• 程暁農★ 武漢ウイルスが世界を変えている 2020年3月30日

    by  • March 30, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     武漢肺炎の流行が始まり、  わずか2カ月余りで世界中に広がった。  多くの国が作業停止や自宅隔離などの予防措置を講じ、  一気に世界経済が麻痺したかのように見える。  第2次世界大戦以来、  地球上には多くの戦争や疫病があったが、  これほど悲惨な結末を迎え、  全世界が不安と無知の状態に陥ったことはなかった。  この世界的な流行の中から、  経済のグローバル化に直結する非常に深い教訓を見出すことができる。 

     ★「友あり、  天から降ってきた」

     第1次世界大戦中にも疫病の流行はあったが、  当時は地上でしか流行らず、  海外に行くにしても海や船に、  長い間乗っていなければならなかったので、  疫病の拡散は緩慢だった。  それが、  今や国際化により、  ウイルスは自力ではできなかったことが可能になり、  十数時間のうちにボーイング機に乗って、  広大な太平洋を飛び交い、  北米大陸に上陸し、  あっという間に世界は「武漢」になってしまった。 

     今回の発生は中国のSARS以来2回目だ。  なぜSARSは世界的に深刻な影響を与えなかったのに、  今回はあっという間に各国に感染してしまったのか? 鍵を握るのは、  海外旅行が当たり前のことになったからだ。 

     SARSの時代は、  中国人の出国はあったものの、  先進国からのビザの取得が容易ではなく、  長期観光ビザもなかったため、  出国する人は少なかった。  流行地から直接、  欧米諸国に逃げる人はさらに少なく、  基本的にSARSは世界的な惨劇にはならなかった。 

     中国のSARSと同様に、  アフリカでもエボラ熱が流行したが、  これも何年も長引いているにもかかわらず、  大部分がアフリカ大陸に限定されたままだ。  エボラ熱がアジア、  ヨーロッパ、  アメリカ大陸に広く蔓延していないのは、  アフリカが先進国からの旅行者の主な渡航先ではなく、  アフリカ人がボーイング機で世界中を旅する余裕がないことが主な理由だ。 

     このように、  流行が世界を麻痺させている前提条件は、  流行の最初の発生国が海外旅行者の多い地域であること。  あらゆる手段を駆使して国際線を利用してウイルスが世界中に拡散すること。  そしてもちろん、  現在、  中国が経験しているように、  簡単に「輸出逆流、”国内販売”に」なることもだ。 

      流行の国際的な広がりという点では、  ウイルス自体の感染力自体は二の次だ。  ウイルス感染者の海外渡航のしやすさが第一の要因なのだ。  戦争とは異なり、  伝染病は、  前線と後方を明確に区別することができない。  危険なのは前線で、  後方が概ね安全で経済社会活動が麻痺しないということはない。  前方も後方も敵がどこにいるのかもわからない状態で、  防衛手段を講じようにも、  見えない前方と見えない敵に直面する。 

     地球は十分に広いのだが、  見えない敵にとって地球村は実はとても狭い。  海の向こうの大陸で伝染病が発生すると、  国際便ですぐに送り届けられ、  目が覚めると、  隣人や近所が突然「敵の収容所の中」になったりする。  論語では、  「友あり、  遠方より来る また楽しからずや」という。  しかし今日では、  どの国も防ぐことのできない疫病という「友」がいつでも空から降ってくるのだ。 

    ★地の果でも隣人同様?

     中国が経済のグローバル化の列車に乗車して以来、  輸出が大幅に増加しただけでなく、  富裕層と中産階級家族の富が増加した。  より多くの人々が海外で勉強したり、  働いたりしている。 

     多くの富裕層と役人の親戚が国際化しており、  外国パスポート、  グリーンカード、  海外での不動産購入を持っていて、  海外に行くためのビザを必要としなくなった。  同時に、  国際観光も人気が高まり、  中国の国際観光客は多くの国に歓迎され、  観光ビザもきわめて便利になった。  経済のグローバリゼーションの産物であるこうした国際旅行が容易になったことで、  伝染病が「地球の果ても、  ご近所同様」になっていたのだが、  世界はほとんど考えが至らないままだった。 

     中国国際航空経由で出国する人は、  2020年1月に約70万人に達した。  中国民用航空局が発表したデータによると、  2019年12月30日から2020年1月20日までの間、  都市閉鎖前のわずか3週間前に武漢天河空港の海外便の座席数から、  11万5000人の乗客が武漢から他の国や地域に直接飛んだことがわかる。 

     また、  同期間中に80万人の乗客が国内線で武漢を出発したこと、  数万人の乗客が他の空港から国際線に乗り換えた可能性があることなどが明らかになった。  合計すると全国の1月の出国者の5分の1ぐらいになる。 

     一つの都市からの出国者が全国の5分の1をしめるのは明らかに変だ。  この3週間で武漢の人口のほぼ1%が出国してたわけで、  これほど多くの旅行者の出国となると、  その多くが疫病を避けるためにの緊急旅行だったことがうかがえる。 

     このうち、  武漢からアメリカへの国際線直行便は少なく、  サンフランシスコ行きが2,925人、  ニューヨーク行きが2,484人となっており、  多くの武漢の乗客の多くは、  他の空港から乗り継いで渡米したとみられる。 

      伝染病の流行地域から各国に飛んできたこの数十万人の旅行者は、  伝染病の世界的な広がりを大きく加速させた。  その結果、  第2次世界大戦後には見られなかった「一都市不健康、  世界大パニック」の状況の中で、  目に見えない敵は、  急速にいくつかの大陸に追いかけていったわけだ。 

     問題はそれだけに留まらない。  ちょっと前までは、  中国は自国の状況を気にし、  海外では中国から出国する中国人の健康を警戒してた。  それが、  今では中国政府は、  ヨーロッパからの帰国しようとする10万人の中国人を心配している。  ヨーロッパでの流行は、  中国の新たな隠れた問題だ。  ニューヨークでの流行が悪化する中、  ニューヨークから中国行きの中国国際航空のフライトも、  警戒されるようになるだろう。 

    ★国際的機関の時代?

     グローバリゼーションの時代は、  国境を超えた経済活動の広範な拡大が各国政府の役割を弱め、  国際機関の規制の役割が大幅に増大という新認識の出現させた。  その結果、  世界各国は国際機関への敬意を示すようになった。  中国国内では、  国際機関こそがグローバル化時代の地球上の「超政府」であり、  その高貴な地位と巨大な役割を担っていると考える人もいる。 

     しかし、  今回の流行病に直接関与している国際機関は世界保健機関(WHO)だが、  流行病のグローバル化により、  大きな欠点が露呈した。  WHOは、  反応が鈍かっただけでなく、  中国共産党の隠蔽工作にも手を貸し、  結果として、  すべての国で流行病制圧の動きを遅らせてしまった。 

     ロイター通信によると、  2020年1月14日、  WHOは新型コロナウイルス(中共ウイルス)について、  ヒトからヒトへの感染が「すでに」限定的であることを確認した。  その後、  ヒトからヒトへの感染が「おそらく」限定的であると報告書を修正した。 

     ;WHOはその後、  メールによるメディアの問い合わせに対し、  SNS上でも、  中国政府の調査によると、  ヒトからヒトへの感染の明確な証拠が見つからなかったので、  人から人感染の証拠はないと表明した。 

     中国は、  今回のウイルス発生後、  WHOの調査派遣の提案に対しても、  拒絶した。  明らかに中共は、  流行状況の悪辣な行跡を隠蔽する方を優先して、  全世界が防疫に取り組むのを誤導させたのだった。  にもかかわらず、  WHOは中国共産党を無条件に「信頼」し、  その隠蔽報告を受動的に「放送」することを選択し、  世界的な流行のタイムリーな予防に重大な誤解を与えたのだ。 

     中共が武漢を封鎖し始めると、  WHOは流行病の評価を変えた。  AFP通信によると、  1月26日深夜に発表された新型コロナウイルスの発生に関するWHO報告書では、  “中国は発生の非常に高いリスクに直面しており、  リスクのレベルは地域的にも世界的にも高い “としている。  WHOは報告書の脚注で、  1月23日、  24日、  25日に発行されたWHO報告書が、  発生リスクを「中程度」と表現していたのは誤りだったと述べている。  しかし、  メディアからさらに追求されると、  WHOのスポークスウーマンであるファデラ・チャイブ氏は、  「用語上の間違い」であると軽々しく述べた。 

     つまり、  このような国際的な組織にとっては、  責任追求システムもまいし、  全世界を誤導しても、  その組織とその事務局長は、  なんの責任も負わない。  間違えても罰則がないというのは、  こうした国際組織の最大の欠陥である。 

     最初にWHOを批判したのはオランダだった。  オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は、  オランダの感染症予防の専門機関で、  同国の伝染病予防の重要なアドバイザーでもある。 

      感染症対策センターのヤープ・ファン・ディッセルセンター長は、  3月22日、  オランダのインターネットニュースNu.nlとのインタビューで、  「中共やWHOの情報を鵜呑みにしているため、  欧州諸国が最も被害を受けた」と述べたとGrand Epoch Timesが報じた。 

     オランダでは、  当時のWHOの基本的な立場であったドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国と同じ立場をとっている。  “オランダの疫学部門は、  国民の説明責任に直面して、  「罪の鍋」をWHOにかぶせようとしている。 

    ★世界経済の分断化の現状

     中国を含む世界のすべての国にとって、  この世界経済活動の「振り子の停止」は、  自然災害の衝撃にも似た突発的災害である。  しかし、  自然災害の影響は、  経済衰退が経済を破壊する不可抗力である。  これに対し、  伝染病の経済への影響は、  自己防衛のために従来の経済活動の運用を制限しようとするものだ。  人類主導による経済の衰退であるという点で、  異なるものである。 

     比喩的に言えば、  人間が経済活動の「電源スイッチ」を一時的に閉じて、  お互いに伝染しないようにし、  危険がないことが確認されるまで待ってから「スイッチを開く」ことだ。  「電源システム」が停止するのと「電気の供給」が停止するのとは違う。  現在、  各国の経済は、  経済そのものに大きな「事故」が起きたのではなく、  すべての国が一時的に「スイッチを切った」ために、  さまざまな程度の半停滞状態に陥っている。 

     しかし、  世界経済の「スイッチ切断」が行われた後、  この30年で長年グローバル化が進んでいた世界の主要国の経済活動は、  突如として「バラバラに分断」されてしまった。  一国での伝染病は人類の歴史上では、  よく見られることだが、  いかなる国でも、  伝染病が世界経済にこれほど劇的な影響を与えたことはなかった。 

     現在の世界的な不穏な情勢は、  主に健康問題による経済的ショックだ。  しかし、  一方でグローバリゼーションはこの惨劇の世界的な広がりをかなり悪化させている。  欧米諸国では、  生活の中でつかみどころのない不確かな現実を経験したことがない人が多い。  慣れ親しんだ生活や仕事の仕方が突然途切れ、  何をしたらいいのか、  どう調整したらいいのかわからない状態だ。  しかし、  今の不安は仕事や学業、  家庭の事故隔離期間の維持など、  まだ浅いものだ。 

     もっと気になるのは、  多くの人がまだ十分に認識していない根深い不安だ。  世の中が変わってしまったこと、  今の不確定性が、  新しいパターンで徐々に現れてくるのではないかと気づかされる日もそう遠くはないだろう。 

     例えば、  「世界の工場」の中には注文が間に合わない会社があったり、  先進国の企業の中には、  特定の商品を供給している会社の在庫がほとんど空っぽになっていることに気がついたりする。  国際旅行が見直されていたり、  飛行機に乗ったら何も問題ないように見えて、  飛行機を降りたら入国禁止になっていたする。  国際旅行を生活や仕事の一部にしている個人や企業、  非政府組織にとっては、  かつて住んでいた世界は、  もはやつながっておらず、  多くの国では、  すべての国際旅行者が歓迎されざる人々になってしまっている。 

    ★グローバルリセットが始まった

     この根深い不安は、  国際社会にどのような変化がこれから来るのか、  その原因や、  評価方法はおろか、  国際社会にどのような変化が起こるのかすら、  わからないことを意味している。 

     確かに、  今回の世界的な経済の「スイッチ切断」は、  経済のグローバル化の弊害をより完全な形で示した初めての事例である。  これらの負の効果は、  経済のグローバリゼーションが経済運営の完全な多国籍間システムではなく、  多くの欠点を持っていることを示した。 

     第一に、  中国を含む多くの国が、  自国経済への影響を恐れて関税障壁の撤廃を敢行していないため、  疫病の悪化につながり、  疫病が悪化するまで手遅れだったこと、 

     第二に、  旅行の自由化は経済のグローバル化の副産物であり、  一国の疫病を世界的な疫病に変えてしまったこと。 

     第三に、  経済のグローバル化の焦点となっている国の経済的停滞は、  多くの国々の経済に衝撃を与えることである。 

     以上の教訓は、  まず第一に、  中国を含む経済のグローバル化に参加した欧米などの諸国は、  これまで、  基本的に自国の制度や行政運営を先進国と同様のものと見なしいたが、  リスク回避の意識がなかったこと。  今回の事件を受けて、  多国籍企業や金融界は、  同様の危機の再来を防ぐために、  ビジネスモデルの再調整を余儀なくされている。 

    第二に、  SARSバージョン1.0以降、  このSARSバージョン2.0があり、  ついに世界経済に大きな衝撃を与え、  今後中国でSARSバージョン3.0やバージョンNが発生しないという保証はない。 

    第三に、  いわゆる「防波堤」としては、  産業のグローバル化は、  単一の大国に依存することを避けなければならないという事だ。  これまでの経済グローバル化は、  すでに一国から多国化に向かってはいたが、  今回の「スイッチ切断」ことによって、  産業チェーンの再配置は加速されるだろう。 

     第四に、  多国籍企業の海外事業は、  テレコミュニケーションにもっと頼らなければならない。  不必要な国際旅行を減らすために、  少なくとも一定期間は、  中国への頻繁な出張は、  ビジネスマンのための最良の選択肢ではない。  多国籍企業が、  中国での工場検査や製品検査などの現場作業に過度に依存し、  遠隔通信で供給問題を解決できない場合は、  将来的にそうした工場の利用を減らすことを検討するかもしれない。 

     かつて中国は経済グローバル化の旨味しか考えておらず、  それがもたらす痛みについてはほとんど考えていなかった。  そうすると、  少なくとも次のことが予想できる。 

     第一に、  特に中国からの予期せぬショックに対して、  多国籍企業や金融界のリスク対策意識が大きく高まり始めている。 

     第二に、  多国籍企業は、  「一本足」から「二本足」、  あるいは「多本足」、  つまり「卵を別のカゴに入れる」ことに徐々に移行している。  米中貿易戦争の前に、  多国籍企業の多くは、  中国の “カゴ “に “卵 “を入れて、  中国では “卵を作り “、  中国から “卵を買って “国内市場を供給していた。  アメリカの企業だけでなく、  ヨーロッパ、  日本、  アジアの企業もそうだった。  今回の深い教訓を経験した今、  彼らは同じ製品を一度の注文で複数の国で生産するビジネス戦略を変えなければならない。  中国の輸出企業の多くが機能不全に陥っている現在の状況は、  これらの受注移転速度を加速させるだろう。 

    第三に、  経済のグローバル化の再構築については、  これまで多国籍企業は、  米・中経済貿易交渉で関税変更だけに目を向けていた。  ひょっとすると、  まだ良くなるのでは、  という僥倖を期待して躊躇していたのかもしれない。  しかし、  今や、  サプライチェーンの再構築は長期計画の中に組み込んで、  段階的に実施されるべきである。  これまで多国籍企業の間では「世界の工場」を誰がより多く活用するかで競争していた。  しかし、  今後は「世界の工場」への依存度を下げ、  製品供給源の多様化と低リスク供給を確保するかで競争するようになるかもしれない。 

     このように考えると、  「世界工場」の全盛期は、  一度下がると再び上がれなくなる、  下り坂の始まりかもしれない。  何年か後に多国籍企業が各国に設置しなおした工場が正常に稼働したするようになったら、  「世界工場」は「世界各国の部品工場」になるか、  「世界の空工場」になってしまうかもしれない。 

     この方面の話は、  北京の態度を見るより、  各多国籍企業の運営の実情を見た方がよろしい。  彼らこそ本当の「ボス」なのだから。 

     中国が経済グローバル化に加盟してからこれまでの、  最大の経験と教訓とは、  経済グローバリズムは一国が独占できるものではなく、  ましてや、  「世界の工場」は各多国籍企業の生死を制する「武道の奥義書」などではないということだ。 

     中国経済は、  経済のグローバリズムによって大きくなったが、  その衰微もまたグローバリズムのせいなのだ。  なぜなら、  経済のグローバリズムによって中国は経済繁栄を謳歌できたが、  その経済グローバリズムによって、  中国経済は再び、  筋骨がガタガタになる時代を迎えているのだから。 

     経済グローバリズムは、  もともと、  全世界の供給チェーンを一っこくかするべきではなく、  グローバルな供給チェーンが一国化に近ずいた日は、  その繁栄に別れを告げる日なのだ。 

     10年後に、  経済グローバリズムを見れば、  「一つの暗い村を通り過ぎて、  また明るい村が一つ見えた」ということになるだろう。  (終わり)

    程晓农:疫情正在改变世界

    中国 何清漣
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    これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら。過去のものはウィンドウズやMacのサファリでは、句読点が中央配置になります。Macのchromeがおすすめです。なお、「拙速」でやってますので誤字、脱字ご勘弁。(電子本の方は校閲して直してあります。多分w) なお、お気付きの点がございましたらお知らせください。ツイッター → @Minya_J。

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