• 程暁農★中国の疫病流行 — 都市自衛戦と他省の湖北省請負救援隊 2020年2月15日

    by  • February 15, 2020 • 日文文章 • 0 Comments


     ★⑴ 流行の始めは、全国が無防備

     去年12月に最初の兆しを見せた「武漢肺炎」は急速に全国に拡散し、多くの省と市、そして世界の多くの国に流行をもたらした。しかし、1カ月経った今、「武漢肺炎」というネーミングは時代遅れになった。

     湖北省やその他の都市と全国の省と市にとっては、もう単純に武漢からの来訪者を追跡して防疫するやり方では間に合わない。ウイルスは、全国が無防備な間に、とっくに拡散してしまった。

     「武漢肺炎」は、その前身に過ぎず、いま湖北省以外の他の省や市で流行しているウイルスは「武漢肺炎ウイルスN代目」だ。国外のへの流出は、これまでに24カ国で確認されたのが288例。

     こうした症例は、武漢との繋がりが見出せないものもある。つまり、この流行を生みだしたコロナウイルスの毒性は、今や多国籍ウイルスに変化している。だが、その発生源が武漢であることは、まず間違いのないところだ。

     流行の始まりの大体の事情は、メディアで多くの報道がなされている。だからここでは、二つのキーワードから、簡単に。二つとは「出どころ」と「秘密保持」だ。これが流行蔓延の鍵である。

     2019年12月1日、武漢に一番早い症例が出現した(訳注1;武漢市の華南水産卸売市場に出入りしていない肺炎患者を武漢市金銀潭医院が発見)。第一の症例が確認されたのが12月8日(訳注2;武漢市が新型肺炎患者を報告)。

     武漢政府は、「武漢肺炎」を引き起こしたウイルスは、武漢市の華南海鮮市場からだと発表。しかし、その後の研究で、41の症例中、27人はこの海鮮市場に接触があったが、他の14人はなかった。34%がなかったということは、ウイルスにはその他の発生源があったということだ。

     最近、武漢の中国科学院武漢国家生物安全実験室(武漢P4実験室)が、SNSの上で注目を浴びている。この実験室は、炭素病、これら、などの激性の伝染病を研究している。

     RFI(フランス国際ラジオ)中国ウェブサイトは、2月8日に、「中国首席生化学兵器防御の専門家陳薇少将が、数日前にこの実験室を掌握。これは武漢P4実験室が軍と関係があることを示している」。

     陳薇少将軍事医学科学院の生物プロジェクト研究所の所長。彼女が、武漢が封鎖されるとほとんど同時に”落下傘降下”したのは、”普通!の実験室が、全国生物化学兵器の防御のトップの専門家を必要としたわけだ。それも少将という高い位にある人が、この時期この場所で「引き継いだ」のには、隠された事情が相当にあるということだ。

     武漢肺炎が、最初に流行してから1カ月以上、現地ではなんの防衛措置もなかったし、全国でも警戒していなかった。その主な理由は「秘密保持」だった。多くの人が政府の発表する流行状況に、態度を保留しているのは、それだけの理由がある。

     李文亮が亡くなる前に、現地の政府により「デマを流した」とされ、「デマ」の根拠の流行の有る無しにかかわらず、デマと判定されたのは、彼が「秘密保持」に違反したからだ。その必要があったのだ。

     多くの人が、大規模な防疫には情報の透明化が必要だと思っている。しかし、彼らが必ずしもわかってないのは、中国の防疫と秘密保持はちょくせつに関係があり、秘密保持制度は直接、防疫効果を破壊しているということだ。

     2月8日の中国新聞周刊は、元上海副市長の謝麗娟が1988年1月の上海甲型肺炎の爆発時の防疫活動の回顧を紹介している。その中で、「1987年12月に何系方面は、甲型肝炎の大規模爆発を予想していた。しかし、その予防を大規模に宣伝できなかったのは、秘密保持が求められたからだった」と述べている。理由は、政府がいろいろな配慮があったからだ。

     そして、30年以上過ぎた今、この秘密保持体制のルールは、明らかに変わっていない。だから、武漢市でまたしても同じことが起きた。今回の流行の最初の段階で、武漢市や全国が無防備でなんの備えもなかったのは、「発生源」が政府の関心事だったからだ。

     この流行の秘密保持優先の体制が、直接、病気蔓延の原因となった。大規模伝染病の防疫は、公共衛生事件だ。大衆に流行状況を理解させずに、「秘密保持」したままそっと流行を消滅して、そうした事件を解決できるはずがない。

     ★⑵ 突然の蔓延で世界はパニック

     武漢の流行状況が急速に広がった時期は、旧正月休暇の直前で、人口の大規模移動は、もともとわかっていた。その上、流行状況もすでにSNS上で伝わっており、それが親戚訪問などで、全国、そして世界へと武漢市民の旅行熱を加速した。

     流行の対外拡散段階では、「人の潮」と「発熱」が反省のキーワード。そして関係衛生部門は、この二つで過ちを犯した。

     武漢市の1月23日の都市封鎖前に、500万人が武漢市を離れた。うち350万は湖北省内の各地へ、150万人は他の省、市や海外へ向かった。こうした「人の潮」が、流行を広げたかどうかは、ウイルスの伝搬方式の正確な判断が鍵になる。これが「発熱」というキーワードが意味するポイントだ。

     もし流行が、海鮮市場の初めのころの感染源なら、そこへ行った人に広まる。それなら、直接この伝染源に接触した人を調査して隔離すればオッケーだ。

     接触者が感染しているかどうかは、発熱の有無を検査するしか無いだろう。だから、武漢市内に留まっている人や、市外に出た人の中から発熱者をチェックするのは、防疫の主要な手段になったはずだ。

     もう一つは、無症状の患者は伝染源にはならないという前提があったのだが、こうした方法は残念ながら、二つとも間違っていた。これが湖北省その他の都市、全国の他の省や市、そして国外に流行させてしまった理由だ。

     1月14日、ロイターは世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルスが「すでに」ある程度人から人に感染、と伝えた。しかし、中国政府のプレッシャーの元で、WHOは、すぐ「その可能性がある」と言いかたを変えた。

     もし、人から人への感染が伝染経路なら、武漢の都市封鎖は、もっと早くなされるべきだった。そうすれば、旧正月前に、大量に外に出ようとする人口を、流行拡散前に阻止できたかもしれない。しかし、誤った判断によって、都市封鎖は遅きに失して、流行拡散を挽回することはできなかった。

     1月22日に国家衛健委が出した「新型コロナウイルス肺炎防疫方案第二版」は、ようやく、武漢肺炎の症例として人から人への感染がありうると認めた。しかし、依然として、潜伏期には伝染しないとしていた。2週間後の2月5日になって、第5版が出て、症状が出ない感染者からでも伝染する恐れがあると初めて明らかにした。

     指摘しておかなければならないのは、「人から人」が、武漢人と接触がなくても、あるいは発熱していない人からでも、同様に感染させられる可能性を決定づけるものだという言うこと。

     現在から見れば、今回の流行蔓延のもう一つの主要原因は、伝染の仕方に対する誤った判断だった。事実上、伝染の連鎖は大変長いものだった。無症状の感染者が他人に伝染させた結果は、患者未発見段階から、流行はずっと拡散していたわけだ。

     これでは、人々の社会経済活動を停止して、自分で自己隔離するしか、確実に潜在的感染者から他人に伝染させることを止められない。その代価は、経済は半身不随になって、企業は破産に瀕死、多くの人々の暮らしが立たなくなる。

     大量の出国した旅行者による国外での流行拡散につれて、現在、中国のウイルスに対する国際的パニックが出現している。外国航空会社が、次々に中国航路への就航を中止し、多くの国では、中国からの旅行客を制限している。

     武漢の天河空港には、自国民引き上げのチャーター機が飛び立っている。米国、日本、シンガポール、韓国、英国、仏国、タイ国、ドイツ、トルコ、インド、ヨルダン、スリランカ、モンゴル、バングラデシュ、モナコ、インドネシア、アルジェリア、イタリー、豪州、台湾、ロシア、マレーシア、ニュージーランド、イラン、カナダ、ブラジル、フィリピン、ベトナムなどだ。

     多くの外資企業は生産停止を余儀なくされ、その顧客たちはすぐ在庫がなくなり、供給チェーンが絶たれるだろう。次の一歩は、提供者のビジネスが別の国に工場を建てる。または顧客が別の売り手を探すだろう。どちらも中国の「世界の工場」は、流行による脅威に直面する。もし流行が治らなければ、中国の輸出は、発注を取り消され、そうなると中国は、嫌でも全世界の物流から取り残されてしまう。

     ★⑶ 都市は自衛、省ごとに救援を分担

     現在、流行状況は、毎日変化しており、患者はずっと上昇し続けている。しかし各省の不安はそれぞれで、被害の大きかった地域は、もう堪えることができない。これに関係するキーワードは「診断確定」と「ベッド」だ。「診断確定」とは、診断によって新型コロナ肺炎と確定した患者のこと。そのうちの重症患者は、救急措置が間に合わなければ死亡する。

     各地の確定診断数は、現地の流行の深刻さの程度を代表する。「ベッド数」は流行地域の病院の隔離病床の数で、どこだって限りがある。診断確定者数が、収容可能人数を超えたら、流行を抑えることは危機的状態になり、時には社会秩序の混乱をきたす。だから、ある地域の流行防止を行う時は、確定診断者数とともに、ベッド数を大きく超えるかどうかも注意する必要がある。

     台湾の東森新聞の2月6日報道では、湖北省では武漢以外の鄂州、仙桃、枝江、潜江、天门、黄冈、咸宁、赤壁、孝感、黄石、荆门、宜昌、恩施、当阳、十堰、随州の16の地級、県級市は、すでに閉鎖式管理対象市となっている。全国の他の省でも、浙江的温州市、杭州市、乐清市、宁波市也已“封城”,河南省郑州市、山东省临沂市、江苏省南京市和徐州市、福建省福州市、黑龙江省哈尔滨市も同様だ。

     湖北省以外の都市での封鎖措置は、いろいろのようで、その理由も様々だ。例えば、杭州は都市封鎖だけでなく、各戸封鎖して、毎日二日に1人だけ買い物に出かけることが許される。これは同市の流行がそれほど深刻ではないが、しかし、浙江省ないの流行地域である寧波市、温州市からの人が流入するのを防止する必要があるからだ。

     ハルビン周辺では、まだはっきりと流行が爆発した様子はないが、その都市封鎖は市内の流行状況と関連するのだろう。

     この他、少なからぬ都市が、例えば江蘇省の常州市のように、職場や学校への復帰を3月1日に延期し、なるべく社会経済活動を抑えて、相互感染を抑え、さらなる流行拡大の可能性を防ごうとしている。

     江蘇省の無錫市は8日、「湖北省、浙江省、広東省、河南省、湖南省、安徽省、江西省などの流行重点地区からの労働者に、一律帰還を”勧告”する。明らかに労働者が流行を持ち込むことを恐れてのことだ。武漢以外の湖北省の各市のようなことになりたくないからだろう。

     見た所、東部の各省と市では、すでに「都市自衛戦」になっているようで、流行がひどいところでは、出勤、登校を停止しており、中には工場操業を犠牲にしてでも、外来人の流入を止めようとしている。

     武漢市は最も深刻な地域で、都市封鎖された1月23日の確定診療例は500以下だったのが、16日後の2月8日には、1万5千人近くなっている。もともとある病院ではもはや患者を収容しきれず、すべて軍隊が建てた臨時病院に収容している。

     現在、湖北省には武漢市を救う力はない。武漢市の防疫は中央政府が請け負っている。中央政府は、各省の医療パワーをつぎ込んで、緊急救援を実施している。また各地の軍医パワーと生物戦防衛化部隊の特殊兵を投入。

     湖北省内の他の市は、武漢市につぐ深刻な地域です。武漢封鎖時には、全部合計でも50人ちょっとだったのが、2月8日には1万2千人を超えた。

     確定診療人数が、地元のベッドと医療関係者の救助能力を超えたら、他の地域の救援に頼らざるを得ない。北京政府はすでに、東部と中部の16省市に対して、湖北省内の16都市に対して「省単位で請負い」で、一つの省、直轄市が、湖北省の地級市をひとつ受け持って救援活動に当たれと命じている。
     
     国家衛健委は2月9日午前8時に発表した前日までの流行状況通報では、確定症例が37,198、擬似症例が28,942人。2003年のラサ熱では10%だった死亡率に比べて、1月28日からの死亡率はずっと2%〜2.2%間で”安定”している。

     同日の新症例の中で確定患者が確定プラス擬似患者の比率は、1月24日は34%、2月8日には67%に倍増している。これは、検査手段が向上し、結果が2週間前より正確になったのか、それとも「在庫」の擬似数字の覚醒診断数を次第に「出荷」したのかだろう。

     2月4日の全国の症例分布では、武漢市、湖北のその他の都市、全国のその他の都市が、各3分の1ずつ占めている。2月8日には、武漢が4話r、湖北省の他の都市が3分の1、全国のその他の都市が4分の1強だ。

     現在の全体の流行状況は、全国の他省の新病例がまだ少し上昇が早いが、武漢と湖北省のその他の都市の重大災害区では、毎日の新症例は、数日前より現象している。しかし、流行状態は依然として拡大している。

     今後の流行状況は、現在、国内外で諸説紛々で、意見がまとまらない。最近のSNSで注目を浴びたのは、上海医療専門班の班長の張文宏教授が公開で述べた流行状態の三つの可能性、だ。

     一番良いのは、2、3カ月でコントロールできる場合。その次は半年から1年でコントロールできる場合。最悪は、コントロールに失敗して、ウイルスが全世界に広がることだ、と。

     防疫戦争は現在、まだ艱難辛苦の道で、特に武漢市と湖北省内のその他の都市では特にそうだ。しかし、他の省の封鎖が物語るように、あるいは流行の爆発する可能性があるのかもしれない。

     中国経済はすでに、極めて大きなチャレンジを受けている。そして流行の深刻な災害地域では、多くの家庭が、収入が途切れて、食事にも困るようになりかねない。
     
     中国の省級、地級、県級、郷級政府は、現在、すべてが社会、経済、政治の多くのレベルで巨大な圧力下に置かれている。(終わり)

     原文は;中国疫情回顾:城自为战,分省包干的全民保卫战

    中国 何清漣

    中国2018 中国2017 中国2016 中国2015

    これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら。過去のものはウィンドウズやMacのサファリでは、句読点が中央配置になります。Macのchromeがおすすめです。なお、「拙速」でやってますので誤字、脱字ご勘弁。(電子本の方は校閲して直してあります。多分w) なお、お気付きの点がございましたらお知らせください。ツイッター → @Minya_J。

     

    Print Friendly, PDF & Email

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *