せず」の第5章は全てこの問題に関してです。こう書きました。要点は

     ;国家の信用システムは、個人の信用、メーカーの信用、制度の信用、国家の信用の四つのレベルで構成される。しかし、中国ではこの四つが崩壊状態であり、個人間の信用破産のメルクマールは、「知り合いを殺す」(殺熟=知り合い、友人などの自分への信頼を利用して、詐欺的手段で騙あう)現象が至る所で見られ、農村地区では「災いを他人に押し付ける」(以邻为壑)が風潮と化し、メーカーと消費者の間の信頼の断絶は、有毒食品で明らか。制度信用とは、社会メンバーと政府の間の信用関係ですが、中国の民衆は、国有銀行が保証したP2Pの大量爆弾で政府を信用していない。国家間の信用は、中国は国際規則を守ろうとせず、芳しくない。中国の国家的な誠意が深く疑われる事例としては、中国経済のデータが疑われ、米・中貿易戦争で、主要な目標となっているのが、国家がサポートしてやらせている知的財産権窃盗問題だ。北京政府は、中国の国家的信用が良くないと、かって良好な国際イメージを宣伝しようと、グローバルPR会社のヒルアンドノウルトン、エデルマン、ケッチャム、オグリビー、フライシュマン・ヒラードなど5社と「西側により良いイメージを広め、中国に好意的反応を作り出す」契約をした。

     胡錦濤・温家宝の時期に、中国は社会信用システムの建設を提起しました。2014年6月、国務院は「社会信用システム建設計画綱要2014〜2020」を公表し、これが中国の国家信用体系建設のルールであり、建設の方向、重点分野、キーとなる措置を明確にし、この綱要は、社会信用が何をなすか、方向性、やり方を示す最高の取り説である」としました。

     今、2020年まで、あと数ヶ月ですが、国際社会は次々に、中国の信用建設システムに、恐怖感を表明しています。何が心配だというのでしょうか?

     ★極めて政治的特徴を持ったシステム

     中国政府は、不断に社会信用システムの中身を拡張し、金融分野から経済分野、更に社会管理にまで拡大していきます。「社会信用体系建設規則要綱」では、社会信用に関わるのは、主に商業行為、社会行為、ネット言論の三つだとして、犯罪に関わったか、金融のデータ、ネット言論、社会的交流などの面で、社会メンバーとしての評価に基づき、低ければ懲罰が与えられます。この制度は、部分的にすでに企業などでテスト中で、今年3月までに、既に900万人以上が航空券購入で制限を受け、300万人が列車の切符購入を制限され、6000社以上の企業が、融資を制限されています。

     この内容は、表向きには米国と大して変わらないように見えます。米国の個人信用は主に、金融機関記録によるクレジット、警察記録による犯罪歴、企業なら金融のクレジット、生産品の質、消費者の評価を含みます。SNSが登場して以来、求職者は必ず、自分のツィッター、Facebookのアカウントを書き、雇用社側が参考にしますから、中国が似たようなことをしたからといって、怖がる必要はないようなものですが、原因は二つあります。

     (1)西側の信用評価制度は、プライベートで、企業の財務資料で、プライベート企業によって作らるが、中国では政府が掌握する。

     西側の信用機関(金融評価、格付け会社)は、グローバル資産価値を決める力があります。世界的に有名な経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが、1966年に出版した「Market Unbound」では、こうした評価機関は国家機関より大きな力を持っているとして、「グローバル資本市場の決定権を持つ者が、グローバルな資金の流れをコントロールする。すなわち主権国家の通貨政策と金融政策をコントロールし、主権国家の興廃と成功、不成功の命脈を握る」としています。何年か後には、トマス・フリードマンが『フラット化する世界――経済の大転換と人間の未来(上・下)』(日本経済新聞社, 2006年/増補改訂版, 2008年)で「私の見るところ、今の社会には二つのスーパー級の権力機構がある。アメリカ合衆国とムーディーズ・インベスターズ・サービス(MCO)だ。前者は爆弾であなたを破壊できるが、後者は、あなたの債券と評価を下げられる。どっちがより凄いか誰も分からない」と言いました。

     西側の信用評価会社は、資本の評価を決定し、銀行も、個人の信用に基づいて融資するかどうかを決めますが、政府は市民の権利や市民の信用評価を決定することは出来ません。しかし、中国では違います。政府が基準を決め、データを集め、個人を掌握し、企業などの自然人と法人の信用評価を決め、ルールを決定し、裁定し、執行できるのです。

    (2)中国の社会信用評価のクラス分けには、政治的な基準があり、政府批判すると、劣等クラスに入れられる。

     中国のある地方では、何年か前から、社会信用クラス分け制度が行われている。江蘇省のある県では、2010年から、持ち点は1000点で、「国家級表彰」を受けると、100点加算、「義を見て勇気を見せた」ら10点、「老人の面倒を見ない」と50点マイナス、「共産党からの厳重警告」で30点マイナス。毎年、決算され、ABCDクラスに分けられます。A級は入学、就職、社会的救済の優遇が受けられ、D級だと資格取得が否決され、社会保障を受ける権利も失います。このうちの国家級表彰と党内の警告は、政治的なもので、これからも中国の信用評価は、「中国的特色」に満ちたものだと分かります。

     この基準には、ネット言論がまだ入ってませんが、ネット言論を積極的に審査し、ネット空間の未来がどうなるかはっきりしない国家では、ネットでの言論が評価対象にされかねないと言うのは、決して杞憂ではありません。

     ★外国企業の心配のタネは?

    ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国の社会信用システムは、中国でビジネスをする企業に、余計な負担を与えると見ています。中国専門コンサルティング会社のシノリティクスの創業者兼トップのコンラッドの談話を紹介しています。彼は、最近のブラックリスト名簿掲載規定案の中の言葉遣いは、中国政府がやろうとしている「信用できない外国団体ブラックリスト」に呼応したものだと警告し、この二つは相互に交差しており、ブラックリストは、企業社会の信用システムの一部分だとしています。

     EUの中国企業連合会は、① ある企業の社会的信用は、その会社のキーとなるメンバー個人の信用評価に影響を与えるし、その逆もまた言える。これは企業の高級管理職が特に注意すべき問題。② ある企業の社会新章は、他の供給企業の行為により影響を受ける。③ 一旦、ブラックリストに載せられると、そこから外されるのに何年もかかる、としています。

     北京に本社を置くコンサルティング会社のトリビアム・チャイナ者が最近出した社会信用システムに関するレポートでは、このシステムでは、政府に大量のシステムデータを提供することになるとし、中国政府は、自分たちの政治的正当性のためにその技術を強化しかねないと警告。外国の企業にとっては、新たなルールに合わせるためのコストが上昇し、不確定性が増すとしています。

     ★中国の社会信用評価システムは、政治監視システムになる

     中国の社会信用の専門家のドイツ・ヴュルツブルク大学の中国学者Björn Alpermannは、中国の社会信用評価システムには、二大欠点があるとしています。一つは、何をもって評価の基準とするかが極めて不透明なこと。中国政府は、社会責任と信用システムを作ろうとしているが、集める情報は、はるかに財務情報の範囲を超えており、深く、プライバシーの奥まで入りこむ。例えば、政府を批判したり、歓迎されざる行為は皆、評価システムに取り込まれる。二つには、社会評価システムは、世界に悪い見本となる。中国政府は、インターネット監視技術を他国に輸出しており、他の独裁的国家にこの社会信用体系の技術を輸出しようとしているので、

     現代のハイテクは人類の進歩以外に、政府が個人の私生活に干渉する有力な道具になっています。英国の作家、ジョージ・ウォーウェルの小説「1984」は現実になっています。英国のブラックユーモア風刺激の「ブラックミラー」(訳注;2011年から放送されているチャーリー・ブルッカーによって制作された英国のSFテレビアンソロジーシリーズ)のテーマは、人類と技術の関係と「ブラックハイテク」が、いかに人類に深刻な傷跡を残すかです。中国は、一党独裁の専制独裁国家であり、ネットのハイテクでも完全に干渉、監視する力を発展させて来ました。全世界は、中国の社会信用評価システムが、政治監視システムになることを心配しているのは、中国政府の認識に基づいています。(終わり)

     原文は;何清涟:中国的社会信用评价体系为何让人恐惧?

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