• 程暁農★米・中ミッドウェーの海上対決の意味 2020年4月10日

    by  • April 14, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     今年3月上旬、  米空母ルーズベルトがベトナムのダナン港を訪れ、  乗組員の一部が休暇中に上陸後、  新型コロナウイルスに感染した。  同艦は現在、  グアムの米海軍基地で、  原子炉の整備を行う一部の者を除き、  将校や隊員のほとんどが空母から一時的に避難している。  空母ルーズベルトが不運だったのは事実だが、  国際社会が艦の伝染病よりも気にしなければならないのは、  ルーズベルトの不運の原因が奈辺にあったかである。 

     中国海軍の艦隊は今年2月、  本土から7千㎞離れた米海軍・航空基地のミッドウェー島付近で、  中国空軍やロケット軍、  戦略支援部隊などとの合同演習を実施し、  真珠湾に迫り、  米国との戦闘対決姿勢を見せつけた。 

     米海軍は第3艦隊の空母編隊USSルーズベルトをアメリカ西海岸からミッドウェー海域に緊急出動させた。  米海軍が自らの支配下にある中核の水域で、  中国艦隊と対峙するのは初めてであり、  これは太平洋戦争後70年以上経て初めての情勢であった。 

     中国海軍は、  南シナ海の公海上の岩礁や島々を占拠し、  米国の戦略的原子力潜水艦に対抗するための「要塞海域」を建設している。  これに関連して、  中国共産党が最近、  米国に対して戦略的な対決姿勢を打ち出しており、  米軍は戦略的防衛姿勢をとっていることは明らかである。 

     ★ルーズベルト号の不運な運命

     今年3月上旬、  ベトナムのダナンを訪れた空母ルーズベルトが、  少数の乗組員が休暇中に上陸した際に新コロナウイルスに感染した。  3月末、  艦長はメールで大多数の乗組員を空母から下船させ、  隔離するように求めたが、  このメールが翌日、  漏洩した。 

     サンフランシスコ・クロニクル紙によると、  このため艦長が、  海軍長官代行によって解任された。  同艦は現在、  グアムの米海軍基地にあって、  原子炉の保守作業を行う一部の者を除き、  将校や隊員のほとんどが、  艦内での伝染病の蔓延を避けるため、  空母から一時的に避難しているという。  数日前には、  その海軍長官代行も辞職した。 

     この問題は、  本来は、  伝染病流行の話だった。  しかし、  4月8日、  中共の対外プロパガンダ公式メディア “多次元ニュースネットワーク “は “南シナ海の伝染病:米国 のムキムキ筋肉、  空母なしに」と題するニュースを報道。  大喜びで、  米国に「ざまみろ」という嘲笑を浴びせかけた。  米・中の南シナ海における勢力は逆転不能、  「キン肉不在の潜在的代償、  米国はどれだけ我慢できる?」と言った言葉に満ちていた。 

     空母ルーズベルトの不運は事実だが、  国際社会が空母の伝染病よりも気にしなければならないのは、  ルーズベルトの不運の原因が何であったかということである。 

     空母ルーズベルトのベトナム訪問の前には、  ミッドウェー海域での中国海軍艦隊との対決があった。  空母ルーズベルトの太平洋横断ベトナム訪問は、  「筋肉ムキムキ」を見せにきた中国海軍に、  米国の強さを示すためにミッドウェーの米軍基地の海域に行くという任務に過ぎなかった。 

     昨年末に公開されたアメリカの大ヒット作「ミッドウェー海戦」で一躍脚光を浴びたミッドウェー海だが、  最近になってまたもや”戦い”が起きていることは、  考えさせられる。  今回の相手は、  今度は70年以上前に海底に沈んだ日本海軍の連合艦隊ではなく、  中国共産党の南シナ海艦隊である。 

     ★中国軍側の多種艦船によるミッドウェー島演習

     今年2月22日、  多維ニュースネットは「中国の艦隊がデリケートな海に進出」と題して、  「今週、  中国の軍事メディアは、  本土から7千キロ離れた太平洋の奥深くで戦闘態勢をとっている同国の南方戦区海軍の新鋭艦隊の軍事作戦を集中報道し…艦隊はアメリカのミッドウェー島の南500キロから日付変更線を通ってハワイに迫った」「 地図からもわかるように、  第2次世界大戦で日本海軍を撃破したアメリカが支配する核心水域であるハワイ、  ミッドウェー、  グアムの間の太平洋には現在、  中国海軍の新鋭戦艦5隻が存在しており、  第三島列島の要衝であるハワイはアメリカ本土への最後の関門となっている。  今までのところ、  戦う姿勢でここまで踏み込んできた国はまずない」と報じた。 

     2月21日の多維ニュースネットの演習報告書では、  「ここから巡航ミサイルが発射されれば、  ハワイを直接脅かすことができる」と明言している。 

     2月19日の「解放軍報」特約記者は、  「中国軍ネット」に「波濤、  精鋭を研ぎ鍛え、  太平洋に軍歌飛ぶ」と題して、  今回の演習の参加範囲を、  はっきりさせた。 

     これは、  海軍の演習というだけでなく、  空軍、  ロケット軍、  戦略支援部隊など、  多くの軍による高度な融合による演習であり、  今回の遠海における連合訓練の重点は、  未来の情報化にされた海戦の問題点に焦点を合わせたものだ」だった。 

     この発言から、  多くの重要な情報が明らかになった。  中共空軍には、  海軍と協力して長距離海上作戦を行うことができる航続距離8千km の長距離爆撃機は、  空軍の 轟6N と海軍の 轟6J の 2種類しかない。  その攻撃手段は搭載する中距離巡航ミサイルだ。 

     一方、  ロケット軍の攻撃手段は核弾頭を搭載可能な陸上型大陸間ミサイルだ。  このタイプの大陸間ミサイルは地上の固定目標を攻撃する場合には海軍との協力は不要だ。  しかし、  米国の会場機動空母艦隊を攻撃する場合には、  長距離ミサイルの航法に、  海軍の艦載機の協力が必要なのだ。 

     2 月21日の多維ニュースネットの報道は、  電子偵察船「天主星」(815A)の演習を具体的に取り上げ、  「815A は中国で最も秘密の電子偵察船であり、  敵の電磁信号を収集し、  情報を得るための様々な電子機器を装備している」と紹介した。  海軍の上層部以外には知る権限がないほどの高レベルの艦」とのことだ。 

     この記事で開示された情報から、  注目すべき点は3点である。  第1に、  これは海軍の個別の演習ではなく、  空軍、  ロケット軍、  戦略支援軍など複数の軍団との 深く統合された共同演習であり、  海軍の艦船には空軍、  ロケット軍、  戦略支援軍の参加者が乗っているとみられること。 

     第 2 に、  攻撃目標は米海軍の空母部隊である可能性が高いこと、  第 3 に、  将来の米軍との海戦において電子戦の優位性をいかに維持するかに焦点を当てた演習であることである。 

      どうやら、  米海軍太平洋艦隊との戦いを想定して計画された明確な戦闘態勢を持つこの準備運動には、  米海軍に対抗できる中共軍の各支部が動員されて参加していたようだ。 

      この演習を通じて、  中共の意図は、  米国が戦略的な防御姿勢をとるのに対し、  中共は戦略的な攻撃姿勢を展開することにある。 

     ★両国艦隊はミッドウェー海域で対峙

     アメリカは太平洋に二つの艦隊を持っている。  第三艦隊の基地は、  カリフォルニア州サンディエゴ、  第七艦隊は、  東京湾の横須賀に基地を置いている。  両艦隊の管轄海域の境界線はミッドウェー島付近の国際日付変更線で、  第三艦隊が東に、  第七艦隊が西に接している。 

     第2次世界大戦末期以来初めて、  米海軍はミッドウェー海域で外国艦艇を相手に戦闘準備作戦に対応した。  海南省の三亜湾から時速25海里の平均巡航速度でミッドウェー海域に到達するにはフリゲートに燃料を補給するために途中で何度か減速するので、  1週間かそこらかかると推定される。 

      米海軍は、  バシー海峡(台湾とフィリピンの間の海峡)を通過して中部太平洋海域に進撃する中国艦隊を衛星で発見したため、  第三艦隊の一つである空母ルーズベルトは、  米西海岸から緊急動員され、  2月初旬にミッドウェー海域に到着した。  ルーズベルトの出撃は、  両海軍が母港から対峙した後、  中国の沖ではなく、  ミッドウェーの米軍基地、  米海軍が管理する核心海域で対峙した史上初の出来事であった。 

     なぜアメリカは、  近くの横須賀にある第7艦隊からは空母部隊を派遣せずに、  カリフォルニアのように遠くの第3艦隊からは空母部隊を派遣したのか? その理由は、  横須賀に配備されている空母レーガンが整備中で5月頃までは出撃できないこと、  ルーズベルトは現在、  太平洋全域で軍事的な緊急事態に、  タイムリーに対応できる唯一の米海軍の海上打撃部隊であることなどが挙げられる。 

     中共は、  空母レーガンが配備できず、  西太平洋・中部太平洋における米海軍にとっては「空母空白期」であることを知っていた。  米艦隊がミッドウェーに迫る中国艦隊に反応して、  空母ルーズベルトを出撃させることも予想していたので、  中国は一方では空母ルーズベルトの動きを注視し、  他方では空母ルーズベルトが到着しても、  すぐに撤退するつもりはなかった。 

     中共軍は2月9日、  空母ルーズベルトが1月17日に出港し、  国際日付変更線を越えて米第7艦隊の管轄海域に入ったことを国内メディアを通じて報じた。  出港前にミッドウェー海域で米空母隊との対峙を覚悟していたか、  対峙することが中国海軍の目的の一つであったことを示唆している。 

     太平洋戦争中の1939年、  日本の連合艦隊による真珠湾攻撃に先立ち、  給油艦「石廊」に、  通信と暗号解読の専門家を乗せ、  真珠湾周辺の米海軍からの暗号通信を傍受したことがあった。  が、  この諜報活動は商業船で行われ、  あからさまな電子スパイ船ではなく、  戦闘艦隊とのおおっぴらな調整もなく行われていた。 

     中共海軍の今回の作戦は、  日本の連合艦隊の諜報活動に比べてはるかに大胆であっただけでなく、  挑戦的な意思を明確に示したものだった。  米国の防衛水域とミッドウェーの哨戒区域内で公然と何の隠蔽もなく行われ、  その後も繰り返し公に報道された中共の多国間軍事演習のデモンストレーションであった。 

     これに対して、  米海軍高官はこのほど、  米軍はアジア太平洋地域の潜在的なライバルに弱いと思わせることなく行動し、  敵が米軍の戦力を誤って判断させないようにしたい、  と述べた。 

     ★南シナ海の国際公海は、  すでに中国海軍の「要塞海域」

     数年前から始まった南シナ海の岩礁に中共海軍が人工的に作った島々の目的は一体何なのか?

     今年3月4日、  多維ニュースネットは「南シナ海「要塞海域」の中国戦略原潜解読、  中米水面下競争沈黙」と題した記事を掲載し、  ついに謎を解き明かした。 

     その答えは、  中国共産党は南シナ海の公海を中国の内海にして、  アメリカと戦うための戦略原潜の安全な基地を作ろうとしているということだ。  公式メディアは、  米・中の南シナ海決戦の鍵は、  水面ではなく水面下にあると指摘している。 

     この報道によると、  中国はかつて大陸間弾道ミサイル原子力潜水艦を北海艦隊に配備していたが、  渤海では平均水深21メートル、  黄海では44メートル、  排気量6〜7キロトン、  数万トンの弾道ミサイル原子力潜水艦は隠れることができず、  容易に発見された。 

     このため、  戦略原子力潜水艦の物流拠点として三亜軍港に第2潜水艦基地を設置し、  そこから面積350万平方キロメートル、  海底の窪地の水深3400〜3600メートルの南シナ海に潜って、  この広大な海域を弾道ミサイル原子力潜水艦などの大型潜水艦の活動範囲年、  弾道ミサイル原潜の発射場に変えることができた。 

      特に公式メディアは、  南シナ海の埋め立てにより、  南シナ海盆地に対する海軍の支配力が大々的に強化された、  と強調している。 

     政府公式メディアが提供する情報によると、  中国海軍は南シナ海の7つの岩礁の上に総面積13平方キロメートルの人工島のを作成し、  領土と宣言し、  徐々に軍事基地化した。  今、  海軍は南シナ海の海域に構築された潜水艦ソナーを使用するようになった。  いくつかの飛行場は、  海を埋め立てた後に構築されている、  軍用機の戦闘半径は、  南シナ海全体をカバーしています。 

     こうして、  空中の新型対潜水艦偵察機、  水中のソナーと潜水艦、  水面の通常型駆逐艦と対潜水艦能力を持つ護衛艦、  それに南沙列島の人工島の飛行場、  中国海軍の海上要塞は、  すでに最初の形態を表しつつあり、  戦略核潜水艦を、  南シナ海の深海に潜ませ、  米国に対する核攻撃がいつでもできるようになりつつある。 

     今回の動きは、  第一に、  中国海軍が建設した南シナ海の「要塞海域」が公海上なのか、  中国領海内なのか?

     第二に、  公海上に島を作ることが国際海洋法に違反しているのか、  という二つの問題を含んでいる。 

     中国の南シナ海に対する主権主張は、  南シナ海に引かれた「9本の斜線」(9段線)に基づいており、  中国は常に伝統的な海洋境界線として国内的に宣伝して推進してきた。 

     しかし、  中国外務省は、  第2次世界大戦後の日本の降伏範囲を連合国と協議する際に、  内務省が地図上に11本の点線で構成された円を描いたが、  それは定義も座標も根拠もない模式図に過ぎないこと。  1955年に中共が、  が海南島の西にあるバクロンビ島 (白龙尾岛)をベトナムに与えたことで、  11区線の北側2区間を放棄し、  以降、  中国の地図はすべて11段線を9段線に変更しており、  これが「9段線」の由来となっていることをよく認識している。 

     1982年に採択された国連海洋法条約によると、  この「9段線」は、  国際法上の根拠がないとされている。  中共外務省は、  2000年に中国がトンキン湾でベトナムとの間に中国初の海上境界線を引いたと発表した際に、  南シナ海の主権について一度だけ大きな真実を語ったことがある。  この宣言は、  第一に、  中国がこれまで南シナ海に海上境界線を持っていなかったこと、  第二に、  「9段線」が海上境界線ではないことを示しているのだ。 

     中国共産党は、  南シナ海全体を領海に一周する「9段線」を国際社会が受け入れることが難しいことを知っており、  南シナ海のすべての島や岩礁を中国領と改称した。  しかし、  国際海法では、  満潮時に水没する岩礁はいずれの国の領土にも属さないと規定されており、  中国海軍は、  島の建設が行われる海域の岩礁のみを保有しており、  領有権はないとされている。 

     2016年、  ハーグの国際仲裁裁判所は、  中国が領土に属さない岩礁を強制的に人工島化し、  結果として公海上の岩礁を強制占拠したことの正当性を認めないとの判決を下した。  その結果、  中国は仲裁の結果を受け入れることを拒否すると発表した。 

     米国への核攻撃を行う戦略的原潜のために、  安全な発射位置を見つけようとする中国海軍の緊急の必要性を理解することができれば、  中共が、  対米攻撃用の戦略的原子力潜水艦の “要塞 “のために、  故意に国際海洋法に違反し、  公海海域を無理やり占領していることがわかるだろう。 

     米国国務省の報道官モーガン-ディーン-オルタガスは、  “我々は、  世界的な流行病と戦うために国際社会の努力を支援に焦点を当て続けるために、  中国に、  南シナ海での違法な主張を拡大するために、  他国の脆弱性を悪用するのを停止するように呼びかけるとの声明を発表した。 

     太平洋戦争から70年以上ずっと、  太平洋は穏やかで、  大国の表層艦隊同士の対立や、  軍事攻撃目的の公海占領などは、  なかった。  しかし、  今年になって、  情勢はすでに変化している。  太平洋を「太平」ではなくなってしまった。  中共が始めたこの種の軍拡競争と戦争準備は、  太平洋周辺の関係国家は、  高度な注目をせざるを得ない。  太平洋戦争を経験したオーストラリアにとっては、  こうしたことに、  うといわけではないのだ。  (終わり)

     原文は、  中美对阵中途岛
    2020年4月10日

    中国 何清漣
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