• 程暁農氏★「紅色モンスター」はグローバリズムが生んだ暗黒 (2019年9月17日)

    by  • September 22, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

     経済のグローバリズムは巨大な暗い影を出現させた。中共がグローバリズムに参加して以来、グローバリズムは全世界の覇権を唱えようとする道具となった。しかし、多くの西側諸国の学者たちはずっとこの間、逆に経済グローバリズムが、中共を民主化すると誤解してきた。現在、米国の貿易問題の新たな試みは、グローバリズムが米国にもたらすマイナス面を減らし、同時に中国の戦略的意図への防衛策なのだ。

     (1)経済のグローバル化は間違いか?

     経済のグローバル化は、人類社会の進歩の証拠で、最高のものだとずっと見なされてきた。一部左翼の眼中には、その上「ポリティカルコレクトネス」の栄冠まで載せられた。グローバリズムを批判しようものなら、それはポリコレに反する行動だとみなされた。

     そして、米・中貿易摩擦から米中貿易戦争が勃発するや、経済グローバリズムを擁護するために、皆、同意見の一辺倒現象が起きた。西側の経済学者から米国の反トランプ団体、欧州やアジア各国の政府から米国実業界の多数派に至るまで、表現は違っても、基本的に「元のグローバリズムに戻れ」「中国産品の関税値上げは、経済の安定を損なうから反対だ」という回帰願望では同じだった。

     ニューヨーク・タイムズ紙の5月16日「米中貿易戦争のエスカレートはグローバル経済を脅かす」が、まさにこの代表。では、こうした異口同音の説は、正しい判断なのか? 正反対であって、彼らの声は、ある種の過去ずっと続いてきた間違った見方なのだ。

     こうした誤った見方の根源には、経済グローバル化の本来的な欠陥と、中共の制度が向かう方向に対する誤った理解が根底にある。もっと言えば、こうした見方は、専制国家の支配する超大型経済が、経済グローバリズムに加わることによって起こされる悪い結果や、多国籍企業の国外投資が、その母国に対してもたらすマイナス効果を軽んじている。

     第2次世界大戦以後、第3世界は次々に独立を果たした。そのうちの一部の国家、とりわけアジアの国家は、次々に急速な経済発展の道を歩んだ。経済グローバリズムは、この過程の中で次第に形成された。文化面で言えば、その主流派西側文明とコマーシャリズムが、発展途上国に影響を与えた。しかし、投資と国際貿易を見れば、先進国の投資と技術は、投資に適した国家に移転し、途上国の安価な製品が、どっと先進国に入り込んできた。どんな途上国も、グローバリズムのバスに乗りさえすれば、経済的に繁栄出来た。こうして見れば、経済グローバリズムは、まさに発展途上国と先進国のウィンウィンな国際経済構造ではないか? どこが間違っているのか?

     国際社会では、これまでのところ経済グローバル化は変わっていないし、国境もなくなっていない。そして国境とは、国家の政府が自国の居住民の福祉を守べき境界であって、外側の世界各国の国民の需要を、真っ先に満たすためのものではない。別の面から言えば、民主国家の選挙民は、投票で自分の国の政府を選ぶのであって、世界政府を選ぶわけではない。有権者が代表を選ぶ基準は、政権政党が自国民の福祉を守りうるかどうかであって、自国民の福祉を犠牲にして、グローバルな目標を達成してもらうためではない。

     まさにこの点で、西側経済学者たちの認識には盲点がある。彼らは、ミクロ経済学の視点から経済グローバル化を考察し、企業の立場から経済グローバル化の長所をみるだけで、各国の選挙民の立場から、ものごとを見ようとしないのだ。

     この間違いは、現在二つの面で表れている。一つは、西側経済学者は、グローバル自由貿易での自由な投資環境では、企業は最大の利益を追求することによって、世界経済に最大の活力を与えると考える。しかし、そのグローバル経済に参加するのが、西側企業だけではなく、中国のような専制政府だった場合、中国政府によって手足を縛られた状態にある西側企業が、どうして中国政府に敵うというのだ?

     第二には、先進国の企業が途上国に投資し、生産ラインを移転させれば。たしかにコストを下げて利潤を上げることは出来る。しかし、多くの企業が同時に同じようにすれば、本国の製造業の就業機会は大幅に失われてしまう。こうした企業が、グローバル化の中で稼いだお金は、必ずしも本国の税金にはならない。彼らはオフショア金融センターを通じて節税し、会社は甘い汁を吸うことができるが、本国の納税者は損をする。なぜなら、先進国の政府は、財政収入不足で、起債するしかなく、それは後代の納税者によって償還されることになるのだから。

     (2)専制的な超大型経済体が経済グローバリズムを牛耳る

     西側経済学者たちは、これまでマクロ的な国家間の経済バランスの喪失の可能性を、グローバリズムのマイナス面作用として考えては来なかった。これは彼らの犯したもう一つの間違いだ。しかしながら、これまでにもう、グローバリズムのプロセスの中で、こうした専制的な超大型経済体が、グローバリズムを操ったらどうなるかということは、その始まり段階でも明らかになってきている。

     それは、もし労働力が全世界の6分の1を占める超大型経済体が、グローバリズムに加わった場合、その経済体は各国の投資や技術を吸い込むことによって、完全な産業チェーンを形成し、そのあと廉価な商品が、先進国の製造企業を駆逐し、グローバル市場を占拠して、最後には、グローバル経済をその国の経済に依存させてしまうようになる。単純な国際貿易という視点から見ても、こうした局面はずっと続けることはできない。それは多くの国々の製造業を衰えさせて、深刻な貿易赤字を生み、最後には国際的な支払い困難に陥る。そうなったら、この超巨大経済体と雖も、もう稼ぐ方法はなくなってしまい、中国からの輸入にも外貨がなくなり、政治的に中共の援助をあおぎ、中共の支配を受けるしか、選択肢がなくなってしまう。長期的に見て、この種の局面が、国際経済政治構造としてのウィンウィン関係か、一方的な勝利となるかの答えは明らかだ。

     更に一歩進めてみれば、もしこの超経済体政府を支配しているのが赤色専制政府であれば、この政府のイデオロギー的な戦略目標は、「社会主義の資本主義に対する最終的勝利」を実行レベルに移すということである。つまり、超大型経済体の専政政府は、一つのグローバルな戦略目標を持っている。世界一大きい、最強の民主国家に狙いを定めて、全力で全方位的にその力を削ぎ、打撃を与えようとするだろうし、その場合の目標はもちろん米国になる。そして力を削ぎ、だげきを与える重要な手段の一つが、専制的政府が握る超大型経済の国内市場と、経済グローバル化の中で蓄積した製造業の生産能力をもって米国を挟撃することだ。今回の米・中貿易戦争は、その実践演習であり、北京当局は中国製品を輸入している米国企業を米国内のロビー活動に使い、米国の農業生産物を輸入停止させたり元に戻したりすることで、間接的に米国の選挙情勢を左右しようと試みている。

     現在の米・中双方は、歴史上かってなかった国際構造の中にある。それは米国は中共の数々の侵害を被っているのだが、ソ連時代のように、比較的簡単な冷戦対策では対応することが出来ない。というのも、中共が経済グローバリズムに加わって長い時間をへており、中国経済と米国経済は、既に、お互いに相手の中に入り込んで、牽制しあう状態となっており、双方の摩擦が、いったんエスカレートすると、双方が打撃を受けるからだ。

     (3)WTO対中共 どちらがどちらを制限するのか?

     西側国家は、昔は、中共が世界貿易機関(WTO)に加入すれば、あらゆる規則を自覚的に尊重遵守すると思っていたし、WTOの官僚たちも同じ錯覚に陥っていた。甚だしきは、中共が経済グローバリズムに参加したら、民主化の道を歩むだろうとさえ信じていたのだった。

     今から見ると、WTOのルールが中共を制約するといいうより、中共が自分たちの行動でもって、WTOのルールの愚弄する先例を作ってしまった。そして、WTOのメンバー諸国も、目先の利益から、中共に文句を言おうとしなかった。その結果、WTOは、ずっと中共の違約行為に譲歩し続けてきた。その意味ではWTOは、違反行為に対する拘束能力を既に失ってしまい、その存在意義が疑問になっている。

     中国が経済市場化を推進する前から、経済グローバル化は、始まっていたが、それまで大きな問題はなかった。その理由は、参加各国が基本的に自由社であり、大国ではなかったからで、国際ルールに挑戦しようという野心も能力もなかったからだ。しかし、グローバル化が中国を重要な協力メンバーにしてからは、一大変化が起きた。経済グローバル化は元々は、自由国家間の多国籍企業の協力で、WTOはそうした協力に、ルール上の保証を与えるものだった。特に強調しておかねばならないのは、経済のグローバル化は、政府間の経済協力ではなく、異なった国の企業間の協力だった、ということだ。この点が、なぜ大事かというと、経済のグローバル化に参加した国々がみな自由国家だということに関係する。

     いわゆる自由国家というのは、市場経済であるだけでなく、政府が直接あらゆる経済活動を支配したり出来ないし、政府が元から目指している世界的な目標のために利用したり出来ない。言い方を変えれば、自由国家が経済グローバル化に参加するのは、経済グローバリズムをもって、世界の覇者になる道具にするためではない、ということだ。だから、WTOのルールは、参加国の中から、世界経済政治秩序の脅威になるような国が出てきたら、どうやって防衛するかなどいうことは考えもしなかったのだ。この種の経済グローバル化の美しい理想の光景の背後には、全世界の左派の昔の夢、つまり「世界は一家」という考え方が潜んでいた。

     だが、大変残念なことに、世界の主要民主国家がこのように無邪気だったために、経済グローバリズムは、自らいずれは爆発する「地雷」を抱え込むことになった。無邪気だったという意味には二つある。一つには、あらゆる経済グローバル化の推進国家は、みな自由と民主を信奉するだろうということ。二つ目は、ソ連が崩壊したのだから、もう世界に、経済政治秩序に対する脅威となる大国は出現しないだろうと思い込んだこと。

     確かに、冷静ん時代に、ソ連はずっと世界平和の秩序の脅威ではあった。しかし、ソ連は市場経済を拒否し続けていたので、ソ連陣営のメンバーは、大小を問わず、自由国家間の企業発展や長期全面的な経済協力には参加しなかった。ソ連解体後、多くの無邪気な西側人しは、みな諸手を挙げて万歳し、世界には以後、世界平和秩序を脅かす専制大国は登場しないだろうと思ったのだ。彼らの目からすれば、中国は市場経済を推進しているし、それなら遅かれ早かれ、自由世界の一員となるだろうと映ったのだ。米国と欧州のパンダ派(親中国派)は、こう自分たちの立場を擁護したものだ。

     彼らの最大の過ちは、中共がWTO加盟する決定をする以前に、経済市場化(国有企業の全面私有化と計画経済の放棄)を通じて、既に独特の「共産党資本主義」の基本的な制度的枠組みを完成させていたことを見なかったことだった。私は2015年に、英文で初めて「共産党資本主義」というこの制度を提起したが、そのときは所有制の側面を重んじすぎた。つまり、共産党幹部が、いかに、国家財産を私して、何十万の国有企業の社長になりおおせたかという点を分析したが、更に一歩進めて、そうした紅色資本主義がいったん、経済グローバリッズムに入り込んだら、将来にどんな結果を生むかについては、分析しなかった。

     (4)米・中貿易戦争の戦略的意義

     トランプ大統領は、就任以来、前任者の残したマイナス遺産を整理し始め、そのもっとも重要な一つが、米・中関係の再調整だった。中国がWTOに加入して以来、経済規模がますます大きくなって、自らが「崛起」する力があると思い、自分の必要性に応じて、全世界貿易をコントロールし、各国から技術を奪いとり、米国の受ける傷はますます大きくなった。が、WTOは、道理をわきまえず、やりたいほうだいの巨大モンスターに、無策のまま手を束ねていた。

     米中貿易戦争の原因は、見た目には世界でこれまで起こってきた貿易摩擦のようだが、実際は、その中で注目されていない重要問題がある。それが、中国は、民族主義宣伝とイデオロギー的な必要性から、米国経済と軍事競争の両方で力をそごうと、表裏一体で経済と科学技術レベルで、「甘い汁」を吸って、大国としての財力と軍事力を強化して、米国に圧力をかけようとしていることだ。

     こうしたやり方は、太平洋戦争勃発前の、日本の対米外交と貿易関係に似た点がある。だから、米国は、単純に経済レベルから現存の問題を見るわけにはいかない。米国は、現在及び今後の多くの措置は、単に経済上の相互関係だけに着眼しているわけではない。それには、中国の戦略的意図からの防衛準備を含むものだ。この点、米国の政界では誰もはっきり言わないが、潜在的な共通認識は、ますますはっきりしてきている。

     グローバル経済秩序は変えるべきか否かについては、各国の立場は、大変異なる。中国に言わせれば、変わらないのが一番だ。引き続きうまい汁が吸えるから。その他の多くの中小先進国は、中国によって損害を被むるのを恐れてはいるが、引き続き米国から甘い汁をすいたいとも思っている。だから、どっちつかずの姿勢だ。大損を被っている米国だけが、グローバル経済秩序を変える力を持つのだ。グローバル経済秩序を変えるのは、米国しか出来ない。中国より大きな力をを持っている国だけが、それが出来る。

     現在のWTOは、うまい汁を吸うだけで約束は守ろうとしない中国に対し、空文句を述べ立てるだけで、永遠に中国が自ら、改革するのを待っている。しかし、中国は、ひたすら自分に有利な、損をしない改革しか望んではいないし、自分に不利になる弱みに付け込むやりかたを放棄したりしない。

     例えば、他国の知的財産権を侵害することを約束する、とか。こうした状況の下で、グローバリズムの過程において、一番大損を被った米国は、一国だけで自分の利益を擁護するしかない。実際、どの国も、米国がどれほど損をしようがかまいはしない。だから。米校区の利益は、米国が自分で守るしか無い。

     米国の貿易新政策は、経済グローバリズムのこれまで蓋されていた暗い面を、明るみに出した。WTOは、「紅色のモンスター」の前では、ひ弱く無能であり、経済グローバル化は、「紅色モンスター」によって勝手に自由にされてしまうという嘆かわしい局面をだ。

     あるいは、こういう言い方もできる。経済グローバリズムは、そのクライマックスを既に過ぎ、現在、自分自身が生み出した暗黒に入りつつある、と。人々は、いやでも新たなグローバリズム構造を再認識せざるを得ないだろう。(終わり)

     原文は;“红色巨无霸”是经济全球化造就的一个阴影 http://www.epochtimes.com/gb/19/9/16/n11526232.htm

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