• ★「中華ネトウヨ」の方方女史攻撃にみる「習氏中国」 2020年4月24日

    by  • April 26, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     方方女史(訳注;ファンファン。  本名は汪芳。  武漢の作家、  封鎖中の暮らしを日記に執筆し、  米のハーパー・コリンズ社や独のホフマン・カンペ社など世界各国の有力出版社で翻訳出版される運びとなった)と私は共に1950年代生まれです。 
    ファンファン。  本名は汪芳
     暗黒の文革時代、  それに比べればまだましだった鄧小平の改革時代を体験しました。  江沢民の時期に、  私は中国を去り、  彼女は残りました。  インターネット時代ですから、  その後の中国の変化を身を以て体験し、  彼女は中国で、  私は地球の裏側からそれを見てきました。 

     昨日、  銭詩貴という人物が「今日のトップニュース」の「南京の名前を明らかにしない彫塑家が、  杭州の岳飛の墓に跪く秦檜の像のそばに、  作家の方方の跪く塑像を作る計画だ」(訳注;救国の英雄岳飛の側に売国大臣の秦檜の像がある。  方方を秦檜になぞらえ貶める意味合い)という書き込みに、  南京の読者だけで150万人以上が「いいね」とし、  7000以上のレスがつき、  「圧倒的な支持」を集めたといわれています。 

     これは、  習近平の中国が産んだ恥知らずな「廉恥心がないからどんなことでも構わずやってのける」文化人とメディア、  青年世代がすでに「義和団化」しているということです。 

     これを読んで、  私がまず感じたことは、  「『習氏中国』には、  どだい、  方方女史は合わない」ということです。  このお国は、  胡錦濤が確立した「反カラー革命」路線を経て、  再びマルクス主義へ回帰してしまいました。  さらに習近平の長年の、  日増しに過酷になった思想言論統制の下で、  学界には、  ただ金灿荣(中国人民大学国际关系学院副院长、  方方は外国人に中国攻撃の弾を供給したと非難した)のような輩、  メディアには胡锡进(環球時報編集長、  4月8日、  「方方日記はネガティブだ」と非難した)のような騒音を立てる人物が残る不毛の地、  いや、  不毛の地は毛沢東時代だった。  それより悪い習近平の重金属汚染の地になってしまって、  ただ毒だけが育つのです。 

     こうした毒は、  習近平の「劣悪なものを褒め称え、  優れたものを罰する」社会コントロールを通じて、  1代の「粉紅(中華版ネトウヨ)軍団「」を育てました。  私はこれを「義和団バージョン2·0」と呼んでいます。  方方女史を攻撃しているのは、  ネット上の五毛や一部の恥知らずの文化人のように見えますが、  しかしこうした「義和団バージョン2·0」を好き勝手にさせておくのは、  中共当局です。  さもなくばこうした悪罵の数々が、  内外の中国語ネット上に充ち満ちることはありません。 

     ★習氏中国:オーウェルの動物農場

     今日の中国がどれほど品下がったかを知るには、  歴史を遡らないと。  この歴史というのは毛沢東時代ではなくて、  江沢民、  胡錦濤時代です。 
     
     1998年、  私の著書「中国現代化の落とし穴―噴火口上の中国」草思社 (2002/11/30)は、  13社の出版社に却下された後、  ついに今日中国出版社から出版されました。  2年後に出版社は潰れ、  2人の編集者は職を辞さざるをえませんでした。  この本によって私は後半生が変わり、  編集者の人生も一転してしまいました。  (訳注;(邦訳『中国現代化の落とし穴』)を出版。知識人層から圧倒的な支持を得たが、共産党政権下の政治的タブーに踏みこむ言論活動を貫いたため、国家安全当局による常時監視、尾行、家宅侵入をはじめとするさまざまな圧力を受け、2001年に中国を脱出して米国に渡った。)しかし、  当時の社会は、  この声を受け入れることはできたのです。 
    「中国現代化の落とし穴―噴火口上の中国
     誰もが今日のような目には遭いませんでした。  それは、  社会の多くが支持があったからです。  体制側にも、  これを抑圧してはいけないと思っている人が多かったのでした。  当時、  文化大革命を経験した30代、  40代、  50代の3世代のほとんどの人たちは、  文革の悲劇を思い出し、  中国が鄧小平と江沢民が約束した「国際ルールに合わせ」を達成し、  世界の文明国の一員になることを希望していたのです。 

     胡錦濤は江沢民の後を継ぎ、  WTO加盟後は経済が急成長し、  2005年には中国は世界に向けて「平和的な台頭」を宣言していました。  胡錦濤は、  2005年に「カラー革命」の中国への波及を防止する、  呉幇国が「五つのやらないこと」(訳注2;五不搞。  2011年3月10日。  11全人代で、  複数政党制、  思想の多元化、  三権分立と両院制度、  連邦制、  私有化はやらない)を宣言してはいましたが、  それでも2008年の四川大地震で多くの小中学校が手抜き工事によって倒壊し、  多くの生徒の命が失われたにもかかわらず、  政府が復興ぶりばかりを称揚する姿勢は、  ネット上で揶揄されました。 

     6月6日の山東省の「斉魯晩報」には山東作家協会副会長の王兆山が「江城子 — 廃墟の下で」と題し「“天灾难避死何诉,主席唤,总理呼,党疼国爱,声声入废墟。  十三亿人共一哭,纵做鬼,也幸福。  ……只盼坟前有屏幕,看奥运,同欢呼」(天災は避けがたい、  主席や総理、  党の国を愛する言葉は廃墟に響き、  13億人は共に嘆き、  死んだ人たちも、  墓の前のスクリーンで五輪を見て大喜びし本望である)というひどいおべっかの詩は、  ネットでこっぴどく嘲笑され、  批判は止まず、  多くの人がこの詩のパロディーを作って王兆山を揶揄しました。  山東作家協会の作家には、  「恥ずかしいから協会から脱退する」という人もいました。  「兆山が死者を羨む」(兆山羡鬼)という言葉が生まれ、  恥知らずな文化人の代名詞になりました。 

     教育を通じて、  人々の思想を変えるには、  少なくとも10年はかかります。  2004年4月、  中共中央は「マルクス主義の理論研究と建設プロジェクト」を提起し、  習近平が政権に就いた時には、  社会は全面的に「左旋回」(政府賛美と支持)に向かっていました。  薄熙来(当時、  党中央政治局委兼重慶市党委書記)は、  これを見て、  権力闘争に「紅を歌い、  黒と戦う」重慶モデルによって、  毛沢東崇拝の社会底辺層の支持を得ようとしました。 

     薄熙来を倒した習近平は、  政権掌握後、  この路線を引き継ぎ「薄熙来抜きの薄熙来路線」をとって、  今や、  一代の「粉紅軍団」を育て上げました。  私は★「粉紅軍団」 — 中共の「量産型義和団2.0」( 2020年4月16日)で、  自分のツイートを通じて、  中国ネトウヨ軍団の世界観には二つの特徴があることを知りました。 

     一つは、  中国の本当の国際的地位を知らず、  中国は永遠に世界の中心だと信じており、  国際的な知識への無知で、  世界は、  親分の米国を除けば、  みな中国より劣っている、  米国もすぐに中国に追い抜かれるさ、  と思っていることです。 

     習近平が育て上げたこの「中華ネトウヨ軍団」はネット近衛軍として、  ソーシャルメディア上で「殺しまくれ、  やっつけろ!」とばかりに「中国だけが偉大」なのだと大いに意気盛んです。 

     しかし、  一時的な楽しみにはなっても、  もし国家の未来を考えるならば、  このような愚昧で野卑な、  夜郎自大の井の中のカエルたち、  国際的な文明には到底加われない「義和団2.0」は、  中国の未来をぶち壊しにする、  国家に対す最大の犯罪です。 

     まさにこの「義和団2.0」が、  あちこちで人々に噛みつき、  四方八方に敵を作っていました。  武漢の流行が国内ではまだ終わっておらず、  海外に広まった時、  大喜びで「中国がまた勝った」「欧米諸国は中国の仕事をうまく真似することすらできていない」と快哉を叫びました。 

     世界が中国によってひどい目に遭っている時に「世界は中国に感謝せよ!」と言ってのけたのです。  このような、  善悪の区別がつかず、  白黒をつけ、  社会的良心とは何かを知らない中華ネトウヨ世代は、  「4本足は善、  2本足は悪」と叫ぶだけの2本足の羊を大量に育て、  悪人を助ける奴隷を大量に飼育し、  中国が正真正銘の「動物農場」(訳注3;ジョージ・オーウェルの小説、  劣悪な農場主を追い出して理想的な共和国を築こうとするが、  指導者の豚が独裁者と化し、  恐怖政治へ変貌していく過程を描いた小説)であることを証明していいます。 

     ★顔が赤いドロドロのアジアの孤児たち

     方方の作品は、  武漢封印中の彼女自身の心の旅路の記録に過ぎず、  不幸にして流行都市の犠牲になった武漢の人々の痛みを記録したものです。  しかし、  人間として、  人生の痛みを感じうる人ならば、  現在の中国という真実を話すことが稀で貴重なお国柄にあって、  これがどれほど大切な作品かがわかっています。 

     少数の人々は、  猫も杓子も万歳を三唱するしかない暗黒の時代にあって、  社会の暗黒面を語ることができた彼女を褒め称えています。  しかし、  世界をあべこべにしか見ることのできない「義和団2.0」たちは、  罵詈讒謗を浴びせて、  社会の暗黒面を書いて、  西側に攻撃する武器を与えたと非難しています。  そして、  「義和団2.0」が当局のお先棒を担いで、  その中から、  恥知らずの集大成ともいうべき銭詩貴が出現しました。 

     南方大学文学部副学部長の呂浩平氏が微博でこの悪行を非難する声明を発表し「社会の最大の悲劇は悪人が喚き立てることではなく、  良き人々が沈黙することだ」と述べたように、  方方を支持する良心的な人々もいます。 

     しかし、  崔永元(映画『手機』のモデルとも言われた元中国中央テレビのニュースキャスター、  最高裁判所の不正事件を暴いて弾圧された体験を持つ。  今回、  方方を支持して「無駄な喧嘩はするな」とアドバイス)が、  方方を支持したのはいいのですけれど、  彼の「身を低くしてやりすごせ」べきではありません。 

     権力に媚び、  お金に媚びる銭詩貴と動物農場の2本足の羊たちは、  一生、  権力に跪く連中で、  そんな連中に対して「おとなしく」しろと? 彼らは自分たちの生活における失敗者であり、  権力の下に群れ集う時にだけ、  自分たちの無知無恥を大胆にさらけ出します
     
    人生において、  これらの人々は絶対的な敗者であり、  権力に励まされて集団で集まったときだけ、  彼らは無知と恥知らずさを示す勇気を持つのです。  このような烏合の衆がはびこる動物農園では、  根本的に方方女史のような気骨のある人物は似合わないのです。 

    中国 何清漣

    中国2018 中国2017 中国2016 中国2015

     習近平の中国には、  方方女史が値しないのは、  根拠があります。  社会がどのような事物を生み出すかは、  社会の土壌を見れば分かるからです。  「義和団2.0」は、  フランスのギュスターヴ・ル・ボンの名著「群衆心理」(1895年刊、  日本語版は講談社)の名言を思い出します。 

    ;「群衆はいつも独裁政権に頭を垂れていうことを聞くが、  思いやりや善良さに感動はしない。  彼らからすれば、  それはただ軟弱の代名詞なのだ。  孤立した個人が自分で反応し行動する力を持つが、  群衆にはその能力はない。  大衆の中の個人は極めて容易に刺激的な要素に影響を受け、  あっと今に最も血なまぐさい熱狂から、  大いに気前が良くなり、  ヒロイズムに変わる刺激に非常に弱い。  集団が処刑人として行動するようになるのは容易であり、  同時に簡単に「義憤に燃えて激高」し、  信仰への勝利のためには、  いくらでも流血を惜しまない」

     「義和団2.0」は、  大いに気前がよくなったりはしませんが、  その点を除いては、  全ての特徴がぴったり一致します。  ある意味では、  彼らこそ、  中共が保護し寛容に育ててきた犯罪的群衆なのです。  ミレニアル世代は、  あと10年もすれば社会の中堅となりますが、  一つの国家の未来は、  その国のある世代がどんな青年かを見れば、  わかります。  習氏中国が、  意図的にこの一世代にわたる中華ネトウヨ青年を生み出しました。  この国の未来は、  大変悲惨なものでしょう。 

     「習氏中国」が方方女史に値しないのは、  方方を産み育てたのは以前の中国だからです。  その頃、  私たちは中国は大変な暗黒にあると思っていました。  しかし、  今では「習氏中国」こそ中国がさらに堕落し、  さらに暗黒になったのでした

     1950年代の中国は、  暗黒であったとはいえ、  まだ中華民国の時代に生まれた、  完全に中共によって家畜化されていない父親世代が存在し、  まだしも良識のある人々の知恵があり、  おかげで若い人々も3年間の大飢饉は中共の罪であり、  文革は、  更にひどい歴史上稀に見る反人類的活動だと知ることができました。 

    1970〜80年代の中国は、  国際的に門を開き、  一定程度、  西洋文明を受け入れ、  短い時期ではありましたが新たな啓蒙となって、  皆が反省することを知り、  中国がどれほど貧困で遅れているかを知りました。  当局もまた「国際ルールと軌を一つにする」スローガンを口に出していました。 

     今や、  それが「習氏中国」となって、  何世代もの生存資源を使い果たし、  えたいくばくかのお金で、  自分たちは西側文明のルールとは縁をきって、  別の規則を打ち立てられると思っています。 

     このような誇大妄想の中で、  武漢肺炎ウイルスの世界的流行と愚かしい狂ったような「戦狼外交」を繰り広げ、  世界にはっきりと、  「中国という要素は、  全世界の暗黒化を招く」ことを見せています。 

     「習氏中国」は門戸を閉ざし「孤独なゲーム」をしています。  民衆の汗と血であがなった金銭外交によって、  アフリカ諸国の支持者を獲得し、  中華ネトウヨ群を育て上げ得意になって、  至る所に敵を作り、  したい放題です。 

     しかし、  どうか、  かっての毛沢東のように「黄色い顔に紅のドロ」を塗って「アジアの孤児が風に泣く」姿となってしまうことのないように。  (終わり)

    原文は;何清涟:习氏中国不配拥有方方

    これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら

    過去のものはウィンドウズやMacのサファリでは、句読点が中央配置になります。Macのchromeがおすすめです。なお、「拙速」でやってますので誤字、脱字ご勘弁。(電子本の方は校閲して直してあります。多分w) なお、お気付きの点がございましたらお知らせください。ツイッター → @Minya_J。

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