• ★「中国モデル」への妄想。  世界は中国を模倣できない 2020年3月9日

    by  • March 10, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     中国の武漢肺炎の流行状況は下降中だが、  ただし、  操業の再開には数々の困難がある、  と言われています。  しかし、  自分の頭で物事を考えられるほどの中国人なら、  皆、  この流行状況データは嘘っぱちだと分かっています。 

     北京は、  世界保健機関(WHO)の専門家たちに、  防疫模範地域を一回り見学させました。  するとそのリーダーの事務局長補佐官ブルース・アイルワード博士は、  防疫の対応がピークを超えたと感じたのでしょう。  「速度と資金と想像力と政治的勇気が必要だが、  中国の防疫措置は模範とするに足る」と中国を褒め称えました。 

     ネット上には、  「中国は、  またもや勝利した!」「西側国家は、  中国を真似しようとしてもできない!」と、  西側が武漢肺炎に手も足も出ないのに、  中国は体制の集中力で大事業を行なった素晴らしい、  といった言葉がいっぱいアップされました。 

     ★「我々はまた勝利した」妄想の制度的側面

     「流行が終わって、  中国は世界最高の勝者となった」(「疫情过后 中国或将成为世界上最大的赢家」)というタイトルの動画が、  中共の「制度的ナルシシズム」の最高峰作品と言えるでしょう。 

     この動画は、  華麗なうそっぱちをいくつも”解説”してくれています。 

    ⑴ 中国は、  今回の流行を通じて、  世界に対して成功裏に自らの挙国動員力を見せつけた。  まるで伝説のように見事に戦略物資を按配してみせた。  これで、  世界中が中国に対して、  畏敬の念を持つに至った。  そして、  孫子の兵法の「上兵は謀を伐つ」ように、  戦わずして敵を倒すという目的を達した。 

    ⑵ 中国の株価が下がらず、  米国の株価が下落したのを嘲笑し、  「中国は、  理の当然で各国の資金が避難してやってくる場所となって、  最後には真の勝利者になる」と吹きまくりました。 

    ⑶ 一番、  奇妙なのは、  中国人の価値観なるものが、  現在の流行の中で、  一瞬にして変化したと称していることです。  (訳注1)そんなことは神様でも一瞬にできません。  中共の太祖たる毛沢東が吹きまくった毛沢東思想の威力を以ってしても、  思想改造は、  長いプロセスが必要だと認めていました。 

     このビデオは、  中国の制度は、  まるごとすべて西側に比べてはるかに優っていると宣伝する目的です。  中国政府と、  一部の中国人の目から見ると、  西側国家の防疫システムは、  まったくダメダメに映ります。 

     流行が深刻な、  韓国、  イタリア、  日本、  フランス、  ドイツなどは毎日、  中共支持者の嘲笑の的です。  今は米国が失敗して、  2020大統領選挙の逆転結果につながるのを期待し、  楽しみにしています。  このビデオの伝える趙忠祥(中国の有名ニュースキャスター)の中央電視台の力強い解説は、  中国政府と中共ファンの誇らしい気持ちをグッと盛り上げるものです。 

     実際、  締めくくりの「不利を有利に変え、  ダメなものを奇跡にリニューアル」は、  間違っていません。  ただ、  すべて紙上での勝利にすぎないのですが。 

     では、  中国の防疫体制の「ダメなもの」のはどんなところでしょうか?

     ★中国の「奇跡の防疫」はいかに実現した?

     中共政権は、  世界でも数少ない、  政治、  経済と資源、  世論の三つを独占する政府で、  防疫に関しても幾つかの切り札があります。 

     第一段階は、  まず国内の口塞ぎでした。  「凶報をもたらした使者」であった李文亮ら8人の「警告を与えた人々」は、  真実を語ったために警察に取り締まりを受けました。  権力を利用して流行情報を抑えこみ、  流行を防止するための最も貴重な23日(原注:12月31日〜1月22日)間を失ったのです。 

     また「都市封鎖」によって、  武漢を犠牲にしました。  これを「世界のために巨大な犠牲」というのは、  さらに自分自身を欺くものです。  都市封鎖以前に500万人が脱出し、  そのうち6万人は全世界に散って、  それぞれの行き先での最初のウイルスの発生源になりました。 

     第二段階は、  力ずくで流行区域を半ば軍事管理下に置き、  完全封鎖したことです。  同時に、  発病のデータ、  流行区域内の死者数、  流行状況は、  すべて中共が言うデータしか発表されなくなりました。  少しでも違う話は、  全てデマだとされ、  各種の罪名をで逮捕されました。 

     第三段階は、  国内、  国外向けての宣伝マシンの起動です。  メディアは全て中共支配下で、  中共の言うがままに動きます。  武漢の人々が見てきた、  一家全滅の悲劇や、  街のあちこちに放置された収容を待つ遺体は、  放映されませんでした。  武漢での死亡数は、  発表されたのは3千人そこそこだったのですが、  貴州や重慶から葬儀場へ応援の死体処理班が駆けつけました。 

     第四段階。  長年にわたって”養成”してきたWHOのテドロス事務局長は中国の”友好人士”です。  その地位を利用して、  テドロスは国際社会に、  ずっと中共のために”クリーニング”を行いました。  テドロスによる白黒をアベコベにしてしまう説明によって、  中国は疫病の起源の国から、  疫病との戦いに成功した世界一の模範国となりました。 

     こうしたダメさを”奇跡”に変えてしまうプロセスに、  一カ所だけほころびがありました。  1月27日、  武漢市長の周先旺がCCTVのインタビューで、  地方が防疫に権限がないと、  暗に隠蔽の責任を上級にあるとほのめかし、  ここから一大「責任なすりつけ合戦」が始まってしまいました。 

     中共は、  三つの手を打ちました。  李文亮医師事件を調査するふりをして、  国家観察委員会調査班を武漢に派遣。  軍の首席生物化学兵器の専門家である陳薇少将に武漢ウィルス研究所を接収させ、  湖北省共産党委員会と武漢市長の首をすげ替えました。  こうして、  迅速に権力を「下級は上級に服従」、  「全党は最高指導者に服従」の基本に戻しました。 

     ★西側と中国、  それぞれレベルの違う文明

    WHOのアイルワード博士の「中国の防疫措置は範とするに足る。  ただし、  速度と資金と想像力と政治的勇気が必要だ」発言は、  完全に中国の政治体制に、  この人物が無知なことを表しています。 

     世界には、  中国のような政治、  経済、  世論を独占する民主国家政府はありません。  ですから、  中国モデルを真似るなど不可能なことです。  中共は、  暴力革命で政権を奪取した後、  国民党政権を打倒した自分たちの体験に基づいて、  政治暴力を基本にした防衛型の政府体制を築いたのです。  一切の反対勢力を防ぎ、  いかなる批判や異見も、  政府転覆行為だとみなし、  一切の反対する力を萌芽状態のうちに扼殺してしまうわけです。 

     さらに、  毛沢東時代から始まった「大自然と戦い、  改造する」ことによって、  ほとんど毎年のように災害が発生するようになりました。  しかし、  災害と対策への批判は、  すべて中共政権に対する攻撃とみなされます。 

     ですから、  自然災害のような突発事件、  重大な特大事故、  環境郊外、  人的破壊への緊急管理、  指揮、  救援計画には、  中国政府はシステム化された管理方式を持っています。  西側諸国の各種の専門家が率いるプロの救援隊とは違って、  中国の各級政府の緊急委員会は、  中共政府官僚による兼職組織なのです。 

     米国の連邦政府機関であるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、  中国疾病予防管理センター(中国疾病預防控制中心)と地位は同じですが、  両国の地方政府における権威と地位は、  まるで違います。  中国疾病予防管理センターは、  下部に指導を行えば、  それは基本的に逆らえません。  下は、  ただ上から言われた作業を完遂するだけです。 
     しかし、  CDCは、  何度も下から叩かれています。  カリフォルニア州のコスタメサ市(人口約11万人)は、  軍事基地における検疫関係者が市内を移動するのに異議を唱えて訴訟を起こしました。  最後には、  連邦政府は計画を取りやめました。  テキサス州のサンアントニオ市の官僚はCDCを訴え、  隔離者を解放せよと要求しました。 

     制度的なレベルから見ると、  中国が自慢する「リソースを集中して大事に当たる」は、  まさに中国のこうした防衛的な政治体制の産物です。  この種の政治体制は、  いついかなる場合も、  国家の利益と公共の利益の名目によって、  個人の生命をも含む人権を剥奪できるのです。 

     西側民主体制下の政府は、  主に各種の公共サービス提供が仕事であり、  人民は各種の権利を享受します。  しかし、  中国政府は、  人権の劣悪な状態をそのままにして、  「優位」に立った防疫活動を行えます。  西側政府は、  一つの政策を行うだけでも、  大変な危険を抱えているのです。 

     ★西側の人権優先が防疫面で力を発揮できない理由

     つまり、  西側国家は何をするにも、  民意を真っ先に考慮しなければなりません。 

     これが、  フランスでのウイルス流行状況が悪化している理由です。  しかし、  政府はそれでも、  全国的に1千人以上の活動を禁止できるだけです。  この禁止措置は、  事実上、  全く役に立ちません。 

     中国の多くの群衆感染は、  集まって食事をしたり、  麻雀が原因で、  せいぜい10数人からでした。 

     米カリフォルニアの現状は深刻でしたが、  ロサンゼルスの万人単位のマラソンは、  これまで通り実施されました。  ウイルス流行の影響は、  中国、  香港、  台湾、  韓国、  イタリアからの参加者に、  来年の参加資格を認めて、  今年の参加をご遠慮願うだけでした。 

     エリック・ガルセッティ・ロサンゼルス市長は、  こうした病気は、  「団体伝染」するものではないから、  取り消す理由がないと言いました。  提案された衛生的な防衛措置は、  他の人と距離を置く。  走行中や走り終わってもハグしないこと、  でした。  選挙民から選ばれた公職者としては、  韓国の新天地協会での群衆感染すらご存知なかったのは、  いい加減も極まれりです。 

     中国は、  流行期間中、  一時期、  経済をストップさせました。  これは、  西側国家のやれることではありません。  企業は同意しませんでしょうし、  利害関係のある大衆は、  さらに同意しません。 

     例えば、  クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が日本で「疫病船」になってしまったのは、  周知のことです。  各方面が協議しあった結果、  各国は2月20日前後に、  自国民を収容することになったばかりなのに、  同じ会社のグランド・プリンセス号は2500人を乗せて出航してしまい、  ダイヤモンド・プリンセス号と全く同じ状態に陥ってしまいました。  政府の危険勧告など、  さっぱり受け入れなかったのです。 

     つまり、  中国と、  台湾や韓国を含む西側民主国家とでは、  政治体制が違うのです。  中国では、  全てが政治のためにあって、  人権は二の次です。 

     西側国家では、  人権が、  いかなるときでも最優先されます。  戦争の期間中の敵国人の人権は、  いつも軍隊で扱いが難しい問題になります。 

     中国の武漢肺炎における処置は、  西側国家では学ぶことは不可能ですし、  また敢えて学ぼうとはしません。  ですから、  中国のやり方を真似ることができないなどという問題は、  そもそも存在しません。 

     中国が武漢肺炎を処理した方法は、  西側では知られてないわけではありません。  ロイター3月5日の特別レポートでは、  武漢肺炎に対する中国の防衛措置は、  2018年から19年に起きたアフリカ豚コレラ対策の再演だと書かれています。  この2度の重大な疫病流行時にとられた方法は、  びっくりするほど似ています。 

     以上が、  私の中国と米国など西側国家の防疫体制に対する見方です。  自分たちの20年も経たずに、  世界に2度も疫病を流行させておきながら、  「自分たちは、  またもや勝利した」などと、  人権を顧みない”優位性”を誇るのは、  まったくもって世界の恥知らずです。  (終わり)

    訳注1:白衣の天使が活躍し、  警察の同志は黙々と任務を果たし、  市民が義援金を交番に届け、  それまで金儲け一辺倒だった中国人が、  公共心と弱者への思いやりに目覚めた、  といった類の宣伝内容。 

     原文は;评论 | 何清涟:中国模式的意淫:各国防疫没抄好中国作业

     

    中国 何清漣
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