• ★程暁農★国際ルールはなぜ中共には弱腰なのか? 2019年10月22日

    by  • October 25, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

    中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売。「2018」編集中;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     中共は、この二年来の米・中貿易戦争では何度もクルクル態度を変えて、国際社会を驚かせた。中共の国際ルールへの無視と違反が、この米・中貿易戦争が勃発した原因であり、国際社会が中共に対して警戒心を持たざるを得ない重要な根源だ。現在の世界の枠組みの中で、中共は終始、国際ルールを無いかのように振る舞い、民主と法治の枠組みの基礎の上に立つ国際ルールは、さっぱり有効な拘束力がないようだ。

     ★⑴ 米・中経済貿易交渉での四変幻が物語るもの

     米中経済交渉は10月11日に初歩的な第一段階協議を達成したが、国際社会は、協議の有効性に大いに疑問を抱いている。そうなった理由は、中国側が、この二年間に交渉でやってきたことが、国際社会の人々に、誠意を疑わせるようなものばかりだったからだ。信用は壊れるのは簡単で作るのは大変だ、と言われる通りであって、中共の米・中交渉における態度急変と誠意のなさは、各国に深刻な印象を与えた。

     この二年間の米・中経済貿易交渉はこれまでに四段階あった。第一段階は今年の5月までで、双方が順調に交渉を進めてきた。世界貿易組織(WTO)のルールと知的財産権保護の国際条約に中共が何度も違反を重ねてきたために、米国は米中間の問題について交渉を展開し、双方がそれぞれの問題に関して協議してきた。米国がのちに明らかにしたのは、双方の協議文書の、句読点の位置まで話し合いがついて、あとはサインするだけだった。

     第二段階は、5月下旬から8月までで、中国側による「ちゃぶ台返し」期間だ。中国側が突然、既に基本的に合意していた協議にサインを拒絶し、交渉は暗礁に乗り上げた状態。第三段階は、8月から9月下旬で、中国側が能動的に、米国の農産物輸入をやめ、米国側にプレッシャーをかけ、米国農業に打撃を与えることによってトランプを支持する民意に打撃を与え、プレッシャーをかけようとした。しかし、9月から10月上旬には、中国側は180度方針転換して、米国の農産物を2017年の倍量購入することを決め、自分の方から交渉の硬直状態を打破しに出た。その後、双方が経済貿易に関するテーマで、初歩的協議の合意を達成した、と言うわけだ。

     こうしたくるくる変わる中国側の交渉態度と同時に、米側は交渉の初めから、中国側の非協力に対して、関税で圧力をかける方法をとってきて、交渉継続への姿勢は変わらなかった。言い換えれば、中国側が何度も態度を変えるのは、米国の交渉姿勢が変わったからではない。中国側が自分たちの利害の算盤勘定から、その時々で態度を変えたのだ。

     その理由は、第一に中国経済がどんどん悪化していること。その二には、中共がトランプ大統領が二期目も務めるだろうと見て、これ以上楯突くと後がよろしくないと判断し、大急ぎで、農産物を倍も輸入することで「冷えかけた炉を温め」たわけだ。これは大統領選挙の前にやらないと意味はない。終わってからではしょうがない。

     中国のこの種の手口は、国際ルールに対する態度と同じで、自分に有利かどうかが全ての判断の出発点で、両国間の交渉中の信頼原則や、既に自分が署名した国際ルールに対する国家の責任に違反することには、守ったり守らなかったり、どうでもいいのだ。

     ★⑵ なぜ中共のWTOに対する態度は「お行儀が悪い」のか

     中国がWTOに加盟して20年経つ。今日の米中経済貿易交渉の多くの議題は、実は全て中国側がWTOに経済制度改革の約束に違反してきたからだ。BBC経済記者による去年11月21日の報道では、ケビン・ハセット大統領経済諮問委員会委員長は、こう言いました。

     ;中国のWTOにおける「不届きな行為」によって、米国はWTOに対して深く失望しており、これまでグローバルな現代化で大変重要な働きをしてきたWTOだが、多くの面で米国はがっかりしている、と。米国は通常、WTO案件で勝利しているが、それには通常5、6年もかかっており、損害は取り返せない。また処罰がゆるすぎるので、一部の国家は懲罰を受けてもいいからルール違反する。我々は、一国が加盟した後、中国のようなやリ方をするとは、これまで予想しなかった。WTOにとって、これは新しい事態である。

     中共が長期に渡って、WTO加入時に約束していた経済改革の人民元の自由兌換を拒絶しているのは、WTO加入によって中国が国債市場として解放され大いにうまい汁を吸えるのを願ってのことだが、経済制度の変革によって、専制体制の優位を失うことは望まなかったからだ。

     この角度から見れば、朱鎔基は、うまくWTOと国際社会を騙しおおせたのだった。当時、国内の経済制度変革の約束の心配に対して、朱鎔基は、内部の集まりで、WTO加入の約束は、やりたくなければやらないでよいと話している。その後、20年間の歴史が証明している通り、中共はまさにこの通り、国際ルールを無視する立場を通してきた。

     WTOのルールは決められた当初は、大多数の国家は基本的に守るという紳士協定だったことから、違反に対しての調査は遅く、処罰は軽いものだった。しかし、中共はこのWTO規則の「弱み」をついて、やりたい放題だったのだ。

     そればかりではない。中共は自分が強くなったと思ったら、自分が約束したことをやろうとしないばかりか、反対に「中国が積極的に参与して世界のガバナンスシステムを変える」と言い出したのだった。この言い方の本当の意味は、「自分が必要だと思えば、WTOルールの穴を利用するチャンスを保護し、同時に国際ルールを中共の行為をモデルにして、一方的に中国に有利なように変えたい」ということだ。

     いわゆる「積極的に参与して指導」と言うのは、うしろめたい意図を隠して耳障りよい言葉にしただけのことで、成功などシッコないのだが、国際ルールをもてあそぼうという野心だけは遺憾無く暴露された。

     ★⑶ 知的財産権侵害問題の解決はなぜ難しい?

    中国は30年以上前から、知的財産権保護についての一連の国際条約に加入している。例えば、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(1886年9月9日)、商標権に関するマドリッド協定(同1891年4月14日)、特許協力条約(同1970年6月19日)、万国著作権条約(1971年7月24日)、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約(1971年10月29日) 、 商標登録条約(1973年6月12日)、工業所有権の保護に関するパリ条約(1983年3月20日)、集積回路についての知的所有権に関する条約(1989年5月26日)。

     もし、中国が関連の国際法規を守っていれば、今日、知的財産権侵害問題で世界中から非難を浴びるようなことはなかった。実際は、中共は国際知的財産権公約に対する態度は、WTOに対する態度と同様で、基本的には公然と、無いも同然に踏みにじってきたのだ。

     米国の知的財産権盗難問題委員会(Commission on the Theft of American Intellectual Property)が発表したレポートでは、中国のコピー、商業機密窃盗など知的財産権に関する問題は、毎年、米国経済に2,250億ドルから6,000億ドルの損害を与えているとしている。そのうち、商業機密の窃盗だけでも、1,800億ドルから5,400億ドルに上ると。

     いわゆる外国企業の知的財産権侵害には、無理矢理に奪うのと、盗んでくる二つの方法がある。無理矢理に奪うと言うのは、「市場と技術を交換する」政策だ。WTO加入以前は、はっきりと中央の方針に書いてあって、市場参入の条件として、外国企業に一部の技術を差し出すことを要求していた。1984年3月22日に国務院経済員会の報告のコメントには「外国企業の商品、貿易と技術を結合して、貿易と技術を結合し、我々の市場の一部と、外国の先進技術を交換する。これは我が国の技術の進歩を加速させる重大な方針」だとしている。

    1998年4月には、中共中央と国務院は、更に積極的な姿勢で、対外開放を拡大し、外国資本の水準利用を高める若干の意見として、二つのことをはっきり「市場を技術と交換する」しなければならない、と二箇所で提案している。

     しかし、2000年にWTO加入時には、WTOでははっきりと、強制的な外資に技術移転を求めることははっきりと禁止されていたから、「市場と技術の交換」は、面から裏に隠され、地方政府の出番となって、引き続き、外資に技術を強制的に供出させた。

    2015年、各国による対中関係調査は98回行われ、技術関係が多かったが、知的財産権の密集している機械電気、軽工業分野が8割を占めた。中国欧州連合(EU)商議所は394ページの年度報告で、20%のEU企業が中国側から技術移転を迫られた。この2年では、韓国メディアが、広州市政府が、LGがディスプレイ工場を作ろうとした際に、大型液晶ディスプレイの技術をよこせと言われたと報告している。

     技術窃盗に関しては、主にハイテク技術や、対中輸出禁止の軍事用技術製品に対して行われている。技術スパイには、主に三種類のやり方がある。一つには、外国企業の技術スタッフを買収して、技術を盗ませる。二つ目は、西側国家が中国に輸出禁止しているハイテク製品を迂回して手に入れる。三つ目は、軍隊の技術情報部門にインターネットを通じて、オンラインで相手国のネットに侵入して、技術情報を盗み出す、だ。2013年、中国人民解放軍総参謀部技術偵察部第二局が、上海で「高橋陣地」(61398部隊)が、米国のネットに侵入して技術スパイ活動を行なっていたことが暴露された。

     中共が思いつく限りの方法で西側の先進技術を手に入れようとするのは、中国国内で使うためだけではなく、更に大きな目的がある。それが、元手なしで手に入れた数々の知的財産権を国際市場での巨大な利益に変えて手にいれようと言うものだ。つまり、外国企業の知的財産権を不当に入手して、国内の民生用や軍用にコピーし、その後でコピー商品を国債マーケットに売るのだ。これはもう、国家発展戦略の一部として、多くの中国企業の、金儲けの手段となっている。これは同時に、西側国家の経済上では巨大な損失になる。

     こうした方法は知的財産権に関する国際公約に直接的に違反するわけだが、中共は、従来から「世界共通の常識」は、存在すら認めたことがないし、罰を受けるのも心配していない。というのは知的財産権の国際公約は、WTOのルール同様で、「紳士協定」のゆるい約束にすぎないからだ。

     今年9月25日、中共の対外宣伝メディアの「多維ニュースネット」は、こんな考え方を発表している。

     ;いかなる国際協議も違反は可能だ…何故ならば、おっ国内協議には国家の政府が証明し、監督することができるが、国際契約にはそういう役割を果たす機関がない。国連も国際法廷も、執行力をもたない組織は、このご時世にはただのパワーポリティクスの道具である」。

     これは中共の単純な自己弁護ではなく、国際法規の隙をねらって潜り抜けたあとの、心からの言葉なのだ。国際法規に違反した国家行為に対して、世界には、本当の執行力を持つ国際機関が監督したり制裁を加えることはできない。ならば制度の隙をつけばいいじゃないか、やってもやらなくてもいいなら、やったほうが得だ、と。それだけではなく、一旦いつの日にか、自分たちが「崛起」した後には「パワーポリティクス」で、国連と国際法の機関を、自分たちが操縦しようというわけだ。

     ★⑷ なぜ米国だけが中国経済貿易交渉出来るのか?

     今の世界では、大多数の先進国が、中共に対してはどっちつかずの立場を取っており、心の中では不満であっても、商売がうまくいかなくなるのを恐れて、あえてその恨みを買うまいとしている。もし、すべての先進国が皆そうなら、中共は好きにし放題だ。

     しかし、去年から、米国が中国がWTOの約束事を破り、世界の知的財産権の公約を公然と破り、莫大な経済と技術の利益を得ようとした事に対して、抵抗を示し始めた。米国がこの役割を担ったのは、当然、米国が中共のそうした行為による最大の被害者だからだ。

     しかし、米国がこの役割を演じることができたのは、軍事力に頼ってではなく、その市場の実力に依るものだ。すなわち、中共の上述の行為が長年ライ、中国経済を高度に米国市場だよりの経済体としてきたから、米国の制裁による反撃が中共に対する重圧となったのだ。

     日本経済新聞によれば、米国はすでに知的財産権など「無形資産」の利潤による産業構造を築き上げている。米国企業の持つ、資産構造から見ると、技術力による特許やブランドを代表とする影響力の商権など無形資産は既に4.4兆ドルとなっており、工場などの有形資産を超えている。米国企業の無形財産は、企業の総資産の比率は26%で、10年前の倍以上だ。

     だから、米国企業の純利がグローバル企業の純利益に占める割合は、10年前の25%から39%にもなった。日本のそれはたった6.4%、中国のそれは更に少ないのだ。この現象が説明するのは二つだ。

     第一には、米国企業の知的財産権財産は世界各国のうちでもっとも充実しているので、中共が最も狙っている。第二には、もし中共が引き続き、米国の知的財産権を狙うなら、米国の富の一番大切な部分を盗まれることになる。その結果、どちらかが強くなれば他方が損をするゼロサムゲームになる。だから米国の現在の対中貿易戦略は、これ以上中国に米国から甘い汁を吸い取らせないことであり、米国の財産と技術を使って、恩を仇で返す狼の餌になどさせないことだ。

     しかし、米・中経済貿易交渉の、知的財産権問題では米国は、直接相手に圧力をかける有効な手段を欠いている。中国側もそれを承知しているから、「内政問題」と「主権」を言い逃れに使って、深く討論するのを避けている。

     知的財産権侵害は、米・中交渉の核心問題の一つだが、法治国家においては、司法権の問題で、行政当局がこれを、両国政府の間で交渉することはできないのだ。

     米国では、コピー商品を販売したり、偽物を売ったりする行為は、商法の管轄であり、知的財産権窃盗は、刑法犯の範疇で、民法と刑法を執行するのは、独立した司法部門が処理する。しかし、米国の司法当局は知的財産権が侵害されたからといって、外交交渉を行うわけにはいかない。米国は知的財産権審判問題で直接、中国側と有効にコミュニケーションをとることが出来ない。

     であれば、貿易赤字を知的財産権問題と一緒にして、関税を制裁手段にして、中国側が勝手に知的財産権を侵害する恋をやめさせようということだ。

     今年10月、中国側が自ら進んで”善意”を示したのは、米国のこのやり方が一定の効果を持ったことを示している。しかし、両国の間で、中国側の知的財産権侵害行為をやめさせる交渉は、依然としてこの先、長い交渉が必要になる。(終わり)

     原題は; 程晓农:国际规则对中共为何是“软约束”

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