• ★米・中政治―大学を巡る攻防 2020年5月30日

    by  • June 8, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     ここ数日、中国に対する最もヘビーな米国のパンチは、ポンペオ国務長官の香港特別関税地区取り消し発言ではありません。中国の「国防の7つの息子」、つまり軍事・国防科学技術に関連する7つのエリート大学をビザ禁止リストに入れたことです。世界周知のことですが、中国の留学生が教育、特に科学技術教育のために米国に行くことは、中国の対外開放政策の最大の”収穫”でした。 海外留学によって育てられた科学技術人材たちは、自称「科学技術立国」の重要な資本です。

     ★重要部門への留学禁止―中国には抜け道がある

     しかし、今の米国政府と中国との戦争は、米国政府と米国大学との戦争でもあります。

     5月29日付のニューヨーク・タイムズの記事「U.S. plans to expel Chinese graduate students with PLA background」では、米国が留学生の受け入れを禁止する大学として、
    ・北京航空航天大学
    ・北京理工大学
    ・哈尔滨工业大学
    ・哈尔滨工程大学
    ・西北工业大学
    ・南京航空航天大学
    ・南京理工大学
    7大学を挙げています。

     これはもちろん、中国の「海外ハイレベル人材招致・千人計画」によるアメリカの知的財産の大規模かつ露骨な盗用の”後遺症”です。 米国の見解では、「千人計画」は、米国が長年にわたって育て、安心して使ってきた忠吾系の科学方面の人材が、中国の人材網にからめとられてしまったのです。

     こうした人々は米国で教育を受け、米国の各機関が安心して使ってきたのに、いまや、米国の守りを崩す「敵側のコマ」となってしまったのです。ですから、こうした人材と軍事科学技術に関係する学生が、米国の教育を受ける道を断ち、情報入手の根を断つというわけです。もし、本当に実行されたら、「釜の下の薪を抜き取る」根本対策になるでしょう。

     しかし、このニュースがツイッター上で伝えられると、ネットでRTした人々は皆、「中国にはいくらでもこの7校の理工系人材を米国で学ばせる方法がある」という意見が相次ぎました。

     私は、「アメリカは、こういうゲームは全く中国にかなわない。もし中国が軍事工業系の人材を送り込みたいと思うなら、履歴書を捏造するぐらいお茶の子で、中国の大学は皆、それに協力する。これまでよりちょっと難しくなるだけ」だと思いました。

     ”難易度が上がるだけだ” Pushing You North to Go South @RHinSyd01 はは「もうとっくに1980年代からやってるよ。軍の人々はカバースクール用の地方大学を運営していた。陸軍大学で海外に行きたい奴は、指定されたカバーカレッジに行って、卒業証書を含めた学歴を全部やって、この大学の卒業生として海外に行かないといけななかった」と指摘しています。

     したがって、米国が予防措置を取りたい場合、「華為」(Huawei)の経験から学ばなければなりません。初めから25%の隙間を残しておいて、それを5%に削減し、最終的にはすべての面で防止しようという方法はダメなのです。その間に「華為」は力をつけてしまい、そうなってから禁止するのは大変難しいのです。 中国人学生を追い出さず、特定の制限リストに載っている学生だけを締め出そうとする限り、結果は禁止していないと同じことです。

     中国が、抜け道をどう考えてくるかは、問題の一つにすぎません。米国の今回の行動は、自国の大学、とりわけエリート大学からの抵抗を受けるでしょう。中国留学生の受け入れは、もうとっくに米国大学の重要な資金源になっています。

     一部の研究機関は、さらに常日頃から中国の研究資金援助を受けています。ニューヨーク・タイムズ紙5月29日、アメリカの大学が政府の動きに反対すると報じた。 国際的な教育交流は学術的価値が高く評価されていますが、多くの大学では留学生が全額負担する授業料によって、様々な費用に充てており、中国からの留学生に頼っているのです。

     ★中国人留学生が米国の留学生の主な供給源

     中国に対する全面的な開放はクリントン大統領時代に始まりました。 高等教育の国際化の全盛期、2001年9月11日の同時多発テロ事件後、戦略として国際化を戦略とした米国の総合大学と単科大学の数は、2011年には全大学の60%でしたが、その後徐々に減少し、2017年には47%になっています。

     中国人留学生は、アメリカでは昔から重要な留学生の供給源となっています。 2017年の国際教育交流門戸開放報告(Open Doors – IIE)の報告書によると、米国に留学する中国人学生の数は、2016-2017年度の3,200万〜8,500万人から3,500万〜8,000万人に増加し、6.8%の増加となりました。今年度、中国は8年連続で米国の留学生の主要な供給源となり、全留学生の32.5%を占めました。

     2016年だけでも、米国の大学に入学した中国人留学生は125億5000万ドルを米国に貢献しています。2016年6月30日のブルームバーグのレポート「中国人留学生がアメリカの大学を救う」では、外国人留学生、特に中国人留学生がいなければ、どれだけ多くのアメリカの大学が生き残っていたのか疑問だとしています。

      留学生からの金銭的な流れはそれほど大きくて、米国経済全体に相当程度の影響を与えているとさえ言われています。2018年、留学生は米国経済に約447億ドルの貢献をしており、中国人留学生は、その約3分の1を占めています。Open Doorsの報告の結論は、米国の大学の時刻大学生が減っており、大学には財政問題が起こって閉校の危機に見舞われた時、留学生の地位の重要性がこれまでになく高まったとしています。

     米国の高等教育は、一方で財政難で大学が閉鎖されるなど、より複雑な状況に陥っています。 債券格付け会社のムーディーズは、過去3年間で11の高等教育機関が、今日の入学状況に適応できていないため、リスク評価を受けた上で、廃校を選択したことを明らかにしました。 Educationdiveによると、2016年以降、56の大学やカレッジがさまざまな方法で学校を閉鎖することを選択しています。

     一方で、大学教育の質の低下もあります。 アメリカの高等教育の「国際化の黄金時代」は、大学の予算が逼迫している時期に起きているのです。

      2018年10月25日の『The Chronicle of Higher Education』の記事では、国際に対しては、ホワイトハウスだけでなく、海外パートナー大学設立を嫌うアメリカの大学からも反対の声が上がっていました。

     例えば、イェール大学の教授たちは、2013年にシンガポール国立大学との合同学芸学部の開設を決定したことに抗議しました。また、昨年イスタンブールのサウジアラビア領事館でサウジアラビア人ジャーナリストのカショギ氏が殺害された疑いが浮上した後になっても、サウジアラビアとの協力関係を断ち切らなかったMITの判断も、教員からは「お金のために理性を失った」と批判されています。

     「高等教育クロニクル」によると、国際教育は全面的なものであって、実際の教育、教員の研究、学生の体験などを含むとしています。 しかし今日では、留学生をアメリカのキャンパスに呼び寄せ、アメリカの学生を海外に送り出すという流動性が重視されていますが。 このように表面的な「国際化」は数値化可能な目標ですが、国際的な知識や学生が実際に何を学んでいるかを評価することは、はるかに困難である、としています。

     ★米国大学の中国資金依存

     米国の大学の中国資金依存は、中国学生以外に、中国からの各種の「研究協力費」があります。

     米国には、大学による外国資金の受領を規定する法律があり、1965年には「高等教育法(Higher Education Act)」(公法89-329)第117条(Sec.117)が可決され、「(米国内の)高等教育機関で、自然年間に25万ドル以上の価値のある現金または贈答品を外国から受領したものは、連邦政府の教育省に報告しなければならない」と定められています。

     このような報告は年に2回行われています。 これらの要件は幾らかは緩められており、2004年10月には、米国は、米国の大学に対し、海外からの寄付金を法律に基づいて期限内に開示するよう正式に通達する文書を発行しました。

     2018年に米・中貿易戦争が始まって以来、中国の紅色潜入が政府の議題となっています。2019年6月29日、教育部は外国からの寄付金や契約金を隠したり、過少申告したりしていたとして、一部の学校に対して8件の調査を開始しました。

     これによって7月1日以後、いろいろな大学からは続々と、追加報告があがっており、その累計金額は65億ドルにもなりました。その中には、コーネル、エール、シカゴ、テキサスA&Mなどの名門校10校の36億ドルが含まれます。教育省によると、エール大学は4年間で少なくとも3億7500万ドルの贈答と契約を過少申告していたといわれます。

     また、中国とのつながりを申告していない上級教授も多数処罰されており、特にハーバード大学の元化学部長チャールズ・リーバー氏は、中国の「千人計画」への関与を申告していないとして米司法省に逮捕され起訴されました。

     米国の正門を大きく開いて、紅色浸透を大歓迎させるにいたったプロジェクトは「孔子学院」です。米国初の孔子学院は、2004年に、中国教育部「外国語としての中国語振興のための国家指導グループ」の推進と資金援助を受けて、メリーランド大学に開設されました。 2019年の「孔子学院に関する議会調査」発表時点で、孔子学院は全世界に525箇所あり、米国では全国44州110箇所で最多となっています。この分野の資料はやまほどあって、一冊の本がかけるでしょう。

    当時のアメリカの大学は、オープンで、自国のシステムに完全な自信を持っていた文化交流であるとして、ポジティブな面を主張していました。 それが今では、中国が国際社会で攻撃的になるにつれて、米国の歴代政権が戦略的なミスを犯し、泥棒に門戸を開いたと批判されています。

     ★開かれたシステムと閉ざされたシステム

     アメリカはオープンシステムで、穴だらけのザルのようなものです。 防護柵を作っても象徴的なものに過ぎず、あちこちに穴が開いています。その上に、ロビー活動の仕組みがあり、大学や多国籍企業が外国に協力して、あらゆる種類の柵を解体させています。

     一方、中国の体制は、もともとは党支部は自治委員会や村委員会などの草の根組織の上に構築された戦時動員体制をちょっと変えただけです。また、中国人は隙あらばつけこんでくる天性のオポチュニストで、自国の政府に対してですら、「上に政策あれば、下には対策あり」のお国柄です。

     ですから、ちょっとやさっとのことでは、中共を困らせたりできませんし、当然、もっとコストをかけたって平気の平左の彼らがなんらかの方法を考え出すのを防ぐことなんかできません。 直近の例では、今年の流行期に中国人のフライトが禁止されたのですが、アメリカに入国したい中国人は、相手国に行くためにいろいろな方法を試して、結局は全員がまんまと入国してしまいました。

     ですから、最後には、米国の新型コロナウイルスは、中国の他にも、欧州やカナダなど各国からやってきました。この例を挙げたのは、攻めにおいても守りにおいても、閉鎖体制は、開放体制に比べてはるかに効率的だということを言いたかったからです。

     したがって、中国共産党のような全体主義国家と対決する場合、アメリカの開放体制は防衛の抜け穴が多く、アメリカは中国に一歩も動けず、中国がアメリカを周り道を通っても進撃してくるということになります。

     例えば、千人計画によって知的財産権を盗むなどということは、中国においては不可能です。しかし、米国ではいくらでも起こり得るだけでなく、広まっており、やろうとすれば隠す必要すらありません。「海外ハイレベル人材招致・千人計画」」参加者の中には、2008年の開始以来、毎年数ヶ月間中国に滞在している人物もいます。彼らが所属する団体は彼らのことを知っているだけでなく、彼らを通じて、資金援助や研究プロジェクトへの協力など、中国との様々な接点を築いています。責任者の中には、これはまずいとおもっている人がいたとしても、そうした人たちの組織が中国から各種の賛助をもらっているのですから、すべて黙認するのみです。

     米中関係は今、フリーフォールのような下降線をたどっており、ボールが地面に当たってどうなるかは、米・中どちらも結果がわからなくなっています。米国は、次々にパンチを繰り出しますが、どれもその後をどうしたらいいか考えていないようです。

    一方、中国は「一をもって万に対応する」姿勢で、「戦狼」外交ですが、その実、全ては11月の大統領選挙の結果を待っているのです。(終わり)

     原文は、中美政治体制悬殊,谁的攻防能力更强? 

    過去のものはウィンドウズやMacのサファリでは、句読点が中央配置になります。Macのchromeがおすすめです。なお、「拙速」でやってますので誤字、脱字ご勘弁。(電子本の方は校閲して直してあります。多分w) なお、お気付きの点がございましたらお知らせください。ツイッター → @Minya_J。

    中国 何清漣

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