• ★米・中貿易戦争 — 終点はまだだが、勝敗は大体見えた  2019年9月23日

    by  • September 24, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

     9月19日の米・中ワシントン副大臣級貿易交渉の前に、中国側は友好的雰囲気を作り出す努力を払って、トランプ大統領の票田である中部農業州への「戦略的打撃」を与えていた大豆や豚肉の購買禁止を解きました。しかし、トランプ大統領は「望んでいるのは完全な米・中協議であり、部分的協議ではない」で、今回の交渉もさしたる結果はなく終わりました。

     実際、貿易協定が調印されようとされまいと、この一年の交渉・闘争が入り混じって続いた過程で、米・中双方の勝敗はもう決まっています。以下、それぞれの戦争の戦局の結果を列挙してみましょう。

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    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     ★豚肉戦争は中国完敗

     対米豚肉大豆戦争は、習近平が「肉を切らせて骨を断つ」、犠牲を恐れない作戦でした。中国は農業生産物の輸入大国で、2017年の食料自給利率は82.3%です。この数字は、中国は約18%の農産物(約2.75億人の農産物消費)を、国際市場からの輸入に頼りということです。米国は農業生産物の輸出大国であり、大豆や豚肉生産の産業は、ほとんど中国の需要に応じて発展してきました。

     中国は、農業産品に関税をかけて、トランプ大統領の支持基盤である農業州に打撃を与えようとしました。米国のシンクタンクの研究報告から閃いたアイデアです。2018年3月下旬、トランプ大統領は、対中貿易戦争を宣言し、米国ブルッキングス研究所は、4月9日に「中国が米国商品に関税を課した場合の影響」(How China’s proposed tariffs could affect U.S. workers and industries)を出しました。これは、中国側が、米国に対して報復として出した二つの関税リストの影響を細かく米国の郡レベルで分析したもの。2743の郡のうち、2247(82%)郡が、前回大統領選挙でトランプに投票していました。この研究から計算すると、もし米・中貿易戦争が勃発した場合、一番深い傷を負うのは、トランプ大統領の支持基盤の中部の共和党色(赤)州だということになります。2016年の大統領せ挙では、豚肉と大豆のベスト10生産州で、トランプは8州で勝利をおさめていました。

     中国は世界最大の養豚大国であり、豚肉消費国です。中国人口は世界人口の約5分の1ですが、全世界の豚肉の半分近くを消費します。2018年米・中貿易戦争開始以後、北京は、2020年の米国大統領選挙で、豚肉と大豆の購入拒否によって、トランプ大統領の票田の「赤い州」に打撃を与えようと、米国側の中国商品2000品目への関税に報復措置として、米国豚肉に62%の関税をかけました。同時に、この豚肉の輸入で減った分を埋め、米国に対しての示威の意味もあって、ロシアから豚肉を輸入したのでした。この輸入のおかげで、アフリカ豚コレラが中国に入り込み、中国国内の豚肉市場を深く傷つけたばかりか、隣国にまで蔓延させてしまいました。以下、データを見て見ましょう。

     (1)中国国内の豚肉は引き続き値上がり。米国からの輸入を辞めてから、中国農産物の価格は、どんどん値上がり。その上、アフリカ豚コレラの影響もあって、「新京報」8月25日の報道だと、豚肉が500グラム88元になった。今年の7月と比べても、8月は46.7%も値上がり。民心慰撫のために、全国29の省で合計20億元分の補助金を出しています。福建省の某所のように、豚肉は地元の身分証明書を見せた上、1人1キロに制限もされています。

     (2)米国からの輸入は増えている。ブルームバーグ・ニュースによると、中国の2019年の米国豚肉輸入量は、史上最高で、30万トンに達したと言われます。2017年より81%増えています。2017年には16.6万トンでした。

     (3)アフリカ豚コレラを国内に持ち込んだことは、将来、長い期間の患いになるでしょう。中国人は「隣国を洪水のはけ口とみなす」悪癖がありますが、今回のアフリカ豚コレラの伝搬の速さは、一部の人間が欲に駆られて、病気の豚を地面に埋める処理をせず、各種の加工肉製品にして全国に売り、中国の消費者は事情を知らないまま隣国に持ち込んでしまって、大きく病気を広めてしまいました。

     かくて、中国が意図したトランプ票田豚肉攻撃は、中国側の完敗でした。

    ★グローバル生産チェーン再構築。外資は中国を離れる

     中国経済は、2015年から下り坂の兆候がはっきりし始め、2016年には外国為替管理体制強化によって、外資は中国から撤退すべきかどうか考え始めました。米中貿易戦争は、少なからぬ外資企業に撤退を決意させ、グローバル産業チェーンの再構築は、避けられない事態となりました。

     中国はずっと、中国の外資は増えていると主張し、一部の外国メディアも、米国資本や西側資本はまだ迷っていると報道しています。しかし、ヴォイス・オブ・アメリカ(VOA)は7月23日に、米国服飾製靴協会のスティーブ・ラマーの言葉を引用して「米中で最終協議が妥結したとしても、外資企業の中国撤退はもう時の勢いで、続くだろう」と。アップルや任天堂をふくむ50以上の多国籍企業は皆、生産ラインを中国から移すことを発表しました。このほか、サプライヤー監査、実験室試験、製品検査を提供する品質管理とコンプライアンス企業のQIMA社の最新調査では、80%の米国企業と、67%の欧州連合(EU)企業が中国から退出中だとしています。

     日本の野村証券は、この8月、米中貿易戦争の勝者は中国でも米国でもなく、ベトナム、台湾、チリだというレポートを出しています。今までのところ、ベトナムが最大の勝者だと。

     ベトナム共産党の機関紙「ニャンザン」は、2019年5月末までに、ベトナムが批准した外国資本投資総額は、167.4億米ドルで、同期比で69.1%増加。そのうち、加工製造業がもっとも人気で、総額の71.8%を占める。中国の製造業も争って進出しており、外国の工場がベトナムに相次いで工場を建設したため、ベトナムの労働力コストや土地、工場などの賃貸料は急速に上昇し、ホーチミン市周辺の省では工業用地の賃貸料が2015年の1ムー(約6.67アール)が30ドルから100ドルに値上がりした。労働力コストも同様に、現在のベトナムの給料は、2014年より50%増加し、2019年のベトナムの第一区域の最低賃金基準は、人民元にして1237元で、既に労働力不足の兆候が見える、と報道されています。

     米・中貿易戦争の影響を受けた台湾実業界のために、台湾政府は今年、台湾企業の台湾復帰の投資を歓迎推進を図りました。台湾経財相の最新情報では、現在までに118社が台湾実業回帰2.0方案に応じて、総額5637億台湾ドルを超えて、台湾に4万8906人分の新たな就職先をもたらしたと言います。

     中国の10大輸出企業の中で、台湾資本は4社を占め、その二番目は鴻富錦精密電子(鄭州)有限会社ですが、その輸出総額は486.98億米ドル、第四番目は富士康で303.50億ドル。第五番目の達豊(上海)電脳有限会社は、234.73億ドル、第七番目の華碩(ASUS)系の昌碩科技(上海)有限会社は203.86億ドルです。こうした企業が台湾に戻ったり、中国から撤退する影響は、かなりのものです。

     英国のフィナンシャル・タイムズ紙は、トランプ政府は、米国の核心技術に対する外国の投資審査を範囲を拡大し、米国技術を保護し、中国などの他の大国の手中に陥るのを防止しようとしていると報じました。

     制度が拡大されると、半導体、航空機、バイオテクノロジーなどを含む27の業界に関係する核心技術の設計、実験、開発にかしては、米国外国投資委員会(CFIUS)への報告が義務付けられます。

     米国がこの政策を採る重要な原因は、中国が知的財産保護を受け入れないからです。今年5月に、米・中貿易協議が中国側の一方的な「ちゃぶ台返し」されましたが、あれは、まさにこの点で米・中双方の監督体制機関設立で合意をみなかったからです。米国側は、依然として5月末に同意した協議草案に復帰したいと願っています。

     しかし、米側は、13回目の交渉がちょっと進展を見せたとしても、知的財産権問題に関しては、米中間には根本的な意見の相違があり、依然として合意しようがないことには、準備ができています。双方が知的財産権の盗用、技術移転の脅迫、米・中間の巨額貿易赤字では依然として大きな隔たりがあり、短期間に全面的貿易協議の合意に達するのは難しいのです。

     誰でも承知していますが、中国の科学技術の進歩は、米国にいる中国系エリートが大量に米国のハイテク企業に就職したおかげです。1995年に、中国スパイを防止して、知的財産権の保護を訴えるコックス報告書が、米国の政府、民間の反対によって否定されてから、米国は中国に対して防護壁を構築しませんでした。

     中国政府は、米国の中国系の人々に、技術を中国に持ち帰る「千人計画」を公然と長年にわたって行い、米国側もこれを見て見ぬ振りをしてきました。

     公平に言えば、中国が狂ったように米国の知的財産権を盗み出したのは、米国のこうした姿勢にも原因があります。もし米国が今から、中国に対して垣根を作れば、いささかの防止作用にはなるでしょう。米国が今から、知的財産権窃盗、企業所有権、強制技術移転、ネット攻撃、産業スパイ、いかに監督し執行するかなどの内容を協議の対象とするのは、自国に対する責任であり、一部の人々をそうした行為から足止めするためです。

     以上の事実は、米中貿易協議の合意に至るまでには、まだまだ時間がかかるでしょうが、米・中間では、5G技術の勝敗がまだ決まっていない以外は、上述の戦場では、中国は負けているということです。(終わり)

     原文は;何清涟:贸易战终点未到,中美输赢粗定

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