• 程暁農氏★「非常時」は豚肉から始まった 2019年9月9日

    by  • September 10, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

    中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売。「2018」編集中;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     ★「非常時」は買い物かごに降臨

     「非常時」は今年から、ずっと中共の関係文書に見られる表現だ。現在に至るまで、「非常時」は主に、財政資金割り当てで、支出引き締めの意味で使われており、その理由は経済不振、借金による自転車操業頼りの地方、中央財政の収支悪化だ。こうした財政の「非常時」は中国経済の非常時の一側面だ。政府の支出が非常時だからといって、必ずしもあらゆる家庭に直接影響があるとは限らないのだが、しかし、中国経済の非常時ともなると、必然的にその影響は千万もの家庭生活に関係するし、家庭の「非常時」だって、やがては影響がやってくるのは分かるだろう。でも、誰もそれが、お肉から来るとは思っても見なかった。

     中国人の食べ物で肉料理といえば豚肉だ。中国は世界最大の養豚大国であり、豚肉消費国であって、2017年の豚肉生産量は5,340万トン。世界の5分の1の人口で、世界の半分近くの豚肉を消費し、一人当たり平均だと毎年40Kgの豚肉を食べている。一家3人なら通常、毎週2㎏250g食べる。もし豚肉が突然高騰したら、あるいは豚肉の病気が流行って食べられなかったら、台所は突然「非常時」になってしまう。他の牛肉や羊、鶏肉とか魚を食べようとしても、当然、そうした代替え品の価格も必然的に値上がりするから、最終的には暮らしの水準に影響してしまう。

     北京の「光明日報」は、6月以来、全国の豚肉が値上がりし続け、農村の500県内の定点観測では、8月の第3週の全国の豚の値段は、500g22.72元で前の週より8.6%、前年同期67.6%値上がり。そして8月の第3週の全国のぶた肉平均価格は35.12元で、前の週より8.3%去年同期より57.3%値上がり。この原因は、アフリカ豚コレラが爆発的に起こって、大量の病気の豚を殺したから。

     しかし、アフリカ豚コレラが、中国国内で猖獗を極めるに至ったのは、当局がロシアから、アフリカ豚コレラに罹患した病気の豚肉を輸入したからだ。では、台所直結の「非常時」はどれぐらい続くのか?この問題の答えは、当局が民衆にアフリカ豚コレラの流行状況をあまり知らせないでいるという事実の中に隠れている。

     ★2 アフリカ豚コレラの恐怖はどこに?

     アフリカ豚コレラは、中国の在来の豚コレラとは違って、その危険性と破壊的な力は、はるかに強い。世界保健機関(WHO)によると、アフリカ豚コレラは1921年、初めて東アフリカのケニアで爆発的に発生し、今もアフリカ29カ国で流行中と。1957年には欧州に飛び火し、ポルトガルで欧州で初めてのアフリカ豚コレラ流行事例となった。1960年にはスペイン、フランス、オランダ、イタリアに拡散。1978年にはブラジルに飛び火し、2007年に東ヨーロッパに、以後、広大なロシアにも広がって、2017年3月にロシア極東地域の猛虎に近い西シベリア鉄道の大都市イルクーツクでも発症。こうして、アフリカ豚コレラは、世界最大の養豚大国にして消費大国の中国の門を叩いたというわけだ。

     豚がアフリカ豚コレラにかかると、死亡率は100%だ。100年近く、人類はまだワクチンを作れないでいるし、現在、いかなる有効な治療が出来る薬もない。だから、アフリカ豚コレラは豚にとっては、罹ったら最後の不治の病。アフリカ豚コレラは、人間には直接害を与えないのだが、急速に広まるから、人類の肉資源に大打撃を与える脅威だ。

     WTOによると、アフリカ豚コレラのウィルスの生命力は大変強いもので、洗浄していない豚舎なら一カ月以上生きることが出来、冷凍豚肉なら3年間も生存する。だから、人類の食用にウイルス汚染された豚肉製品を食べたあと、残った残飯などを豚に食わせると、伝染する。長年、人類は罹患した豚を殺して、他の豚と隔離して、アフリカ豚コレラ菌が消滅することを願ってきたが、そうはいかなかった。

     ★門を開いて疫病神を招き入れた

     本来、アフリカ豚コレラは、東アジア地域には入っていおらず、北京当局は当然、厳しくその侵入を防止していた。ウィキペディアによれば、中国は、アフリカ豚コレラを理由に、ロシアからの豚肉輸入を禁止していた。しかし、2018年、米・中関係が緊張を増したとき、中共は米国に対抗するために、ロシアを仲間にするために、豚肉輸入を解禁した。

     2018年8月25日、中共の鳳凰ネットは「米国豚肉輸入停止、中国の肉は欠乏するか? ロシア農産物現在中国へと」というニュースを掲載。そこで、「ロシアバイカルt区と中国東北地区は、重要な問題を話し合った。すなわちバイカル — マンチュリ国際トラック便の出入国で、ロシア側から牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉や肉製品を含む食品、農産物の輸入を発展させる…」と。鳳凰ネットは、この中で特に、「ロシアの西シベリアグループは、すでに中国向けに24万トンの豚肉を輸送途上にあり、中国の豚肉不足を穴埋めする」と書いていた。

     しかし、この豚肉が中国に輸入される前に、ロシアのイルクーツクではすでに、アフリカ豚コレラが爆発的に発生し、ロシアでは蔓延を防ぐために大量の豚が処理されていた。ここから当然、中国がこの時、輸入したロシア産豚肉が、豚の処理問題解決を大いに助けた可能性は予想できる。しかし、冷酷な現実は、たちまち「門を開いて病気神を招き入れる」悲惨な教訓を与えた。

     ロシア豚肉が中国東北地方に輸入されてから、2018年8月1日には、遼寧省瀋陽市の瀋北地区の養豚家で、史上初めてのアフリカ豚コレラが発生した。2018年8月21日の「サイエンス」誌は解放軍医学研究院長春軍事家畜研究所が8月13日に出したレポートを引用。そのれには、今回のアフリカ豚コレラの遺伝子標本は、ロシアや欧州連合(EU)のと極めて似ている、と。この中共軍部の結論は、基本的に、中国で発生したアフリカ豚コレラの原因を証明している。

     ★暴れる疫病神

     アフリカ豚コレラはまず、東北地方の各地に侵入し、瀋陽市で発生したあと、内モンゴル、吉林、遼寧両省の各地方で相次いで「汚染地域」指定がなされた。発達した交通網のある現代では、「疫病神」は東北だけに止まってはくれなかった。(以下のデータはすべて政府側発表の汚染地域報告から)

     瀋陽で発生した半月後、2018年8月16日には、アフリカ豚コレラは河南省鄭州市の食品工場の屠殺場で発見され、同19日には江蘇州連雲港市海州区の養豚場で、同23日には浙江省温州市楽清市の養豚場で、30日には安徽省の南陵市養豚場、9月2日には安徽省宣城市宣州区古泉鎮の養豚場、同3日には同市の別の養豚場へと広がり、10月20日には、疫病神は南へ北へと広がり、雲南省の昭通市鎮雄県の養豚場へ…と中国の31省と都市に、交通の幹線伝いに、時にはジャンプして拡散するのに8カ月しかかからなかった。明らかにこれは人間が、病気の豚を運んだ結果である。

     東北地区が罹患してから2カ月後には、アフリカ豚コレラはもう湖南、湖北両省や華東地区の多くの地域に広がり、11月中旬には首都の北京を侵し、北京天津地域に。今年の2月には華北各省に全て登場。東北地区から西南、中南、西北各省へ広がる速度は、ほとんど東北に近い華東地区と同じだった。今年4月3日には、新疆でもアフリカ豚コレラが発見され、4月7日にはチベットで、19日には海南島でもみつかった。こうしてアフリカ豚コレラは全中国の全省に拡大したのだった。

     この疫病神退治のために、全国各地では大量巨額の豚たちが殺された。「天下財経」雑誌は8月5日、「7月までの全国の豚の損害は6割に達した。各省の損害は大きく、市場出荷の盛んな省、とりわけ福建省、安徽省、江蘇省、広東省、広西省では、平均して7割の損害、河北省、山東省、浙江省、湖南市の市場では6割の損害。こうして疫病神のおかげで、豚肉が値上がりするのは当然の結果だった。

     ★5 なお居座る疫病神

     現在、中共は民心をなんとか慰撫しようと八方手を尽くしており、大々的に養豚を奨励し、民衆に、肉の値段が落ち着いて、量も供給される日が近いと思わせようとしている。疫病が広がる前の当局の規定では、疫病発生地区は半年間、豚を飼ってはならないことになっていたが、今年の1月29日からは、6カ月間豚舎を空けておくという規定を45日に短縮した。しかし、疫病神がはたしてこれを”評価”してくれるかどうかは、楽観視出来る根拠は極めて薄弱だ。

     細かく政府側の発表した疫病発生地域の指定と指定解除された地域を見てみると、二つの現象に気がつく。

     一つは、今、発表されているアフリカ豚コレラ発生地域の宣言区域は完全ではないことだ。多くの発生地域は告知されていない。例えば、遼寧省の開原、雲南省の昆明、四川省の宜浜、甘粛省の慶陽、寧夏の銀川、甘粛の蘭州七里河区と蘭州経済技術開発区など7箇所は「疫病解除広告」が出されており、すでに爆発的な事態ではないとされているが、しかし、アフリカ豚コレラが発生した時には、これらの地方は、「疫病発生」の公告はされていないのだ。

     第二には、去年の9月から今年6月末までに、疫病発生公告が出された多くの地方では、未だに「解除公告」が出されていない。つまりアフリカ豚コレラが再度発生したか、まだ治っていないわけだ。当局の規定「非アフリカ豚コレラ」地域は、6週間継続観察し、発生がなければ政府部門に解除を申請出来る。しかし、内蒙古(3处)、湖南(6处)、山西(2处)、重庆(1处)、吉林(1处)、江西(2处)、福建(1处)、安徽(1处)、湖北(2处)、四川(1处)、云南(3处)、宁夏(1处)、广西(2处)、山东(1处)、河北(1处)など15省市の28のアフリカ豚コレラ爆発地域では、養豚場や養豚農家はいまだに、解除の公告をしてもらえていない。これは、現地の養豚業者は地方政府がうっかりして忘れたなんぞいうことはあり得ず、依然として解除できないでいるわけで、現地の養豚業者は豚肉を販売できず、その損失は依然として拡大し続けていることを意味する。

     中国の隣国でアフリカ豚コレラが発生していることも、疫病神が去っていないことを示している。今年2月18日、広西省北海市銀海地区で、同自治区初のアフリカ豚コレラが発見され、翌日、広西省の隣のベトナムでもアフリカ豚コレラウィルスが確認された。以後、ベトナムでも急速に拡大し、7月8日には、ベトナム全国の63の省市農地、62の省市で爆発的に拡大、屠殺処分された豚は1割になった。ベトナムに接するミャンマーでも同時に発生。今年5月10日の香港では、広東省からの豚の内臓からアフリカ豚コレラウィルスが発見された。

     このほか、まだアフリカ豚コレラが発生していない近くの国々からも、中国旅行者がもちこもうとした携帯食品からアフリカ豚コレラウィルスが発見されている。去年、8月20日と26日には韓国で、中国人旅行客の持っていた豚肉製品からウィルスが発見され、遺伝子検査で中国からのものとわかった。

     日本でも、去年10月1日、北京から戻った旅行客の荷物から750gの豚肉が見つかり、アフリカ豚コレラウィルスが発見された。14日には上海から帰った旅行者の持ち帰った餃子から、11月22日には、大連からの旅行客の荷物からアフリカ豚コレラが見つかっている。今年1月には、青島と上海から別々の中国旅行者の持ってきた豚肉ソーセージから見つかっている。台湾と中国大陸間では頻繁な旅客往来があり事例も多々。10月31日から今年1月10日までに12回も豚肉からアフリカ豚コレラが発見され、ウィルスは中国のものと一致した。

     明らかに、中国が大量の豚を処分してから、表面的には各地でアフリカ豚コレラが爆発的に発生せず、治ったように見えるが、豚を皆殺しにしたのだから、自然と病気の豚は減る。しかし、病気の豚肉が製品として売られて、しかも、アフリカ豚コレラウィルスは冷凍肉の中で3年も生存出来る。未だに大量の毒性をもった肉製品は中国各地の市場で売られており、他の国にも持ち込まれて発見されている。

     疫病神は、まだ退場しておらず、「生存方法」を変えたのだ。北京当局が、完全に豚肉製品を廃棄する決心をすれば、あるいは再発率を減らせるかもしれないが、そんなことをしたら、ただでさえ肉不足の台所の「傷に塩を塗る」ようなことになる。

     現在、当局は民衆に、台所の豚肉供給は大丈夫、すぐに豚の飼育量は上がると保証している。その約束が信用できるかどうか、福となるのか災なのか、実際は政府もわかってはいない。これは疫病神が決めること。疫病神を招き入れることは簡単だったが、追い出すのは至難の技なのである。(終わり)

     原文は;程晓农:中国——紧日子从吃肉开始?

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