• ★「企業の”自主的”汚点探し」は「公私合営2.0」の突破口  2019年9月27日

    by  • September 30, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

     最近、中国政府は、「中国版公私合営2.0」をスタートさせようとしています。これは国務院が9月12日に出した「事中・事後(事前ではない)監督管理管理(行政の簡素化)に関する規範化と強化についての指導意見」で、企業や機関内に「ホイッスルブロワー(内部告発)」機関を設け、内部からの違法行為告発を奨励するものです。もう一つは、9月中旬に中国の国営企業100社を深圳に集め、国営企業に香港により深く進出し、香港官僚と香港実業家の「共同統治」に終焉を、という命令。これが、北京の二大方針表明です。

    中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売。「2018」編集中;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

    ★「公私合営2.0」は既定の大方針

     2015年9月に「中共中央と国務院による国有企業改革を深化に関する指導意見」(通称、国営企業改革方案)が明らかにされた時、私は、★国営企業改革法案」の目的地は「公」か「私」か?を書きました。そこで、「新たな公私合営の道は決まった」と書きました。まず「混合所有制」とは、「公有制が主導的な地位をもって、基本的な経済性として強固に発展させる重点であり、非公有制経済は従属的な位置なのだ」と指摘しておきました。二つ目には、混合所有制企業においては、共産党が指導的な地位につく、三つ目には、潜在発展力の大きな、成長性のある企業が、もっぱらその主要目標となる、と。

     中国政府が気に入った中国の民間企業は、国家による買収から逃げようとしても無駄です。これが出てから、中国政府は文章では、民間企業を安心させようとするようなことを言いましたが、誰もが、この「ダモクレスの劔」が、いつ落ちてきても不思議ではないことを知っていました。

     ★中国民間企業の「原罪」

     中国政府は、この数年間、ずっと「反腐敗キャンペーン」を、民間企業にまで拡大しようと世論づくりをしてきました。というのは、民間企業家たちは、各種のグレーゾーンで、大儲けしてきたからです。中国の民間企業が「原罪」を背負っているのは事実です。なぜなら、制度環境があまりにも劣悪なため、政府官僚が、土地や各種の許可権などあらゆる資源、税金、消防検査などの公共職業的力を、すべて自分たちの違法な金儲けの手段としている状況で、民間企業が発展しようと思えば、権力を握る共産貴族や実質的な権限を掌握する各種の役人たちと政商連合関係を結び、各種の賄賂によって業界の経営許可権、土地、銀行融資、脱税節税などを獲得するのは、もうすっかり見慣れた光景でした。胡錦濤・温家宝の時代には、中共政府はこうした行為を黙認しており、役人と実業界が結託して大儲けして、どんどんスーパー大富豪が誕生していくのを許していましたし、各クラスの中国人民政治協商会議の委員(訳注;日本なら国会、県会、市会議員など)はそのお手本でした。しかし、習近平が権力を掌握してからは、状況が代わり、2012年に始まった反腐敗キャンペーンでは、槍玉にあがって失脚した役人には、大勢の実業家も共倒れになるのが常でした。

     ★「民間企業」の”処理”方法

     中共が、混合所有制を言い出した最初の頃は、民営企業側は、強く反発しました。2014年に国営企業改革方案が意見を公募した際、王健林(大連ワンダグループの創設者)、宗慶後(杭州ワハハグループ創設者)は、メディアの取材に対して、はっきりと反対意見を述べていました。依頼、中国の紅色貴族たちとの関係が大変密接だった王健林、粛(肖)建華(明天グループ会長)、呉小暉(安邦保険集団元会長)は、皆、資産を海外に移転させようとし、その金額は1200億米ドルにもなりました。中国政府は当然、彼らの逃亡を阻止するために、いくつかの方法をとりました。

    (1) まず、軟禁や拘禁といった高圧的な政治手段で、有力な後ろ盾のあるスーパー級の金持ち実業家たちに、海外に逃がした資金を回収させる。呉小暉、粛建華、王健林はこのケース。

     2018年6月、中国銀行監督管理委員会は、海航グループ、万達グループ、安邦グループ、復星グループを中国の金融システムに危険を及ぼす原因だとしました。というのは、これらの企業が大量の借金で国外の買収資金としたからです。こうして海外で買収したのは、中国政府がはっきりと反対を表明していた、不動産、映画館、ホテル、娯楽業、スポーツクラブなどの分野ですから、資金海外逃避の疑いがありました。「スーパー白手袋(汚れ仕事役)」とも言われた粛建華の明天グループは9つの上場企業を経営し、金融企業30社の株を支配したと言われ、総資産価値2兆元で、累積したリスクは、中国金融の安全に関わるほどでした。「南華早報」2018年6月の報道では、粛建華は人民解放軍の監視の下で、上海松江に押し込められて、国外の資産を、国内銀行に回収し、銀行負債の返還をさせられているといいます。更に呉小暉(訳注;鄧小平の孫娘の婿だった)は、悲惨で18年の刑に処せられ、100億を超える財産を没収されました。

     (2)馬雲方式 自ら身を引き、自分の会社を「国家に献上」

     働き盛りの馬雲(ジャック・マー =阿里巴巴/アリババ創設者)がトップから引退したのは、政治的圧力の下での「賢い身の処し方」だと見られています。これは中国のインターネット業界の特色がかかわります。中国の政治環境は、一方でインターネット業に不確定性をもたらします。しかし、もっと重要なことは、政府が国家権力をつかって外国の競争者を阻止し、グレート・ファイアウォールによって半独占的な商売ができたことです。政府がゲームのルールを決めて、その結果、政府の発行する許可は、ひらけゴマの呪文のような効果を持ちます。馬雲はまさにアリババになったのでした。こうした環境で、企業は政府と協力し、営業特権を獲得し、政治的保護も得られます。こんな状況では、起業家は政府に楯突くことはできません。

     馬雲が引退するまでの過程はよく知られています。2013年の公園では、「アリババは、政府とだけ恋愛するが、結婚はしない」と言ってました。2014年にアリババが米国で上場してからは、株価は上がりっぱなしで、2015年はじめ、中国工商総局は、名指しでアリババ系ネット購入システムを批判し、4日でアリババは370億米ドルを株価下落で失いました。馬雲はこれで、自分が、政府にたよって「王様」であったとしても、その王冠は、いつでも政府によって奪い取られるものだと思い知り「いつでも自分の会社を国家に捧げる用意がある」と賢く立ち回ったのでした。

     ★香港富豪らが土地を寄付 — 国営企業香港進出の前奏曲

     私は、★「第二次香港回帰」は中国と香港の悪夢  (2019年9月3日)と★香港特区政府と実業界の「共同統治」の終焉。北京の「第二次回帰」策 ( 2019年9月18日)で、北京政府が近く、「香港の第二次大陸回帰」を繰り上げて実施すると分析しました。その理由は、北京が特に目をかけてきた香港実業界が、それを良いことに金儲けばかりして、肝心な時に「政治的任務」を果たさないので、自分たちの一家、つまり国営企業に香港経済を掌握させようということです。

     李嘉誠が、人民日報に名指しで批判された時、中共の政府メディアははっきりと、香港人は住宅問題で積年の恨みをつのらせ、中国政府を香港の不動産業者の身代わりにしていると書きました。そして、香港の親中左派政党の民主建港協進連盟が、政府に「土地収容条例」の導入を求めているというニュースを、広く引用して報道しました。これは李嘉誠を始めとする香港の4大不動産開発業界の有力企業が所有する930万平米の農地を、宅地にしてアパートを建てよ、ということです。

     この状況を見て、香港のビジネス界の大物たちは、はっきりと香港のこれまでの香港政庁官僚と実業界が香港を仕切る時代は終わったのだと知りました。そこで、9月25日、香港で開かれた記者会見の席上、香港4大不動産業者の一つである鄭ファミリーの新世界発展有限公司は、非営利会社の「要有光」と協力して、たった1香港ドルで、約3111平方メートルの土地に、子供のいる低収入家庭のための公共アパート建設用地とすると発表しました。

     香港の大金持ちたちは多くの投資パイプと資金を持っており、李嘉誠は、とっくに資産を中国の手の届かないところに移しています。こうした大金持ちたちの財産の未来は、どこにその資産を置くかによって決まるのです。

     ★「内部告発」制度の目的は、民間企業の汚点探し

     中国政府が、正式に企業における内部告発者(ホイッスルブロワー)制度を始める前に、民間企業での「反腐敗キャンペーン」は始まっていました。法律専門家は、民間企業に関わる15の犯罪をあげ、そのうち最も重要なのは、贈賄罪、職務横領罪、資金使い込み罪、非公務員収賄罪を挙げています。腾讯、京东、华为、阿里巴巴、腾讯、百度などの大型民営企業は次々と、「内部反腐敗陣営」に進んで身を投じました。政府メディアは、「こうした民間企業は全力を挙げて、内部腐敗の根絶乗り出し、自ら主体的に顧客を清算し、あえて自らの汚点を暴露しようとしている」と報じました。

     浙江の民間企業の発展とそのやり方が全国の模範です。国務院新聞事務局の地方重点サイトである浙江在線は、杭州市政府は100人の役人をアリババ、吉利ホールディングス、ワハハなどの第1回100社の重点企業に政府事務代表として送り込むと発表しました。この方法は「サービス企業を重点として、企業が政府との事務を円滑に解決し、情報交換や政策の械闘、プロジェクトを確実に推進するなど全方位的に保障するため」と称しています。しかし、誰もがこの堂々たる美辞麗句の「内部告発による汚点探し」というのは、これまでの経験から、民間企業の汚職腐敗、脱税行為などの問題のあった民間企業は、政府のものになるか、でなければその資産がどこかへ消えてしまうことだと知っています。

     政府のこうしたおおっぴらな「汚職探し」行動に対して、もともと「原罪」を負っている中国のブルジョアたちは、一つには、「財産は神聖不可侵」というのは西側のルールで中国にはないこと。二つには、中共の物凄さから逃れられないと知っており、多くが馬雲や香港の鄭ファミリーの道をあゆむことでしょう。

    一旦、「内部告発」されようものなら、財産もその身も逃れることは極めて難しいと承知しているのです。(終わり)

     原文は; 何清涟:寻找污点将成公私合营2.0版的突破口

     

      
     

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