• ★「香港人権・民主主義法案」の衝撃と”破壊力”  2019年11月23日

    by  • November 23, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

    中国 何清漣
    中国 何清漣

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     香港の「勇武派」による香港理工大学の反抗が終わろうという時期に、「核爆弾級」とみられている「香港人権・民主主義法案」が、米国の上下院で通過しました。トランプ大統領がサインしようとしまいと、法律となります。(訳注1;もしトランプ大統領が署名に応じず拒否権を行使した場合、上下両院でそれぞれ3分の2の賛成多数で再び可決すれば法案は成立する)

     中国の専制政府に恨み骨髄の反対派人士は大喜びですが、どうやら直接、利益を受ける香港民主派の人々は、楽観的になるのを戒め、デモ参加者の士気には好影響があっても、この法案が通過しても、香港情勢にはすぐ影響しないと見ているようです。

     この法案の主要な条文と、その影響を分析しないと、この「核爆弾」の衝撃波と、実際の打撃力はどのようなものか分かりません。

     ★法案の衝撃波

     法案の主要な条文は、政治と経済という二種類の制裁措置です。政治方面は、比較的直接的で、以下の内容です。

     1)米国国務省は、毎年香港の自由派人士に対する侵害行為を調査し、制裁措置を採る。
     2)米大統領と国務長官は、1国2制度の実態を厳しくダブルチェックする。
     3)米国議会は、毎年、香港の1国2制度の実行状況を審議する。
     4)香港でも、大陸でも、香港の人権迫害は制裁を課す。制裁内容は、人権を圧迫した香港の官僚に対して、米国政府はその入国を近侍、資産を凍結するなど。法案はさらに、香港の選挙に関する非暴力的な抗議活動に参加したとして逮捕されたり、拘留されたり、その他の不利となる政府の措置を受けたことがあっても、それを理由にビザを拒否されることがないものとする。

     この法案を推進した議員の話だと、特徴は、米国が焦点を「問責」に置いたことで、「問責がなければ、従来と変わりはない」と。

     問責、責任追及以外に、制裁の範囲が拡大されました。勝手な収監、監禁、残酷な刑罰や強制的な自白、英中連合声明と基本法違反、国際的に有名な人権活動家への深刻な権利侵害などは、皆、制裁の対象になりえます。アナリストは、今後、人権侵害を行なった香港の官僚は、もはや制度の陰に隠れて責任を逃れることは出来なくなり、彼らの息子や娘、親戚が海外に住居移転することは出来なくなると見ています。

     私はこうした条項は、米国が香港を支持しているという態度表明ではあっても、実行しようという意味ではないと思います。というのも、この問責の力の入れようは、中国大陸や香港の役人は、誰もが米国を移民する場合の目標国にしているという仮説上に立っていて、だからこれで彼らの移民の道を断つことになるというものです。

     しかし、彼らの子供達がもし成人に達しており、すでに米国で市民権を得ていた場合、米国には「連座制」はありませんから、その市民権を剥奪されません。江蘇省の徐延军(訳注2;江苏省安全厅副处长 2018年、米国航空業界に対するスパイ行為を行ったとしてベルギーで逮捕され米国に引き渡された。中国官僚が米国に引き渡され裁判を受けるのはこれが初めての例)、纪超群(訳注3;予備役軍人、2018年、企業から米国国防情報に関する情報を得て、中共情報員に伝えた容疑で逮捕された)など3人の中国国家安全部の役人が、米国で逮捕された教訓から見ても、人権迫害した役人が、あえて、西側国家に亡命先を求めるとも思えません。

     ★経済分野での影響の大きさ

     経済分野の主要なものは、米国が与えている香港の特別経済区の地位です。この法案は、毎年、国務省が香港の自治状況を調査し、十分中国大陸側から独立していると判断できる状況の場合のみ、貿易上の特殊地位を認めるというもので、この地位というは、香港が、現在の世界金融センターの一つになれた理由の一つです。

     特別経済区の地位取り消しは、法案の核心となる条項ですが、この条項を実施すれば、打撃を受けるのは香港経済であって、大陸は直接損害を被りません。数カ月来、私は何度も書いてきましたが、事実はこうです。

     ;1992年に米国が「香港政策法」制定した時点では、中国はまだ国際貿易機関(WTO)に加入していませんでしたから、香港は中国の対外パイプや架け橋、窓口として、特別重要で、香港への制裁は、大陸への制裁でした。しかし、2001年に、中国がWTOに加入してからは、香港のこうした役割は次第に減って、服装、電子、玩具の3大産業は大陸に移りました。(原注;今、中国から東南アジアなどへ移っていますが)、残るは金融センターとしての働きだけです。

     そして、香港の金融センターとしての働きは、あけすけに言えば、
    ① 中国が主要な来源出会って、中国投資の外資の7割前後は、中国からのお金が香港で漂白されて戻っている。
    ② 香港は大陸のマネーロンダリングのための裏庭であって、国内の紅色貴族、官僚、富豪階級が必要としているのは、この裏庭だ。

     研究者によれば、GDPの2%という低く見積もった数字でも、金額は毎年1兆元を超える。その相当な部分は、香港へ流れ、香港から中国へ向かう。詳しくは★人民日報の「10大外資来源地」の秘密★ (2013年9月13日)に書きました。

     この大きな働きは、実際分割出来ません。紅色貴族官僚は、腐敗行為で集めた財産を、もしクリーニング出来なければ、「外資」として中国国内に投資出来ず、外資の資格も得られません。

     胡錦濤・温家宝時代(2002年11月15日 〜2013年3月14日)に、かつて資本の外国逃避とマネーロンダリングの取り締まりを考え、2005年に一度提案されましたが、極めて困難であって、かつ紅色権力貴族の利益に関わるとわかって、2度と提案されませんでした。

     習近平が権力を握って、反腐敗にいどみ、香港の金融センターとしのマネーロンダリング機能に対して、深い敵意を持って根絶しようとしました。香港から、何人もの元・前常務委員の家族を顧客にしていた汚れ役の蕭(肖)建華を四季酒店(望北楼とも呼ばれた)からひっさらいましたが、それでも、望北楼のマネーロンダリング・システムをやめさせることは出来ませんでした。

     ましてや、「外資」とマネーロンダリングのつながりは切っても切れないもので、これは茶碗のおかゆにたかるハエのようなものですから、どうしようもないのです。これこそが、「逃亡犯条例」の改正案が出来た履修です。(原注;銅羅湾事件の影響は、この望北楼のマネーロンダリング・システムより小さい。より注意されたい)

    「香港人権・民主主義法案」が、いったん実施されたら、打撃を受けるのは主に香港経済であって、中国大陸経済ではないのです。

     中国政府も当然、損害を被りますが、それは主に「メンツ」なのです。ただ、中国政府にとっては、外交では「メンツ」が「中身」より大事ではあります。香港ビジネス界と中産階級は、当然、これによって損します。とりわけ、就職難を招くでしょう。

     米国も、実は損害を被る側になります。香港にある米国企業は1300社で、香港は米国貿易黒字が最大の場所の一つなのです。2018年、米国の香港での稼ぎは、311億米ドルの黒字でした。同時に、トランプ大統領の、中国がさっさと貿易協定にサインしてほしいという願いは、この法案が実施されたら、間違いなく大幅に米中貿易協定交渉の難度が上がってしまいます。

     ★二つのツイートを紹介して結論としましょう

    11月21日に大马@johnma102というネット友が、ツイートをくれました。

    ;「法案が発効すると、①まず香港市民が打撃を被り ②つぎに中国人民。中国人民と中共は、区別するとかいいながら、たちまち中国人に被害が及ぶ。 ③次は8万人の香港在住米国人と1300社の米国企業と300億米ドルの黒字。 ④最後にやっと中共。このコインはどうしたって中共を引っくり返したり出来ない」

     これに対して、私は、こう答えました。

    ;私も分かっています。米国は、こうしたことを大国の責任としてやるのです。自国の利益を犠牲にして、香港の人権の改善のために。それによって、中国政府のメンツは大々的に傷つきます。いつもプレッシャーを受け続ける大国の政府にとっては、メンツは中身より重要なのです。ですから、このコインは、そうやって中共に届くのです。香港の勇武派はとっくに「玉も石も倶に砕く」覚悟をしており、香港市民も、これが彼らの「内政」だと知っています。

     私は、現在米国に居住しておりますので、この法案にサインされることには、期待を持っています。これは、今のアメリカ議会(116期)の議会では、数少ないまともな話であり、今国会で議員たちがやった一番結構なまともな仕事です。そのほかの時間は、大統領がやろうとしたことを、議会が無茶苦茶にして、まともなことをやってこれていません。願わくば、彼らが、道徳心を奮い起こしてひとつぐらいまともなことをやって、権力闘争の泥沼の中でのとっくみあいをつづけないことを。(終わり)

    原文は;上報 何清漣專欄:《香港人權法案》的震波與實際打擊力

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