• 程暁農★操業再開は困難、経済の春はやって来ない 2020年3月8日

    by  • March 11, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     新型肺炎の深刻な流行は、  中国経済に深刻な打撃となった。  防疫のため、  各地で行われた都市封鎖、  地域封鎖、  住民封鎖などの一連の措置は、  春節後の中国経済を麻痺させた。 

     中南海は、  困難の山なす経済を救うため、  急いで、  各地に操業再開を促した。  その結果、  操業の再開率が、  省級、  地級、  県級、  郷級政府での新たな指標となった。  そして数週間が過ぎ去った今、  実際の状況はどうだろう?

     全国の製造業は、  労働力不足に直面している。  上流にあたる部品供給チェーンは寸断され、  輸出品のオーダー流出という三つの難問にお手上げだ。  操業再開は難しく、  経済の春は戻ってこないのは、  もう否定し難い事実である。 

     ★⑴ 再開命令はなぜ役立たず?

     経済を救い、  回復させようと、  北京政府は一連の政策を打ち出した。  操業再開命令、  企業財務の緩和政策、  大プロジェクト計画の投入だ。  北京のトップが考えつく方法が、  総動員されたと言って良い。 

     操業再開命令は、  各地の企業に細かく操業再開、  生産再開を求めた。 

     企業財務の緩和は、  貸出しの増加、  借金利率を下げる、  企業の社会保険料負担を5カ月減免、  商店の家賃免除、  小企業の付加価値税減免だ。 

     大プロジェクト投入計画は、  13省・特別市(北京、  上海、  河北省、  山西省、  黒竜江省、  江蘇省、  福建省、  山東省、  河南省、  雲南省、  四川省、  重慶市、  遼寧省など)で、  10326項目の34兆元の「新インフラ整備」大規模プロジェクトだ。 

     しかし、  この三つの政策は、  「薬を体が受け付けない」「薬が病気に合わない」「効果が遅すぎる」なのだ。  操業再開命令は、  「薬を体が受け付けない」だし、  企業財務緩和政策は、  「薬が病気に合わない」、  大規模プロジェクトは、  「効果が遅すぎる」なのだ。 

     操業再開命令が「薬を体が受け付けない」になるのは、  経済体制の市場化と、  行政監督役の官僚化の矛盾である。  中国経済の体制は、  20世紀末に、  全面国有制、  計画経済管理の伝統的社会主義のモデルから、  私有企業中心の経済調整は市場に任せる形に変化した。 

     行政上では、  依然として集権体制の「全国が一つの碁盤」として運営されてい流。  行政命令は企業レベルに届気はする。  だが、  北京の政令には、  私営企業をハイハイと従わせる力はないのだ。 

     地方政府でさえ、  それぞれ自分たちのやり方を持っている。  全国製造業は、  労働力の移動問題で、  上流からの部品供給が滞るという問題、  そしてオーダーの減少という三つの難問に直面している。  操業再開はままならないのだ。 

     企業の財務政策の緩和が「薬が病気に合わない」のは、  同様に、  負担が軽減されても、  三つの問題によって生まれた企業の苦境を緩和させることはできないからだ。 

     大プロジェクトに至っては、  「間に合わない」のは、  簡単にわかる。  プロジェクトの実効性を研究して、  工程をつくって土地を収容し…となれば一年以上かかる。  こうした下準備が整ってこそ、  労働者は働けるようになる。  早くても来年になる。  下手したら数年もかかる。  だから、  これらは「遠くの水は、  近場の火事を消すのには役に立たない」し、  「絵に描いたモチ」なのだ。  (訳注1 「新インフラ整備」:2018年末の中央経済工作会議において提案された「人口知能、工業のインターネット化、IoTなどの新しいインフラ設備の構築」。)

     こういうわけで、  中共の対外宣伝メディアの「多維ニュースネット」は、  「中国政府は、  昔ながらの思考を踏襲して、  企業の実際の要求が分かっていないまま、  製造業の対して、  古いやり方で経済を回復させ、  金融を利用して、  財政ツールで企業に輸血し、  コストを下げようとしている。  これは、  1月の緊急操業再開、  防疫物資の生産には、  確かに有効だった。  しかし、  2月からの、  経済の緊急操業開始を全面復興させるには、  このやり方は「倍の労力をかけて半分の成果しかあがらない」といわれた。 
     
     この評価は、  客観的なものといえる。  政治的な命令が、  肝心な問題点に、  合致していないことを指摘している。 

     ★⑵ 操業再開は「経済の春」がまた来る?

     政府の命令が、  対策として正しくなくても、  地方政府は、  必ず呼応する格好をしなければならない。  だから、  企業に無理やり操業再開を命ずるようなことがよく起こる。 

     そして、  大部分の省や市では、  操業再開率は、  はっきりと上昇する。  例えば、  各省や市の工業情報化部門の発表によると、  2月末までの21省と市の大中の工業企業の操業復活率は、  80%を超えた。 

     操業復活率は政府が下達した行政指標で、  各地から報告されたデータには、  相当程度の「水増し」が行われている。  多くの製造業企業に言わせれば、  一部の労働者が戻って来れば、  操業再開と報告はできる。 

     しかし、  それは生産ラインがフル稼働してることは意味しない。  どの程度、  稼働しているかは、  企業にしかわからないのだ。 

     さらに一歩すすめて見れば、  異なる業種には異なる産業のチェーンがある。  異なった地域の企業の状態は、  千差万別で、  操業再開率だけを尺度にして測るのは無理がある。 

     例えば、  生産ラインの長短を、  食品工業と、  電子部品工業の生産ラインは違う。  技術の難度も異なる。  電子産業や精密部品工業の生産ラインでは、  労働者がちゃんとそろわないと、  動きがとれない。 

     時には肝心な部署の操作員不足や技術がなければ、  経験の足りない穴埋めするが、  それでは、  生産ラインを正常に運転させることはできない。 

     また、  異なった地域の企業の、  労働者の供給源は、  同じではない。  蘇州地区なら、  地元の労働者が大多数で、  操業再開は難しくないかもしれないが、  広東省の東莞市などでは、  他省から来た労働者の比率が高く、  操業再開は当然、  相当難しくなる。 

     中国の雑誌「財経」によれば、  多くの珠光デルタ地区の企業人為んっは3月の中・下旬にやっと揃う。  緊急時で、  大部分の企業がやっているのは、  いまいる人員のなかから、  生産ラインに人を貼り付ける方法だ。  管理職の多くも、  一時的にラインについて、  欠員を埋めている。 

     広東省政府によると、  2月26日までに、  全省の大中の外資企業の操業再開率はたった60%余だった。  そして記者は、  Appleのスマホ工場の富士康竜花園区では、  2月の操業率は30%に過ぎなかったという。 

     日本の野村証券の中国経済情勢分析では、  中国は疫病流行によって広範な影響を受けた企業は65%で、  これらの企業の操業再開率はわずかに44%だった。 


     ★⑶ 人もモノの流れも依然として困難

     中国各地の防疫措置は、  すでに国内の人の流れ、  モノの流れを妨げるようになって一カ月たっている。  人の流れは、  労働者の工場復帰を妨げる。  物流の障害は、  企業の上流からの供給チェーンを中断してしまう。 

     交通運輸業界は、  現代経済運営の毛細血管だが、  目下のところ正常の状態には戻っていない。  その原因は、  多くの省などでは、  現在、  依然として防疫の緊急状態にあって、  人口流動の制限を解除できないし、  外からの運搬トラックの出入りも制限している。 

     ウォール・ストリート・ジャーナルの報道では、  2月末までに、  中国の31省、  自治区、  直轄市の中で、  まだ12の省が旅行分野では最高レベルの制限を解いていない。 

     そのほか、  データ調査会社の万得(Wind)の資料では、  2月末の主要大都市の地下鉄の客輸送量は、  平時の5分の1だった。 

     これらのデータは皆、  防疫時期がまだ終わっていないということだ。  流行の「赤信号」が終わりを告れば、  完全に人口流動の禁止を解くことはできる。  そうなってこそ、  沿海地域の製造業の職場に十分な人が戻ってきて、  工業企業はやっと本当の全力運転状態に入れるのだ。 

     実際のところ、  今も人口の流動制限を行なっている省は、  なぜさっさと”解放”してしまわないのか? 彼らが解禁できないのは、  当然、  悩みがあるからか、  でなければ、  流行データを捏造したからだ。 

     実際の状況は、  それよりもっと深刻で、  あえて解禁しないのだ。  いったん解禁しようものなら、  人口の流動性が回復して、  伝染が加速しかねないことが心配なのだ。  そうなったら、  また上から叱られる。 

     疫病流行の度合いが激しい省の立場から言えば、  人の流れを解禁すれば、  他の省は助かるかもしれないが、  自分たちの省で患者が増える恐れがある。  そんな「全国は一つ」のために、  自分たちが犠牲を払うのは、  まっぴらなのである。 

     ★⑷ 世界からの注文はどうなる?

     実のところ、  企業の一番の心配は、  発注があるかどうかだ。  発注がなければ、  企業が操業を再開したところで、  まったく意味がなくなる。  特に、  輸出産業は、  操業を停止すれば、  顧客からの発注はなくなる。  なくなったら、  オーダーはもう戻ってこない。 

     つまり、  こうした輸出産業が直面しているのは、  操業再開するか否かではなくて、  生死存亡の問題だ。  そして、  輸出企業の上流には、  無数の原材料や部品を供給する企業があり、  それらも必然的に巻き添えとなって、  生死の問題に引きずり込まれかねない。  中共が必死で、  操業再開を促しているのは、  こうした状況の出現を恐れているのだ。 

     米・中防疫戦争以前は、  大多数の多国籍企業は「卵」を全部「中国」というバスケットの中に入れていた。  中国で卵を産ませ、  中国から卵を買って、  自国市場に供給していたのだ。  米国企業だけではなく、  欧州、  日本、  アジアの企業もこうやっていた。 

     しかし、  今回の米・中防疫戦争は、  深刻な教訓となった。  「卵」をすべて、  中国という一つのバスケットに入れておくのは、  あまりにも危険だ。  国家間の貿易摩擦という危険もあるが、  今回の疫病のような突発的事件のリスクは、  多国籍企業の正常な運営を破壊し、  大損害を与え、  破産の恐れすらあるのだ。 

     だから、  今回の疫病流行より以前、  去年の米・中防疫戦争の始まりで、  多くの多国籍企業はもともと「卵」を、  いくつかのバスケットに分散させ出していた。 

     つまり、  同一の産品を一箇所で製造する戦略から、  多国に分散生産する方向だ。  中国では、  今、  多くの輸出企業が正常に運営できない局面を迎えており、  こうした多国籍企業の発注が失われるスピードは加速するだろう。 

     新華社系の「経済参考報」は、  東莞市の商務局アナリストの雷慧明が、  企業の操業再開は、  全般的に遅れており、  企業の輸出への注文は、  ざっと10%か15%減っていると指摘する。 

     広州社情民意研究センターの「流行が地元民営企業に与える影響」によると「業務縮小」と「暫時生産停止」と答えた企業が21%と20%だった。 

     ウォール・ストリート・ジャーナルによると、  中国商務部は今週、  7千社以上の外資企業を調査した結果、  90%以上の企業で、  貨物輸送の遅れが生じており、  かなり多くの顧客から発注が取り消さたり、  納品を拒否されるリスクが生じている。  これから見れば、  少なくとも5分の1の輸出企業が苦境に陥っており、  今後、  さらにエスカレートする危険がある。 

     中国経済の全体の現状は、  企業動向の指標を総合観察することによって見られる。  この指標は、  製造業の調達担当者の自信のほどをあらわす指数(PMI;正常な状態だと50以上。  最低がゼロ)だ。 

     中国国家統計局の発表だと、  今年1月が50、  2月には35.7に下がっている。  これは、  専門家の楽観的予想をはるかに下回る。  指数の分類から見ると、  製造業の調達担当者の自信を表す5つの部分の平均が臨界点を下回っている。 

     その中でも、  新たなオーダーの指数が、  一番はっきり下がっている。  今年の1月から24%も下がった。  これは、  企業が生産の完全な回復と、  発注の確保に自信をなくしていることを表している。  残るは20ポイントしかなく、  どんな国の企業でも、  こんな状態は、  すべて経済の大不況の証拠だ。 

     中共は現在、  元の成長速度を回復しようと救助活動をやっているが、  これは、  ミッション・インポッシブルなのだ。  なぜなら、  2020年に起きた突発的な疫病流行は、  単に経済に「泣きっ面に蜂」だっただけではなく、  経済の推進力を失わしめ、  米・中経済摩擦という大きな背景の下では、  骨まで達する重傷となるからだ。  (終わり)

    原文は:程晓农: 复工何其难,经济春不归

     

    原文は:程晓农: 复工何其难,经济春不归

    中国 何清漣
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