• ★米国の動乱に試される世界の政治の叡智 2020年6月7日

    by  • June 10, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     本文は、  「ポリティカル・コレクトネス」信者には不愉快でしょうが、  どうか最後まで読んでから、  文句を言ってください。 

     ★世界は米国の民主主義が傾いたとみている

     5月25日、  米国ミネソタ州の黒人ジョージ・フロイド氏(46)が警察官に白人警官によって首や膝を抑えられ死亡した事件は、  米国数十の都市で暴力的な講義を引き起こし、  ニューヨーク市の宝飾店を含む商店が各地で襲撃されました。  中国の御用メディアや五毛連、  左翼知識人らは、  「トランプ大統領の最後がきた!」と狂喜しています。 

     各地の未検証の事実や、  部分的な情報が飛び交い、  オバマ前大統領や前民主党政府のエリートは次々に意見を表明。  民主党は時を逸せず選挙の主要スローガンを「米国の対コロナウイルス対策ができるのはバイデンしかない!」から、  「反差別主義」に切り替えました。 

     ウイルス流行中の外出禁止令が解除されていないのに、  このような大規模集会は、  流行深刻化を招くのではないかという疑問に対して、  ニューヨーク市の衛生局長は「それは差別主義のせいであって、  デモ隊は悪くない」と言いました。 

     事件の過程で、  左派の各種勢力が次々に登場して、  極左組織の「Antifa」が多くの都市の街頭暴動で今、  暴れています。  民主党の大統領候補ジョー・バイデンはきっぱりと「米国はリーダーが必要だ」として、  自分こそこの狂乱状態を解決する救世主のように振る舞っています。  5月にはある世論調査ではじめて1位になった時には、  「シャドーキャビネット」を作ってホワイトハウスの権力移管に備えると宣言しました。 

     大統領選挙の年にあって、  最初は全く勝利の可能性がなかった民主党がこの大チャンスに、  ”生き返った塩鮭”のようにとびはねるのは予想できます。  しかし、  事件を利用して政治的な大博打にとめどもなく打って出ることと、  フロイド氏の弟のテレンス氏の「別のやりかたでやろうよ」という理性的な呼びかけを比べると、  後者こそ尊敬に値する態度だとおもいます。 

     6月1日午後、  テレンス氏は、  兄が犠牲になった十字路で、  「我々の怒りを、  商店略奪で表すのはやめよう。  やり方を変えよう。  投票に行こう」と呼びかけたのでした。 

     本文は、  米国のニュースメディアが事件で果たした役割について書きます。 

     ★米国マスコミの夭折

     人類史上、  毎度毎度、  重大な災害が起きると、  デマが乱れ飛びます。  特にインターネット時代には、  ネット技術が各種の情報の舞台となって、  様々な情報データが自由に流れる利便性の土台となり、  デマは加速度的に広がり、  間違いなく大衆の苛立ちや恐怖感をあおります。 

     最初の数日間にデマは「高度発酵状態」になります。  そして、  人々は自分たちの気持ちを揺るがしたニュースがそれほど確かな話ではなく、  現実の暴力が耐え難いものであるとわかって冷静に立ち返るのです。  米国各地の抗議活動も次第に落ちつきます。 

     私は、  2016年の大統領選挙を経験しました。  この年は、  米国の世論調査機関がダメダメになって、  メディアの信用もガタ落ちになった1年でした。  メディアの真偽とりまぜたトランプ大統領への誹謗中傷のによって、  気分がおかしくなった米国人がカウンセラーにかかる率が4割以上も跳ね上がったと言われます。 

     私もかつてはメディアの人間でしたし、  米国メディアは中国人のメディア人の理想でした。  西側ニュースメディアの「事実は一つ、  批判は自由」は、  ずっと自分が中国メディアを批判する武器でありました。 

     しかし、  2016年の大統領選挙で、  私はいくつもの米国の老舗メディアのニュースが理解できませんでした。  ニューヨーク・タイムズ紙の2016年8月9日の「ニュースメデァはトランプをどう報道すべきか」を読んで、  やっとわかったのです。 

     そこには、  はっきりと、  半世紀以上ずっと守られてきたニュースの原則は、  トランプの報道に関しては放棄してもよい、  その理由はほかでもなくこの大統領選挙広報が特殊過ぎるからだ、  と書いてあったのでした。 

     毎年ピューリッア賞を受賞しているニューヨーク・タイムズ紙が堂々と掲載したのです。  以後、  米国の重大事件、  とりわけ2大政党の権力闘争に関わるどんな報道に対しても、  私は面倒でも仔細に各種の情報を突き合わせて読んで、  真相を知ろうとするようにしました。  今回のフロイド氏の死亡から始まった全米抗議デモでも同様です。 

     ★真偽入り混じったニュース報道

     フロイド事件がこれほど騒がれいている時の、  見逃せない真偽入り混じったニュースや政治家の発言の例を挙げます。 

     ⑴ トランプ大統領がプロテスターに対して発砲させた。  これはデマニュース。  事実は、  デモが撃ち壊しや略奪などの暴力事件が起きた6月1日、  米国国防省のMark Esper長官が200人の現役兵士を招集し、  万一に備えたのです。  この後、  2日間の抗議期間に、  軍隊がプロテスターに対峙したことはありません。  警察が出動しただけで、  閃光手榴弾と化学スプレー剤でデモ隊を追い散らしました。  6月3日、  エスパー長官は兵士を帰営させ、  現役部隊は緊急非常時にしか使用しないと表明。  「我々はまだそのような状況には直面しておらず、  叛乱法適用は自分は支持しない」と。 

     しかし、  多くのメディアは「トランプ大統領は軍隊でデモ隊を鎮圧」と報道しました。  論評もこれを前提として大統領を批判しています。  しかし上述の事実は、  兵士を万一に備えて招集しておくことと、  発砲して鎮圧するのは完全に違う話だという常識を説明しているに過ぎません。 

     ⑵ 「トランプ大統領が抗議活動を鎮圧するために軍隊を使うのは重大な法律違反だ」。 

     6月2日、  米国のいくつかの都市では夜間の暴動が発生し、  怒ったデモ隊が警察に発砲し投石するなど暴走しました。  プロテスターたちはニューヨークの五番街の高級店の窓を破壊し、  ロサンゼルスのショッピングモールに放火、  4人の警察官が撃たれました。  ラスベガスでも警察官1人が撃たれて重傷を負った。 

      トランプ大統領は、  州知事の同意なしに抗議活動を鎮圧するための現役部隊を許可する法律を発動すると脅しました。  民主党のエリザベス・ウォーレン米上院議員は同日、  ビデオメッセージを発表し、  トランプ大統領が議会の同意なしに抗議活動を鎮圧するために軍隊を使用することは 深刻な法律違反になるとして、  責任追及を要求しました。  報道はこれを大きく取り上げました。 

     しかし、  法律の専門家が米国連邦法では、  通常の状況下では陸海空三軍を含む通常部隊を国内法の執行には使えないが、  大統領は1807年の「叛乱法」を発動することは可能であると指摘しました。  この法律は、  米国大統領は、  「各州の暴動、  国内での暴力、  違法な共謀による集会」に対して連邦政府の現役部隊を、  国会の批准なしで使用できる」ことになっていると指摘しました。 

     大統領が「叛乱法」を発動するのに先例がないわけではありません。  1943年ルーズベルトは1943年にデトロイトで、  アイゼンハワーは1957年にアーカンソーで、  1968年4月にはリンドン・ジョンソンが、  3都市で軍隊を派遣しています。 

     中には州知事の同意なしの例もあります。  1957年にアーカンソーで、  黒人の子供が白人と同じ学校で学ぶことに抗議がおこり、  暴動となり収集がつかなくなりました。  州知事が「無能」と批判を浴びた時、  アイゼンハウワー大統領は、  連邦軍を派遣しました。  老ブッシュ大統領の人気中にも2度にわたって叛乱法は発動されました。  1989年、  ハリケーン「ヒューゴー」によってバージン諸島が大被害を受け、  深刻な略奪暴行が起こった時、  現地政府の求めに応じて、  老ブッシュ大統領は「叛乱法」に基づいて派兵援助しました。  1992年には、  ロサンゼルス暴動に際して、  州知事の要請に基づいて、  四千人の軍の部隊を派遣して正常化させています。 

     ですから、  世論が、  大統領が抗議を鎮めるために軍隊を派遣することに慎重であるべきだと考えるのは正しことですが、  トランプ大統領が暴動鎮圧のために軍隊を出動させるのが怪しからんと怒るのは、  正義感に満ち溢れているように聞こえますが、  間違いでしょう。  また、  米国国防省長官も、  軍隊を出すべき時ではないと発言しましたが、  大統領が違法だとは言っていません。 

     ⑶ 「警察官がひざまずいて暴徒を支援した」– このニュースは世界中に広まっており、  一部のメディアでは写真だけを引用して 今回の「Antifa」を含むアメリカを席巻している暴力は、  正義の味方であり、  警察ですら土下座して償いをしているという印象を受けます。 

     しかし、  これは事実の半分しか報道されていないニュースです。  例えばこのVoice of Americaの記事「抗議デモに警察も土下座」(Police officers get down on one knee in support of protesters at U.S. protestest)という見出しの記事があります。  数人の警察官が片足で膝をついたのは事実ですが、  VOAの記事を読むと、  彼らは「憲法第一条で保障された権利と発言権を守るために、  あなたのしていること(暴力行為)は 間違っています、  やめてください」と言っているのです。 

     インターネット時代には、  毎日、  大量のニュースが流れますが、  大多数の人は、  ニュースの見出しだけを見て「読んだ」と思い込みます。  ですから、  半分だけの事実、  一方だけを強調する見出しは、  明らかに誤導させる意図を持つものです。 

     ⑷ 「黒人は警察の暴力的法執行による死亡率が最多」

     このニュースは、  米国の多様な人種のうちで、  警察の暴力によって死亡した比率のデータを図表にしたもので、  BBCの「フロイド事件――アフリカ系は米国の法の下でどのように扱われているか」など、  多くの記事に何度も引用されていますから、  読者を惑わせる最たるものです。 
     と言うのは、  この統計は、  犯罪学統計のプロの基準に合致したものではないのです。  プロ的な見方からすると、  二つの比率を比べなければなりません。  それぞれに占める犯罪者の率と、  それぞれの犯罪率と懲罰率が必要です。  もしある人種の犯罪率が高く、  懲罰率が低いならば、  不公平な扱いを受けているとはいえません。 

     この点で、  最近、  勃興してきたポリティカル・コレクトネスの立場にたつ黒人政治活動家のキャンディス・オーウェン女史は、  ビデオで「黒人の警察官による死亡率数は、  黒人の犯罪者の数と対応しているのであって、  総人口に対応しているのではありません。  銃に撃たれる人が多ければ、  死亡率は当然高くなる」と話しています。 

     ★メディア業界は自分自身を見つめ直すことができるのか?

     今回の米国でのデモで蔓延している凶悪犯罪は、  近年活発に活動している極左グループ「Antifa」と密接な関係があります。  トランプ米大統領は「Antifa」をテロ組織と宣言しましたが、  米国のニュースメディアは、  言及を避けています。 

     民主党に近い立場ながら極左ではないラスムッセンの「Antifa」に関する世論調査の結果は、  49%が「Antifa」をテロ組織だとみており、  共和党支持者の69%、  無党派の47%が、  今回の抗議活動の暴動は、  犯罪分子が背後で暗躍し、  けしかけたとみています。  しかし58%の民主党支持者は、  多くの場合、  暴力活動は合法的だったとしています。 

     ニュースの業界で最高の名誉とされるピューリッツァ賞を創設したジョーゼフ・ピューリツァーは「国家が大海を公開する時、  ニュース記者は船首の見張り人だ。  果てしなく広がる海の一切を、  不測の天候の変化を読み取り、  警報を発する役割だ」と言いました。  米国メディア界の人々に理解してもらいたい言葉です。  間違った方法で社会の気分を扇動して政治目的を達成しようとするのは、  社会の見張り人ではなく、  社会危機を悪意を以って作り出そうとする者です。 

     1990年代のアメリカの大学には優秀な犯罪学者が輩出しました。  犯罪経済学の創始者であるゲーリー・ベッカー教授は シカゴ大学経済学部で、  シカゴ学派の代表として知られます。 

      ベッカー教授がノーベル経済学賞を受賞した理由の一つは、  犯罪の経済学に対する彼の半世紀にわたる貢献があったからです。  私は彼から多くの恩恵を受けています。  「ポリティカル・コレクトネス」という幻覚剤は、  時に学界の真珠の輝きを失わせる危険があります。  (訳注:ベッカー教授に関しては、何清漣氏の「中国現代化の落とし穴――噴火口上の中国」草思社p347参照)

     アメリカ人にとって2020年の選挙は、  一方では法と秩序、  もう一方では社会という、  本当に二者択一の選択なのです。  茶番による無秩序と流通、  一方では常識、  他方では反常識。  時間があれば、  「西欧左翼の民主主義-混乱と分散」といった記事を書いてみようと思います。 

     原文は:美國動亂考驗世界的政治智慧

    これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら

    過去のものはウィンドウズやMacのサファリでは、句読点が中央配置になります。Macのchromeがおすすめです。なお、「拙速」でやってますので誤字、脱字ご勘弁。(電子本の方は校閲して直してあります。多分w) なお、お気付きの点がございましたらお知らせください。ツイッター → @Minya_J。

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