★疫病用マスクは中国経済と外交の救世主?★ 2020年3月30日
by minya-takeuchi • March 30, 2020 • 日文文章 • 0 Comments
武漢肺炎の世界的流行でマスクなどの防疫用品が、 中国外交の「テコ」になっています。 ですから、 中国外務省のスポークスマン耿爽(こうそう)の「もし誰か中国がウイルスを産んだなどというのなら、 そんな奴は中国製マスクをするな。 防護服を着るな、 呼吸器を使うな」という発言になるのです。
これは、 ★中国の防疫物資独占が産んだ「マスク外交」( 2020年3月24日)で指摘しましたが、 世界に向かって、 「中国に友好的でないやつはマスクにありつけないぞ」という、 完全に中共専制統治下の「従わない者には、 食い物をやらない」の別バージョンです。
北京は、 何とか防疫の「机上の成果」を上げて、 症例をできるだけ早くゼロにして(再発者は計算に入れないで)、 真実の数字を隠蔽しています。 その目的は、 ただできるだけ早く就業、 操業を再開させ経済を復活させたいからです。
問題は、 新型コロナウイルスCOVID-19の流行が、 人類を全世界規模の病気にするという悲惨な運命共同体にしてしまったことです。 中国が就業、 操業を再開させても、 欧米からの大量の発注は、 もうなくなってしまいました。
しかし、 中国企業は、 突然、 グローバルな疫病の流行は、 防疫用品販売には大チャンスだ、 と発見しました。 中国政府は、 これを輸出の危機をチャンスに変えるものだとして、 「東がダメなら、 西がある、 南が暗けりゃ北がある」とばかり、 自分たちが、 短期間に全世界の防疫物資をほとんど独占しているぞ、 と得意満面で救世主のように振るまい出したのでした。
★疫病流行が中国経済の「地獄に仏」
COVID-19発生後、 多くの中国内の企業は自国の疫病流行用の防疫用品を作り始めました。 しかし、 中国を発生源とする流行は、 3月初めの68カ国から、 全世界200カ国に広まってしまいました。 国内企業の経営者は、 すでに流行の全プロセスを経験しています。
前半は中国で、 当時の影響は主に工場の納品期間の延期、 物流の不便さで商品が発送できなかったこと。 後半は、 全世界、 とりわけう米、 中国企業への需要低下で、 発注の現象が大難題になりました。 欧米諸国からの発注の減少は、 昨年同期に比べて6〜7割にもなり、 多くの企業がもたなかったのです。
しかし、 疫病の蔓延が加速するにつれて、 中国の起業家たちは、 全世界的にマスクなどの防疫製品が急を告げていることを発見しました。
イタリアでは、 10日間で10年分のマスクの備蓄を使い果たしてしまいました。 米国のN95マスクの店頭販売価格は、 5、 6倍にも値上がりして、 なお入手困難になりました。 フランスでは、 処方がなければ入手できず、 韓国では生年によって、 末尾の数字が奇数か偶数かで限定販売されました。
ドイツでは外国にマスクやゴーグル、 手袋や防護服といった医療物資を輸出するのが禁止されました。 こうした輸出禁止令は、 さらにロシア、 フランス、 韓国、 タイなどへも広がりました。 欧米や、 その他の国々からの、 これまでの各種の注文を失った後に、 転機が訪れたのでした。 防疫用品が企業にとって新たな道を切り開いたのです。
中国の天眼査専業公司の調査では、 2020年3月12ンチまでに、 中国のマスクと呼吸防護関連企業は38151社で、 去年の同期の16(^_^)/で、 2月以来、 6114社会増えました。 赤外線温度測定器関連企業は994社で、 2020年2月以来、 202社増え、 去年同期の50倍にもなりました。 多くのマスクなど防疫用品を作る上場医薬企業には相次いで、 海外からの発注が問い合わせが殺到し、 清華大学の遺伝子検査キットには、 30カ国以上からの注文がありました。
★世界の防疫用品の中国依存症はどうして起こった?
全世界の疫病流行が急を告げているのに、 防疫用品が全然間に合わないで不足をきたしたのには、 原因が三つあります。 一つは、 グローバル化ののち、 医療業界のローテクエンド製品と原料生産は、 すでに中国に定着したのです。 例えば、 中国製造のN95マスクは、 全世界の半数以上を占めますし、 COVID-19流行発生後、 全て中国政府に、 その流通を止められています。
二つには、 当時、 各国政府は全くCOVID-19ウイルスが最後には、 世界中で流行するなどとは思わず、 直ちに自国から中国を援助したのでした。 米国、 日本、 英国、 フランスなどの国々の中国系市民はみな大量の防疫用品を買い付け(米国企業からの大量贈り物も)ありました。
三つには、 中国政府が海外期間に全力で各国の防疫用品を急遽買い付けたのでした。 量的に言えば、 海外の華人の購入量はしれたもので、 騒ぎの方がおおきかったでしょう。
西側各国がオーストリアやハンガリー、 ドイツなど次々に中国に防疫用品を買い付けました。 ワシントン・ポスト紙によると、 スペインの衛生大臣は、 中国から4.32億ユーロの医療物資を、 国内の新型コロナ爆発流行に対応するために買い付けました。 5.5億個のマスク、 550万個の核酸検査装置、 950台の呼吸器、 1100の手袋が含まれているとのことです。
そして、 中国政府は「救世主」になったという気持ちが突然膨れ上がったのか、 「マスク」などの防疫用品が、 疫病流行外交を助けるテコの働きをすると気がついて、 3月20日の中国外務省のスポークスマン耿爽の発言になったのです。
:「中国は防疫と医療物資の生産と輸出の大国である。 現在、 流行は世界に蔓延しており、 多くの国家が皆、 マスク、 防護服、 呼吸器などの防疫物資欠乏に直面しており、 中国の援助や中国からの購買を望んでいる。 もし中国製造のウイルスだとか言うなら、 そんな話をするやつは、 中国製のマスクをするな。 防護服を来るな。 中国から呼吸器を輸出してほしいなど望むな」と。
これについては、 ★中国の防疫物資独占が産んだ「マスク外交」( 2020年3月24日)で書きました。 これは、 世界に向かって「中国に友好的でない国は、 マスクは手に入らない」と宣言したのと同じで、 完全に中共独裁政治統治下の「服従しないやつは、 食えなくしてやる」の別バージョンです。 中共が全世界の防疫用品を握っており、 こうした策謀を持っている今、 世界は防疫が焦眉の急ですから、 中共とあれこれ言い合ってる暇はありません。
★「マスク外交」はマイナスに働く
世界の各国が疫病流行に直面している時、 本当ならば、 ウイルスを輸出してしまった中国政府は、 頭を冷静にして、 自国が防疫物資を独占している「有利さ」を用いて、 他国を助けてイメージを修正すべきだったのです。 しかし、 頭に血が上って、 バランス感覚と方向性を失ってしまった北京は、 三つの方面ではなはだしい利己的な計算違いをやらかしてしまいました。
その一:大急ぎで生産した各種の防疫用品の質的問題。 もともと芳しくない「メイド・イン・チャイナ」がさらに不評に。
最も早く中国から防疫物資を買い付けたスペイン、 チェコは相次いで、 中国の測定キットの精度が悪すぎると発表しました。
スペインの「エル・パイス」紙は3月26日、 同国の主要な病院では、 最近中国から購入した新型コロナウイルスの迅速簡易検査キットの精度が低すぎると言いました。 報道ではテストした関係者の話として「予期した検出精度がまったくなかった。 標準で80%と言われるのが、 わずか30%しかなかった」と言いました。 スペインの緊急衛生担当ん責任者フェルナンド・サイモンは、 スペイン政府は34万個購入し、 9000個の抽出検査を行ったが、 検査結果が不安定だったので、 返品することを明らかにしました。
同様の問題はチェコスロバキアでも発生しており、 ニュースサイトiROZHLASは以前、 中国から購入したウイルス迅速検査キットの80%が規格外の製品であったと報告しました。 3月28日には、 オランダのメディアNOSが、 中国からの60万個のマスクが、 防護機能がなかったと伝えました。
その二:中国政府の「寄付」は、 実は販売だった。
中国は、 世界の疫病流行事情にビジネスチャンスをつかんだのですが、 それだけでも厚かましい限りです。 しかし、 中国の宣伝機関は、 それどころか各国の購入を「援助」だと言い張りました。 中国の防疫用品の質の問題が爆発する前に、 多くの外国メディアは、 中国政府メディアの「援助」なるものに疑いを抱いていました。
例えば、 中国政府のイタリア、 日本、 フランス、 欧州連合への「援助」だとの主張は、 ほとんどが買い取りであって、 少しだけは、 これらの国々からもらった援助へのお返しでした。 中国がEUのフランスに100万個のマスクなどの医療援助を行った件では、 EUとフランスは中国に感謝する際に、 特にこれはお返しであって礼儀上のやりとりだと強調しました。 今年2月に中国の疫病流行がひどかった時期に、 フランスとEUは、 それに相当する物資を送っていたのです。
その三;流行史を書き換え、 世界に中国に感謝を求めて、 中国共産党は中国の恥知らずを露呈した。
中国での流行、 流行の隠蔽、 WHO事務局長テドロスの買収、 PHIEC宣言の遅延行為とパンデミック、 そして最後に世界的な惨劇。 世界はこれをすべて容認していたが、 中国政府は「一寸貰えば一尺進め」です。
流行の広がりの歴史を書き換えようとしただけでなく、 海外のソーシャルメディアに「五毛水軍」を出動させて、 「武漢肺炎」と呼ばないように強制しようとしました。 そして、 外務省の趙立堅に、 ウイルスは米国軍人が持ち込んだものだと言わせて、 さらに国内では、 イタリアのウイルス専門家のジュゼッペ・レムッツィの、 発言の一部だけを取り出し、 「ウイルスはイタリア製」だと言いました。 これはさすがにイタリアの反発を買いました。 米国は、 これに対して「中国ウイルス」と呼び、 イタリアのウイルス専門家は、 中国のデマを「教科書に書かれてるようなプロパガンダだ」と言いました。
武漢市が封鎖される前に出国した6万人以上が世界40カ国以上、 数百都市にウイルスを持ち込み、 世界を疫病の恐怖に引きずり込み、 世界経済を停滞させた中国は世界に謝罪の義務があります。
しかし、 中国共産党の「喉舌」である新華社通信は3月4日、 「正義にたって、 世界は中国に感謝すべき」をリツイートの形で掲載し、 中国がいかに底なしの恥知らずぶりを世界に示しました。
今回、 世界的な伝染病予防物質の宝庫が作り出した短期的な独占的地位をテコにして、 経済的・外交的利益を詮索しようとする中国の試みは、 中国政府の恥知らずな愚かさと功を焦ったために、 ほぼ完全に打ち消しになってしまいました。
ドイツの国際放送事業体「ドイチェ・ヴェレ」は3月24日、 「欧州各国が中国の医療品を輸入しているのは、 誰が誰を “カバー “?か」という記事を掲載した。 中国が主張する援助が実際には各国が購入したものであることを各国が明らかにしていることを指摘。 中国側のデータを引用して、 大量の中国企業が防疫用品生産に転向した時、 一部の報道の華麗な文字の下に、 中国のマスクの生産過剰だという事実を明らかにしました。
財経3月23日号には「100万人がマスク生産に参入。 流行後はどうなる?」で、 マスクの生産量が、 故意に低く発表され、 生産過剰であり、 もしタイミングよく輸出しなければ、 「全面的な崩壊」に直面すると書いています。 防疫用品を経済のテコにするのは、 ほんのいっ時の利益でしかありません。
疫病予防用品を外交的テコとして利用することは、 中国政府が自らを描いた画餅に等しいのです。
ワシントンの国務省本部で開かれたG7外相のテレビ会議後の記者会見で、 7人の外相が一部の「権威主義国」がもたらす脅威についてかなりの時間をかけて議論したと発表しています。 ポンペオ米国務長官は、 遠慮なしに「中国共産党は我々の健康と生活に深刻な脅威を与えている」と言いました。
これは、 西側各国は、 中国がCOVID-19が、 全世界を人類の運命共同体に変えてしまった後、 中国のグローバル化における役割とは何かを見直すことに繋がることを意味しています。 (おわり)
原文は:防疫物资成中国经济与外交新杠杆?https://www.epochtimes.com/gb/20/3/26/n11978324.htm
これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら。
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