• ★武漢肺炎と企業の営業・操業再開 早すぎる危険 2020年2月11日

    by  • February 12, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     ”武漢肺炎”の流行は、  一向に終息に向かう様子はありません。 中国各地の省級、  地級、  県級、  郷級の行政府の対策は、  地区封鎖から、  他省からの労働者締め出し、  地元での個人の自主隔離まで、  無いものはないほどです。 

     国務院弁公庁が、  2月3日から正常に勤務するとしたので、  ネットでは操業復帰に関する論議でいっぱいです。 そこでよく聞く言葉が「両難(ジレンマ)」です。 

     この「両難」という言い方は間違っています。 操業復帰に関わる3当事者(政府、  企業、  労働者)を、  区別無しに一つの利益共同体だとみなしているのです。 つまり、  どの立場であっても、  政府の税収、  企業の収益、  労働者の生命安全を考慮すべきだというのです。 でも、  実際は、  営業・操業再開に関しては、  どの立場でもまず自分の利益を真っ先に考えます。 それから次に、  他の二つのことを考えるわけです。 天秤がどっちに傾くかは、  自ずから明らかでしょう。 

     ★流行が衰えない今、  早すぎる操業再開は誤った選択

     中国(中共)の中央政府の立場から言えば、  当然、  営業・操業再開を急ぎたい。 米・中貿易戦争によって中国経済の成長は、  下降が予想されています。 その上に今回の武漢肺炎ですから、  「屋根に穴、  その上、  毎日雨降り」状態です。 国務院の決めた2020年の旧正月期間(1月24日-2月3日)は、  去年(2月4日-2月10日)より5日多いだけです。 つまり、  経済損失が続く状況で、  政府は営業・操業復帰の早さに、  経済復活の望みをかけています。 

     政府の立場の代表的な言い方が「秩序ある操業復帰」です。 「隔離措置だって無料ではない」からです。 現代社会の流動性の上に、  無理やり硬直的な隔離を行えば、  新たな秩序の溶解、  断裂が起きかねません。 

     多くの経済分析家が、  現在の流行状況は第1四半期に影響するが、  通年に対しての換算すれば、  1%〜5%までの間だろうと指摘しています。 これはGDP総量と財政収入が大事な中央政府にとってみれば、  たまったもんではありません。 ましてや、  その上に、  社会秩序維持費と疫病流行対応で、  巨額のお金が必要なのですから。 

     私は、  ★武漢肺炎と中国政治のマーフィの法則 2020年2月5日 で、  これまで武漢肺炎流行爆発後の、  中央政府が犯した間違いを数えて見ました。 

     いわゆる「マーフィの法則」とは、  「道筋が複数あって、 破局に至るものがあるなら、 誰かがそれをやらかす」です。 武漢肺炎では4つのポイントがありましたが、  中央政府は全てで、  この法則が正しいことを証明してしまいました。 

    ⑴ 武漢肺炎の流行し始めた時、 情報公開するか隠蔽するかの選択。 中国政府は「悪い知らせをもたらした使者は殺せ」とばかり後者を選んだ。
    ⑵ 患者の隔離、 流行地域の封鎖は、 早ければ早いほどよく、 人口の流動性が高まる春節の季節とあっては、 なおさらです。しかし、 中国政府は最後の最後まで都市封鎖宣言をしませんでした。 そして、封鎖される前に武漢市内からは、 もう500万人もの人々が抜け出してしまいました。
     ⑶ WHOにはプレッシャーをかけて、 科学か政治の選択を迫り、 後者を選ばせました。
     ⑷ 世界に謝罪すべきときに逆に居丈高になって、 他国の援助が少ないと文句を言い、  一番援助してくれた米国を一番多く罵った。 

     そして、  今、  その上にまだ第五の誤った選択をしようとしています。 「流行が持続して悪化している時には、  人が集まらないようにすべきなのに、  逆に、  操業を再開しようとしている」です。 

     一昨日、  中国の疫病問題専門家の鐘南山が、  ウイルス保持者の潜伏期は、  これまで言われていた14日ではなく24日だと言いました。 最近では、  さらに山西省のある老夫人の潜伏期はなんと40日だったケースが発見されています。 

     こうした状況の下では、  極力、  群衆が集まって感染が起きないようにするべきなのです。 しかし、  政府は客観条件を無視して、  無理やり営業・操業を再開をさせようとしています。 これでは湖北省以外にも、  新たな汚染省を作り出す危険があります。 

     政府は、  上海の経験を踏まえて、  民生関連の企業だけ営業・操業を再開させ、  そうした企業の職員には、  現地政府が毎日、  防疫のチェックをすべきです。 これは、  企業のコストのうちに数えるべきです。 

    ★運に任せて企業再開の皮算用をすべきでない

     企業は当然、  経済的損得を考えます。 それが企業の生命線です。 清華大学の朱武祥・経済管理学院教授ら中小企業研究では、  武漢肺炎の流行の影響で、  85.01%の企業が、  3カ月以上持ちこたえられないとしています。 

     国海証券のネットアンケートでは、  農林牧畜漁業、  製造業、  建築業、  サービス業などの主要業種の大中小各種のサンプルがあります。 これだと、  8割以上の企業が、  収入減少で、  75%の企業が、  流動資金に影響があると答えています。 

     さらに詳細なのは、  西貝餐飲グループ創業者CEOの賈国竜が今年2月初めに述べた言葉です。 もしこのまま流行が続けば、  企業帳簿上の現金は3月持たない、  と言いました。 同グループは400店舗が営業停止しており、  100余りの店舗で外販営業していますが、  旧正月前後の一カ月で、  失った営業収入は7〜8億元。 同時に2万人以上の従業員への給与支出が1.5億元だと言います。 

     営業できないのに、  給料はこれまで通り払い、  社会保険料なども、  2カ月しか猶予してもらえませんから、  企業は大変なプレッシャーを受けています。 しかし、  流行の衰えないのに無理に営業を始めれば、  損失はさらに大きくなります。 

     例えば2月10日にネット上で伝えられたのは、  蘇州で操業開始した企業では、  もうすでに確定診断で陽性になった従業員が1人出ました。 それで全工場の200人以上の従業員が全部隔離され、  一人当たりの隔離費用が4270元、  すべてが企業負担です。 

     こんな状況では、  油断できません。 今の症状検査手段だって漏れがないとはどんな企業だって保証できないのです。 英米や日本など、  防疫条件が中国より高い国々でも、  検査漏れが出ています。 要観察期間の2週間を過ぎて発病した患者がでています。 

     政府の操業再開令に賛成するプロたちの腹づもりでは、  「流行は見たところ深刻だが、  実際の感染率は高くなく、  たった2%だ」でしょう。 しかし、  この考えは危険です。 

     まずこれは、  交差感染や2次感染がもたらす流行拡大はないものとしています。 しかし、  中国の流行悪化状況が、  現実にこれを否定しています。 米英などのウイルス学者の計算では、  再生率は幾何級数的な増加を示します。 違いは、  どれぐらいの時間で増えるかという点だけです。 二つ目は、  群衆感染の深刻さを軽視しています。 中国国内にも外国にも例があります。 

     武漢の百歩亭小区は、  流行期間中に万家宴を開いてしまったため、  今や、  丸ごと一区域が病気汚染区になり、  十万人以上の人々が、  「自然感染、  自然消滅」の道しかないという危機に陥っているのがその例です。 

     湖北省、  北京市では雀荘や囲碁将棋クラブから感染したケースもありますし、  湖北省のある村では麻雀から、  全村の1100人が感染しました。 

     ★地方政府と居住区への配慮

     各省の政府は、  操業再開時間を中央政府の計画通りには実行していません。 

     上海は、  今回の防疫で最も良くやりました。 1月27日、  上海市は「市人民政府による企業と学校再開に関する通知」を出し、  上海の各種企業は2月9日以前に再開してはならず、  学校は2月17日以前に開いてはならないと決めました。 

     また対外交渉と市の運営に関係する必要な需要(水力発電、  火力発電、  通信など)、  防疫関係(医療器械、  薬品、  防護用品の販売業など)、  生活必需品(スーパー、  食品生産供給など)、  およびその他の国民生活関連の重要産業を除外して、  危険を最低限度に抑えたのでした。 

     多くの地方では、  未だに都市封鎖を強化しています。 居住区域を封鎖するのも、  やり方は様々です。 こうした状況下で、  近いうちの操業再開は当然歓迎されません。 ある地方では、  はっきりと「繰り上げ操業は民衆の中に潜む階級敵だ」と大書した横断幕を貼り出しました。 

     まさにBBCが「疫病流行の中国。 生活が無茶苦茶」の番組で述べたように、  流行期間、  中国中の全家庭は引きこもり、  病気地域では誰もがビリビリ」です。 

     ネット上で、  医療を求める阿鼻叫喚に比べれば、  最大の幸福は、  まさに健康で家の中にいられることです。 どの居住区域も、  封鎖措置をとって、  外からの来客を拒絶し、  うまくやれた家主には賛嘆の嵐です。 

     ネット上のジョークには、  ジレンマの苦境を「仕事にいかなきゃ飢えて死ぬ。 でも行ったら病気感染死。 家を出ればもう相見えることなし(开工没有回头见)」(訳注1;「开工没有回头箭」とかけている。 元の意味は「放たれた矢は戻ることがない」)。 うまくできています。 

     私は、  働く人々は、  きっと頭を働かせてこう考えると思います。 「一カ月分の給料がなくても、  別に家族全員が飢え死にしやしない。 感染の危険を減らせば、  命は守れるし、  巨額の医療費の心配をすることもない。 ましてや、  全国が都市封鎖なんだし、  今、  外地に出かけたりしたら、  天にも地にも隠れる場所すらない。 家にいた方がいいや」と。 

     ★三者のバランス — 政府の役割は何か

     国務院の規定では、  新型コロナウイルス患者、  疑わしい患者、  濃厚接触者は治療や隔離期間中の給与は、  元どおりに支払われます。 労働協約が終了する日付も、  医療期間中や隔離期間や政府による緊急措置が終了後まで順延されます。 

     しかし、  これだけは企業には不利になりますから、  政府がやるべきことは以下のことです。 

     ⑴ 対中小企業に税金免除措置。 シンガポールは昔、  SARSが流行した際、  3年から5年感の過去の納税状況に基づいて、  税金を返却したり、  免税措置をとりました。 

     2020武漢肺炎は、  シンガポールの旅行業界にも大打撃を与えました。 シンガポールの旅行業界は、  同国GDPの約4%を占めます。 中国旅行客はシンガポールを訪れる観光客の5分の1です。 シンガポール旅行局は、  すでに旅行社やガイド、  ホテルの許可証費用を無料にしています。 

     また疑いある人や、  症例が確定された患者の滞在したホテルの消毒費用を負担し、  旅行業者もサポートしています。 この点は、  中国政府も見習うべきでしょう。 企業税を免税にして、  営業停止期間中の社会保険料負担を免除すべきです。 

     ⑵ 企業と従業員に流行時期の操業停止中の給与問題で話し合わせる。 企業が営業、  操業していない期間、  職員は無給休暇や半給休暇にして、  共同で流行期間の危険分担をする。 これは見本があります。 武漢肺炎流行期間中、  ユナイテッド航空やアメリカン・エアラインは、  1月30日に需要減少のために、  パイロットらに無給休暇を取らせた。 キャセイ・パシフィック航空も同様にした。 

     ⑶ 中国の銀行と企業の関係は、  部分的には政府と企業の関係ですから、  苦しい時には、  各地の政府は企業の状況をよく見て、  条件付きの優遇融資を行えます。 2005年、  米国南部を襲ったカトリーナ台風の経済損失は2千億米ドルに達しました。 米国政府は、  企業の救援措置として、  6万人以上の住民と企業主に対して、  21億ドルの災害貸付を行い、  貸付期間と利息ともに優遇措置を与えました。 

     最近、  128の国家が、  入国管制措置を取り、  航空会社の大半が中国便を、  暫時中止しています。 WHOの2月10日に出した最新の警告では、  武漢を発祥地とする新型コロナウイルスは、  多くの国で中国訪問歴のない人々の間で伝染しています。 ですから、  流行は全地球的に、  「星火燎原」の危険性があるといいます。 中国政府も、  「流行は4月までに終わる」と宣言しています。 

     こうした状況の下では、  早すぎる操業再開の危険性については、  政府、  企業、  労働者の三方はよくよく考えたほうがよろしいのです。 (終わり)

     原文は:何清涟:疫期企业复工,三方利益何者重要?

    中国 何清漣

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    これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら。過去のものはウィンドウズやMacのサファリでは、句読点が中央配置になります。Macのchromeがおすすめです。なお、「拙速」でやってますので誤字、脱字ご勘弁。(電子本の方は校閲して直してあります。多分w) なお、お気付きの点がございましたらお知らせください。ツイッター → @Minya_J。

    中国 何清漣

     

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