• ★米・中貿易戦争 — ★米国が得た三つの勝利 防御に追われる中国  2019年12月21日

    by  • December 21, 2019 • 日文文章 • 0 Comments

     19カ月の丁々発止のやりとりの末、米・中貿易の第一段階協議が達成されようとしています。表面的には双方が共に譲歩したかのように見えます。米国は知的財産権と貿易赤字で収穫があり、中国側は、部分的に関税問題で優遇措置を部分的に獲得しました。双方の必要性から見ると、習近平は中国国内の経済圧力を軽減して一息つく暇が出来て、トランプ大統領の方は、これで2020年の大統領選挙に全力投球出来ます。この結果に不満な人々は2種類存在します。まずトランプ大統領が連任するのを嫌う米国人です。ニューヨーク・タイムズ紙は12月17日に経済学者でコラムニストのポール・クルーグマンの記事を載せ、トランプ大統領は、貿易戦争に負けたとの主張を相変わらず唱えています。もう一種類は、米・中貿易戦争で、直接、中共政権を崩壊させることを願っていた中国の政治的反対派です。この2種類の人々は、米国の勝利とは、関税問題など小さなことではなく、この戦いによって、中共が国際社会の中で、攻撃側から防御側に追い込まれたことなのだと分かっていないのです。

     ★米国が得た三つの勝利

    ⑴ 第一の勝利;中国の対外拡張の縮小

     中国の対外拡張は、主として経済的な拡張で、対外投資がその指標となります。2017年、中国は「一帯一路」計画をやれば、何千里ものユーラシア大陸にまたがる「友邦国家圏」を築き上げられると夢見ていました。中国メディアは引っ切り無しに、この「友邦圏」は沿線65カ国、46億人にのぼり、世界人口の6割を占め、GDP総額は約23兆元、世界のGDP総額の30%前後を占めるなどと報道していました。

     しかし、2018年3月に米・中貿易戦争が始まってからは、中国の対外投資は、目に見えて減少しています。ワシントンのシンクタンクのアメリカ企業公共政策研究所(AEI)の「中国グローバル投資追跡」((China Global Investment Tracker,CGIT)プロジェクトによるデータでは、中国の対外投資は、2016年、2017年が最高で、それぞれ1,657億米ドルと1,759億ドルでしたが、その後、急速に減少し、2018年には1,124億ドルとなっています。2019年上半期の中国のグローバル投資と建設プロジェクトは275億ドルで、2018年の同期に比べ50%です。アナリストは、この傾向は、今後数年は変わらないだろうと見ています。

     中国の対外投資減少の原因は、変化しています。最初は、中国国内での外貨準備高の減少が心配で、資本の制限を行いました。しかし、2018年下半期以後はの加速的な減少は、ちょうど米・中貿易戦争の緊張がエスカレートした時期と重なります。中国の現在の大部分の外貨は、米国貿易の黒字によるものです。もし、この黒字が脅威を受けるならば、それが関税であろうと、より多くの米国製品を購入することであろうと、中国の外国からの購買力や、一帯一路プロジェクトの外貨は減少します。2019年上半期、国際投資界の大部分は、中国の対外投資は減少すると見ていましたが、これは各国がますます技術の中国移転を警戒し、対中国投資を制限しにかかったからです。

    中国 何清漣
    中国 何清漣

    中国2018 中国2017 中国2016 中国2015

     ⑵ 第2の勝利;全産業のグローバルチェーンの再配置。貿易の頂点は過ぎた

     外資は、以前から次第に中国から引き上げていたのですが、米・中貿易戦争はこのプロセスを加速しました。この点については、私は、★中・米貿易戦争の深い影響 — グローバル産業チェーン再配置 (2018年09月22日)で、これは分析していますので、ここではブローバル産業チェーンの再配置の明らかな結果だけを取り上げます。

     中国は、もう世界第一の輸出大国ではありません。投資会社のNNインベストメント・パートナーズ社の新興市場アナリストのマーテン・バッカムは、この変化は、グローバル貿易分野で「中国のピークが過ぎ去った(ピーク・チャイナ)」ことを表している可能性があると述べています。国際通貨基金(IMF)のデータ分析では、2018年上半期に、中国は174の国家への輸出で米国を上回っており、米国が最大商品供給国だった国は、わずかに51カ国でした。この現象を「ピーク・チャイナ」と言います。しかし、今年の上半期では、中国は米国に負けており、米国は、再び世界一の輸出大国に返り咲きました。中国は、過去20年間にわたって、世界主要輸出国だった地位が揺らいでいます。

     これは、米国にとって重要な勝利です。中国が2001年にWTOに加入してから、米国は次第に世界第一の貿易大国の地位を失い、貿易赤字は年々増加しました。対中貿易の赤字は、トランプ大統領の米・中貿易戦争の主要な目的の一つでした。中国は、ぐずぐずと協議に署名するのを引き伸ばしてきましたが、しかし、米国は貿易戦争の形でプレッシャーをかけて、外資を中国から撤退させました。中国の輸出産業のトップ10は全て外国資本で、4社が台湾資本です。中国が、今になって貿易協定にサインしても、こうした中国の輸出を生み出していた外資企業の中国回帰は望めません。

     ⑶ 第三の勝利;知的財産権分野で、中国の「千人計画」の窃盗のロングハンドを切り落とし、全世界的な対中国警戒心を呼び起こした。

     知的財産権分野では、米国と中国の交渉は困難を極めていますが、しかし、米国の対中知的財産権をめぐる「反スパイ戦」の展開は、中国の「海外ハイレベル人材招致 千人計画」という米国からの知的財産権窃盗のロングアームを切り落としました。

     2008年末から中国政府が批准、実施してきた「千人計画」は、2017年までに7千人の学者が参加しました。こうした中には、少なからぬ米国国立衛生研究所(NIH)やアメリカ国立科学財団(NSF)、アメリカ合衆国エネルギー省(DOE.)など、国家級の研究機関勤務の科学者がいました。

     米国は、一連の措置を取って中国に2019年に「中国製造2025計画」を放棄させましたが、中国側は、2019年11月には素早く、新素材、新情報技術、電力装備の三つの分野を対象とした210億ドル規模の「国家製造業モデルチェンジアップグレード基金有限会社」立ち上げました。この三つの分野は「中国製造2025」計画の中で重点とされた10の分野に属します。

     しかし、これまでのように、直接米国から「そっくりいただいてお持ち帰り」ができなくなったのです。こうした産業のアップグレードは、今はまだ「これまでの成果」が上がっており、それを消化するので、しばらくは早いかもしれませんが、やがて困難になり、数年後にはゆっくりしたものになリかねず、不確定性が増しています。

     米国での中国のスパイ活動が暴露されたおかげで、西側国家は次々と中国に対して警戒措置を取り始めました。2019年2月、ドイツは「国家工業戦略2030」を公布し、連邦経済・エネルギー大臣のペーター・アルトメイアーは、草案の中で、はっきりと、この計画は中国の脅威から生まれたものだと語っています。この論評は、これはドイツ自国の工業が中国による「買占め」への対応措置だとみています。

     ★中国の国際イメージがプラスからにマイナスに滑落

     貿易戦争が始まると同時に、米国では不断に各種の中国スパイが米国で諜報活動を行い、浸透を図っている調査報告を発表され、更に、中国が貿易戦争の過程で、矛盾した自己弁護を繰り返す姿によって、世界の中共政府に対する認識は、急激に変化しました。

     2005年、中国が体外に「平和的崛起」を唱えた時、ピュー・リサーチセンターは、毎年、米国人の中国人に対する見方を調査してきました。調査開始後の1年は、35%の米国人が「中国に好感を持たない」だったのが、次第に上がって、2016年8月の調査では47%になりました。そして今年8月には、この14年間最低の、60%の米国人が中国に好感を持ちませんでした。中国経済の発展に対しては41%が、「良くないこと」と見ています。回答者はおしなべて、中国が軍事的脅威のほうが経済的脅威より大きいと見ており、81%が中国の軍事的成長は良くないと見て、太平洋、インド洋、中東地区へ戦略的に手を伸ばしているとしています。

     この調査ははっきりと、民主党員に比べ共和党員が中国に対して、マイナスの見方をしており、軍事力に注目しています。

     米国だけでなく、同センターは、2019年には34カ国で調査を行いましたが、全地球規模で中国に対する見方がプラスからマイナスに変わっています。調査対象となったアジア太平洋の6カ国では、45%の回答者が、グローバルな面での習近平は信用出来ないとし、「信用する」は29%でした。この傾向はいくつかの国では、特に目立っており、日本では81%、韓国では74%、豪州では54%が、習近平に対して、消極的な評価をしています。

     またこの調査では、良くよくないことだと考え、日本と韓国では9割に達しました。しかし、一部のナイジェリアやケニアなどのアフリカ国家では、大部分の人々が、中国の軍事力が強大になれば、自分たちの利益になると答えました。

     ★トランプは、言論における中国の政治的タブーを打破した。

     最後に、トランプ大統領が、中国に対する言葉上のタブーを打破した功績を上げなければなりません。

     中共の三人の皇帝に仕えた理論家の鄭必堅(元中共中央党校の常務副校長)が、米国の雑誌フォーリン・アフェアーズに発表した「中国のグレートパワーへの平和的勃興」(2005年9-10月号)以来、ドイツなど反米陣営を含む全世界は、中共の崛起に期待を持ちました。

     米国には「親パンダ派」が中国政策を牛耳っており、中共を批判することは、彼らから見ると中共を侮辱するものだと睨まれ、中国は米国と共に新たな覇権を共有する存在となり、オバマ前大統領も、離任する1ヶ月前に、アトランティック・マンスリーの取材に対して、諄々と米国人に向けて「強大な中国は、衰亡する中国よりマシなのだ」とお説教していました。

     こうして、環境を破壊し、人権を守らぬ「中国モデル」が、少なからぬ西側学者の賞賛を浴び、更には、中国研究界でも、それが「ポリティカル・コレクトネス」になって、「語ってはいけないあの国」になってしまいました。

     しかし、トランプ大統領が、米・中貿易戦争を発動し、米国との力比べの中で、中国政府が行った悪事が随所に暴露されて以後、ついに、中国の「語ってはいけないあの国」タブーが打ち破られ、米国の30年にわたる対中政策に対して、理にかなった疑問が提起されました。

     こうした全てのことは、中国の対外的な政治経済の膨張を食い止め、「防御」の姿勢に追い込みました。トランプ大統領が開戦時に設定した、貿易赤字の減少と、中国に徹底的に「中国製造2025」を放棄させるにはまだ至っていませんが、しかし、これまで述べた通り、中国が国際政治経済システムの中でとってきた進撃の勢いは、ここに終わりを告げ、防御姿勢に回らざるを得なかったのです。(終わり)

    原文は;何清涟:美国之胜:将中国从进攻态势逼回防御状态

    Print Friendly, PDF & Email

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *