• 程暁農★中国経済の下り坂と厳しい日々の到来  2019年9月23日

    by  • September 25, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

     中国経済は、今年7月以来、困難にむかって下り坂を加速中だ。米・中貿易戦争が大きな原因だが、国内経済も既に成長エネルギーを失しなっており、必然的な結果でもある。アフリカ豚コレラの長期的影響は「肉不足」を生み、更に大衆は財布の紐を引き締めた。中国の各級政府ばかりか、一般家庭にも「厳しい日々」がおとずれている。

    中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売。「2018」編集中;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

    (1)経済下り坂の歴史的背景;輸出と不動産投資では力不足

     どんな国家も、経済は、輸出、消費、投資の「3頭の馬車」の力によって決まる。米・中経済関係の悪化は、主に輸出に悪影響を与える。それでも、国内需要が以前として旺盛ならば、坂を下る速度は、それほどまでには早くならない。

     しかし、現在の中国では投資と消費が収縮している。つまり、3頭の馬車は、みなダメダメなのだ。これに対しては、中国政府も、心中、予期するところがあって、4年前には「経済新常態」という考え方を提起している。「新常態」の意味は、過去20年の経済高度成長時代はもう過ぎ去って、今後は、成長速度が弱まるということだ。これが下り坂経済に対する政府側の描き方だ。

     今世紀になって世界貿易機関(WTO)に加盟後の10年間の中国経済の繁栄は、輸出頼みだった。国家の輸出依存度は、外国貿易依存度(輸出入総額がGDPに占める割合)による。中国が2001年にWTOに加盟した時の貿易依存度は、38.5%だったが、2006年には67%に跳ね上がった。こうした外国貿易依存は「輸出大国」といわれた日本の平成景気末期の4倍以上だ。

     しかし、当時、繁栄の喜びに浮かれていた中国社会も当局も、こううした輸出依存は脆く、長期にわたって維持するのは難しいことを気にしていなかった。果たして、中国の輸出品の質の悪さ、コストの急上昇、人民元の値上がりなどの原因で、中国の輸出景気は2012年から、衰退へと向かった。そして、米国市場の急速な拡大と、知的財産権侵害は、とうとう米・中経済戦争を招き、突然、長年にわたって数千億米ドルもの黒字によって外貨準備高を積み上げてきた道が終わってしまった。現在から見れば、米・中経済衝突は、実はとっくに、かつての輸出景気の中に根を持っており、その発生は、完全に予想出来るものだったが。

     2008年から、中国は経済衰退を阻止するために、大々的に不動産開発を行い、不動産バブルによって経済を牽引した。そして、過去10年、急速に膨張した不動産バブルは、ついに供給が需要を上回ってしまい、同時に不動産賃貸価格の急上昇は、消費者の財布を空っぽにしてしまった。そして、不動産需要をめぐり奇形的発展を遂げた製造業のサプライチェーン、地方政府が不動産開発のために、大量投入したインフラ投資による巨額の地方債および銀行の民間貸し出しの不動産業界への依存と、潜在的金融危機を生み出した。今や、不動産投資が経済を牽引する戦略は、袋小路のどん詰まりまで来てしまった。

     (2)現在の経済状況

     下り坂経済の加速とは、一体どんな状態か? まず輸出を見てみる。中国国家統計局の今年9月発表のデータによると、8月の輸出は去年同期より4.3%減で、この3年間で初のマイナス成長だ。次に投資はといえば、不動産投資のスピードは4カ月連続でマイナスで、製造業と建設投資のスピードは低迷し、8月の製造業投資は去年同期比1.6%減。同時に、今後の経済動向を示す一連の指標では、不動産販売、土地購入、当地購入資金量などが、いずれもマイナス。買担当者指数.PMIも明らかに下降し、去年同期比で2.5%減、赤字になったり、利益が減少した企業は46%で、去年より10%増えた。家庭用の乗用車販売では、174社のうち126社がマイナス、あるいは利益減だった。

     不景気の下で、消費者の購買力が経済成長を支えうるかどうかは、消費物価指数から判断出来る。もし水準が下降し続けているなら、消費者の購買力は、ますます弱まっているということだ。

     今年の8月の消費者物価指数は2.8%増加した。だが、これは消費者の購買力の増加を意味しない。それどころか反対で、豚肉の値上がりによるものだ。8月の豚肉の平均価格は、7月に比べて23.1%も値上がりしたし、豚肉の値上がりは牛肉や羊肉、鶏卵などの値段を、それぞれ4.4%、2.0%和5.9%押し上げている。豚肉価格が消費物価指数増加の主な原因なのだ。

     豚肉を除くと、その他の消費物価指数は、平均して値下がりしており、これは消費者の購買力低下を示している。肉の値段高騰は、それ自体が消費者購買力を弱め、多くの中、低所得者家庭では、豚肉が食べられなくなっている。

     (3)アフリカ豚コレラの深刻な結果

     豚肉の高騰は、アフリカ豚コレラのせいだ。豚肉の値上がりで、多くの家庭は、財布の紐を引き締めなければ、と思うようになった。経済が冷え込んでいるところに、泣きっ面に蜂だった。では、アフリカ豚コレラの爆発は偶然か?と言えば、そうではない。これはわざわざ招き入れたものなのだ。

     アフリカ豚コレラは、普通の中国の豚コレラと違い、その危険性ははるかに深刻だ。ウィルスが冷凍豚肉の中でも、3年間も生存可能で、豚肉製品のなかに身を隠せば、それが残飯飼料になって他の豚に伝搬する。豚はこれに罹患すると死亡率100%で、この100年間研究されてきたが、未だに防疫手段が見つかっていない。人間には感染しないが、急速に大量の豚を死に至らしめることによって、人類から肉資源を奪い、人類の生活に脅威を与える。

     世界保健機構(WHO)によると、アフリカ豚コレラは、1957年にアフリカから欧州に伝わり、2017年3月にモンゴルに近いロシアのイルクーツクで発生、中国の門を叩きはじめた。中国のおかずは豚肉が中心で、2017年の豚肉生産量は5340万トン。中国は世界の5分の1以下の人口だが、豚肉は全世界の半分近くを消費する。中国人は1人平均、毎年80kgの豚肉を消費し、3人家族なら、毎週2キロ以上の豚肉を食べている。

     ウィキペディアによれば、中国は、以前はアフリカ豚コレラの脅威を防ぐために、ロシアからの豚肉輸入は禁止していた。しかし、2018年の米・中関係の緊張が高まる中で、中共は、米国に対抗するために、ロシアからの豚肉輸入を解禁した。2018年8月25日の鳳凰ネットサイトでは「米国豚肉輸入停止。中国で豚肉欠乏は起きるか? ロシアからの輸入が途上にある」という記事を掲載。その中で、中国東北で、ロシアから豚肉をふくむ農産物を輸入し、「ロシアのシベリアグループは、中国向けに24万トンの豚肉を輸入、米国からの分の穴を埋めるに十分だ」と述べている。ロシアではアフリカ豚コレラ発生後、大量の豚が処分されており、中国は、ウィルス感染した冷凍豚肉を輸入し、「疫病神」を直接招き入れてしまったわけだ。

     ロシア豚肉が中国東北地方に輸入されてから、2018年8月1日には、遼寧省瀋陽市の瀋北地区の養豚家で、史上初めてのアフリカ豚コレラが発生した。2018年8月21日の「サイエンス」誌は解放軍医学研究院長春軍事家畜研究所が8月13日に出したレポートを引用。そのれには、今回のアフリカ豚コレラの遺伝子標本は、ロシアや欧州連合(EU)のと極めて似ている、と。この中共軍部の結論は、基本的に、中国で発生したアフリカ豚コレラの原因を証明している。

     アフリカ豚コレラは以後、急速に拡散し、今年の4月には中国のあらゆる省と市(チベットや新疆もふくめて)すべてに出現したことが役所の発表でも分かる。中国の31省と都市を、たった8カ月で攻め落としてしまった。

     この疫病神の脅威に対して、全国各地では大変な量の豚が処分された。「天下財経」8月5日の報道によると、「7月末までに、全国の豚の6割が失われて、各省での飼育豚の損失は深刻で、とりわけ、豚の生産交易の盛んな、福建省、安徽省、江蘇省、広東省、広西省では7割、河北省、山東省、浙江省、湖南省では6割以上の損失、と報じた。当然、豚肉の価格は暴騰した。北京の「新京報」8月25日の報道では、キロ88元になったと報じている。政府は、国家備蓄の冷凍豚肉を放出しているが、焼け石に水だ。

     大量の豚を処分しながら、ウィルスに汚染された冷凍肉の販売を禁止しないのは、アフリカ豚コレラを冷凍状態にして天下にばらまくに等しい。養豚場から豚がいなくなっても、冷凍豚は隣国に伝わる。

     今年の2月18日には、広西省に隣接するベトナムに飛び火し、以後、ベトナム中に広がり、7月8日にはベトナム全国63省市のうち62省市に広がり、1割が処分された。5月10日には、香港にある屠殺場の、広東省からの豚肉の臓物からウィルスが検出された。このほか、韓国、日本、台湾でも去年8月から今に至るまで、中国からの旅客の携帯荷物からソーセージ、餃子の肉からアフリカ豚コレラが検出されており、検査結果は全て中国国内のウィルスと判明した。

     こうした現象は、疫病神が中国から退散しておらず、生存方法を変えただけだで、ちょっと姿を隠して、また活動再開するわけで、中国の豚肉不足は短期間に解決できる問題ではない。肉の値上がり、食べられないことは、下り坂中国経済につきまとう現象となるだろう。

     (4) 米・中貿易衝突

     米・中貿易交渉は、本来なら5月前に基本的には意見が一致していた。国家通商会議(現・通商製造業政策局)のトップのピーター・ナヴァロは、9月8日にインタビューにこう答えた。

     ;2019年5月の第11回交渉で、双方は150ページ以上の協議を終えて、段落も句読点から括弧まで合意ができていた。しかし、北京当局が最終的に署名を拒否した。中国側が最後になって気が変わったのは、主に、知的財産権窃盗行為、強制技術移転の廃止、商業機密スパイ、ダンピングによる米国企業破産問題で、改善措置を取りたくなかったからだ。

     これは北京当局が依然として、こうした活動を通じて、米国から良いとこどりしようとしているので、交渉を貿易と関税問題に限定しようとしたいのだ。つまり北京は「2本レール方式」(貿易だけを話し、知的財産権などの問題は棚上げする)をとるというわけ。しかし、この動機が一旦、分かってしまえば、中国の思い通りにはならない。交渉は今も、駆け引きが続くが、外国企業の発注先と、供給チェーンの移動の結果は、すでに起こっており、これは逆転できない。

     中国側は、終始、中国市場は極めて大きく、購買力は力強く、外国企業は、簡単には手放せないと強調している。また、中国は、経済グローバリズムによって準備された産業チェーンは完全であり強力で、外資企業は離れることができない、ともいう。最近、元重慶市長で、中国国際経済交流センターの副理事長の黄奇帆が、国際情勢に関して述べた談話が、中国国内であっというまに広まった。しかし、気の毒にも、彼の目先しか見えていない観察は、事実によって既に覆されている。

     外国企業が、中国市場から離れられないという点は、5年前ならかなりの説得力があった。しかし、現在の中国経済は、加速的な下り坂であり、外資企業の中国での潜在的な成長力を弱めている。上海米国商議所は、最近の調査で、過去数年間に在中国企業の8割が、通常なら経営収入は持続して増えると答えるのだが、今年は、それが5割以下になったことがわかった。

     「外国企業は中国を離れられない」という点に関しては、もっとあてにならない話だ。黄奇帆は中国国内では、有能な経済の専門家だとみられているが、在中国の外資企業の経営戦略が直面している大問題が分かっていない。つまり、「市場があるところに、目が向く」ということだ。中国市場に目を向けていれば、外国企業は当然、出て行きたくないし、出ていかないだろう。しかし、もし中国で発注して、米国で販売するということなら、そういう外国企業は、米中関係の急速な変化と関税上のコストの大幅増加を、考慮に入れざるをえない。

     別の一面から言えば、世界の産業の歴史が証明しているように、移転しない供給チェーンは存在しない。経済グローバリズムは、中国を「世界の工場」にした。しかし、中国の人件費、税金、エネルギー価格、為替レート、労働生産率などの要素で、一部の「世界の工場」はとっくに、脱中国の動きを始めている。

     ざっと10年前から「世界の工場」は、南に移る動きがあった。米国市場向けの労働集約型や、技術が比較的単純な供給チェーンも、次第に「世界の工場」を離れており、アパレル、靴製造、おもちゃなどの「グローバル・サプライチェーン」は再配置されつつあった。そのころから、中国の「世界の工場」は下り坂になって、もう逆転するのは不可能だ。米・中経済戦争は、ただそれを加速させたに過ぎない。

     中国の「世界の工場」の供給チェーンは、本来外国企業が移ってきたからやってきたもので、別に中国の独創や技術の独占、設備の生産システムによって出来たものではない。外国企業の援助のもとに、次第に完全な形になってきたものだ。が、だからと言って、外国企業が供給チェーンを作るノウハウを知らないわけではない。ただ、これまでに資金を投じて作り上げた供給チェーンや、熟練工、オペレーターがもったいないだけだ。

     そして、今、米・中が対立するという構造が一旦、形成されたら、長期にわたって中国で発注していた多国籍企業も、リスクを避けるために、やむをえず発注を分散化し、他の国で新たなサプライチェーン作りに乗り出さざるを得ない。

     これはひとつのプロセスで、とりわけ、サプライチェーンの長い産業は、その下流の組み立て工場は別の国に移転するが、部品に関しては依然として中国から輸入する必要がある。しかし、中国部品への依存度を下げるために、西側国家の企業は、相対的に単純な部品を中国以外の国家から、別に作った産業チェーンを使う。その動きは、完全に中国の部品にとって代わるまで続くだろう。

     ヴォィス・オブ・アメリカ(VOA)7月23日の報道だと、米国アパレル•製靴協会のステーィブ・ラマー副総裁は、米・中貿易協議が最終的に合意に達しても、外国企業の中国撤退は、もはや趨勢になっており、移転は続くだろうと述べている。Apple社や任天堂など50社以上の他国世紀企業は、将来、中国から撤退することを明らかにしている。

     そのほかにも、サプライヤー監査、実験室試験、製品検査を提供する品質管理とコンプライアンス企業のQIMA社の最新調査では、80%の米国企業と、67%の欧州連合(EU)企業が中国から退出中だとしている。日本の野村証券は、この8月、米中貿易戦争の勝者は、中国でも米国でもなく、ベトナム、台湾、チリだというレポートを出している。今までのところ、ベトナムが最大の勝者だと。

     ベトナム共産党の機関紙「ニャンザン」は、2019年5月末までに、ベトナムが批准した外国資本投資総額は、167.4億米ドルで、同期比で69.1%増加。そのうち、加工製造業がもっとも人気で、総額の71.8%を占める。台湾経財相の最新情報では、現在までに118社が台湾実業回帰2.0方案に応じて、総額5637億台湾ドルを超えて、台湾に4万8906人分の新たな就職先をもたらしたという。

     中国の10大輸出企業の中で、台湾資本は4社を占め、その二番目は鴻富錦精密電子(鄭州)有限会社だが、その輸出総額は486.98億米ドル、第四番目は富士康で303.50億ドル。第五番目の達豊(上海)電脳有限会社は、234.73億ドル、第七番目の華碩(ASUS)系の昌碩科技(上海)有限会社は203.86億ドル。こうした企業が台湾に戻ったり、中国から撤退する影響は、かなりのものだ。

     中国経済の下り坂の歩みは、現在加速中だ。世界各国の中国経済と中国市場の需要動向判断は、中国経済の下り坂「新常態」に一致する方向で調整されているのだ。(終わり)

     原文は;中国经济下行加速 “紧日子”来临

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