• ★経済衰退へ — 中国にカードなし  2020年5月26日

    by  • June 10, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     中国では政府も民間もずっと「信念こそ生産力」を信奉してきました。  経済の苦境も、  天災も人災も、  国家の統計部門と宣伝部門が「夜明けの前は一番暗い」という宣伝で幻想を営々と作り上げてきたのです。 

     しかし、  今年は違います。  1994年以降毎年のように数値的なGDP成長目標を盛り込んできた政府の報告書で、  成長目標すら設定されていません。  この異例の出来事だけでも、  今年、  第1四半期のゼロ成長は継続するでしょうし、  中国政府は経済成長を押し上げる力に窮していることを表しています。 

     ★中国政府得意の景気刺激策が失敗している

     中国政府は、  27年間で初めてGDP成長率の目標を設定していません。  ウォールストリート・ジャーナル紙は、  「中国が40年間で最悪の経済収縮を経験した後、  中国の指導者たちが大規模な景気刺激策を打ち出すことを急いでいないので、  成長目標が設定されなかった」と主張しています。 

     これはいささか中国の指導者の忍耐力を過大評価してると思います。  今年の2月、  新型コロナウイルス流行の大変深刻な時期に、  習近平は仕事の再開を要求しました。  最終的には地方自治体が仕事の再開目標を設定したり、  工場が機械の空回しを余儀なくされたりしたのです。 

     私は、  大規模な刺激政策を採用しても、  もう元に戻れはしないと思います。  最近、  取材を受けた時、  何人もの記者から、  中国政府にはどんなカードが残されているか?と聞かれましたが、  私は「カードはない」と答えました。 

     中国経済について最も議論されているのは、  「4兆ドル規模の景気刺激策」(リーマンショック時の刺激政策)をもう一度やるべきかという問題です。  この議論は、  実際には無駄なのです。 

     約3年間、  中国は量的緩和政策、  通貨発行を行ってきました。  2018年には、  180兆元以上の中国の広範な通貨供給量(M2)残高を記録しています。  前年比8.4%アップ。  2019年には、  12月だけで、  1.14兆元の新元ローンは、  経済を刺激することはほとんどできませんでした。 

     中国政府の景気刺激政策は、  主に鉄道、  高速道路、  公共施設などのインフラ建設や不動産への巨額投資です。  しかし現在では、  鉄道、  都市地下鉄、  不動産ともに、  長らく過剰投資となっており、  地方政府や関連企業は巨額の借金を背負い、  投資しても過剰投資が増え、  政府や企業の借金を増やし続けるだけです。 

     中国の高額債務は、  国際投資界の大きな関心事であり、  ほぼ毎年のように問題となっています。  米・中貿易戦争の圧力で中国の年間成長率6.3%が2019年に「27年ぶりの低水準」を記録した後、  303%の債務が再び米英日の金融メディアの紙面を賑わしました。  識者らも中国の債務が極めて大きな危機の存在に同意しています。 

     こうした状況では、  さらに刺激を加えたところで「喉が渇いたから毒を飲む。  が、  渇きは止まらない」なのです。 


     ★「保六」から「六保」へ 世界のエンジンは生存にやっき

     今年、  中国の李克強首相は昨年のGDPの「保六」(成長率6%の確保)を「六保」(雇用、  基礎生活、  市場の主力、  食料・エネルギー安全保障、  産業チェーンのサプライチェーンの安定、  草の根活動を守る)と「六稳」(雇用、  金融、  対外貿易、  対外投資、  投資、  期待を安定させる)に変えました。 

     いわゆる「六稳」とは、  2018年に提案された経済ガバナンス政策ですが、  結果は満足のいくものではなく、  雇用、  対外貿易、  対外投資も安定していないため、  「六保」が追加されました。  しかし、  GDP成長率の目標が設定されなくなったため、  「安定的な期待値」が意味をなさなくなりました。 

    「六保」については、  政府の統治に関わる草の根レベルの運用を除いて、  いずれも国民の基本的な生活状況に関わるものです。  基本的生存条件の保全を国家の大政策として扱うということは、  実は基本条件保全が危機に直面しているということです。 

     中国共産党で3人の主席に仕えた「理論的指導者」である鄭碧眼が米国の外交政策について「中国の平和的台頭」という記事を書いて米国に対抗しようとしたのは2005年でした。  それから15年も経った今、  基本的な生存を守ることしかできないとはどういうことなのでしょうか? これに関しては長文が書けるでしょうが、  ここではあらましをみて、  原題にもどりましょう。 

     今回の新型コロナウイルスの流行は、  経済を高度に国外に依存しなければならないという中国の弱点をすべて暴露してしまいました。  「就業を維持する」は、  いったん海外からの発注を失えば、  中国企業の効率はがた落ちで、  失業がたちまち増えるということです。 

     「基本民生を保つ」は、  石油、  天然ガスなどの主要エネルギーの68%を国債市場に依存し、  小麦、  トウモロコシ、  大豆などの三大食料の絵画依存度は極めて高いということです。  2018年の政府発表データでは、  中国の食料自給率は、  82.3%前後で、  世界の安全基準90%をしたmわ割っています。  穀物自給率が95%前後に下がると、  国際関係が緊張し、  外貨準備高が減ります。  食料とエネルギーの安全保障が必須となります。 
     
     いわゆる「産業連鎖と供給連鎖の安定の温存」ですが、  産業連鎖とは中国製造業の国際需要、  供給連鎖とは、  原材料、  穀物、  エネルギーの国際的な供給連鎖を指します。  食糧、  電気、  ガス、  交通(ガソリン)などは、  人々の生活に関わるものであり、  「市場体を守る」(保市场主体)とは企業を守ることであり、  企業を守るとは雇用を守ることです。 

     中国は世界第2位の経済大国ですが、  外界への依存度が高いため、  泥ゴーレムのようなもので、  国際情勢が変われば非常に脆弱になるのです。 

      疫病が流行する前、  中国は経済グローバル化の旗手となろうとしました。  疫病が流行している間、  中国は疫病との戦いで世界をリードしのです。  しかし、  今、  各国からの外交的孤立に遭遇し、  中国は基本的な生存を維持するだけのところまで落ちてしまいました。 

     ★中国は海外市場を失いつつあり、  国内市場では内需不足が深刻

     中国の内需14億人を押し上げることができるとネット上ではいわれています。  これは、  中国の消費率が何年も一貫して低いということを理解していない全くの無知から来ます。 

     長年、  中国の投資、  外商、  内需を支える「3頭立ての馬車」の中で、  いわゆる内需が最も弱いのです。  内需が弱ければ、  消費は奮いませんから、  国内の最終消費率も低くなります。  2019年の消費率は高く、  関係機関は喜びましたが、  それでも57.8%です。  米国などの先進国の70%前後に比べて大きく下回っています。  なぜでしょうか? 中国の住宅支出が高すぎて、  他の消費を圧迫しているからです。 

     ここに中国の公式数字があります:2018年末、  中国の住民の負債は45.92兆元に達し、  2014年から154.1%増加し、  年平均増加率は20.51%で、  これは驚異的と言えるでしょう。 

     しかし、  同期間に、  総可処分所得は42.5%(年平均7.3%)しか伸びず、  GDPは41.4%(年平均7.2%未満)しか伸びませんでした。  過去5年間で、  中国の総住民負債は、  GDPや可処分所得の3倍の速度で拡大しているのです。 

     中国銀行監督管理委員会の郭樹清委員長は、  新たな貯蓄資源の約半分が不動産に投資されており、  多くの世帯が持続不可能なレベルの負債を抱えていると公言しています。 

     2018年、  住宅ローンは居住者の負債の56.1%以上を占めていいます。  住宅関連の債務が70%を超える 異常に高い家計負債は、  大きな金融システムのリスクを隠しているだけでなく、  中国人の消費力を著しく圧迫しているのです。 

     企業の操業率の悪さは、  中小企業を破産に直面させています。  中国の失業率は、  さらに深刻化し、  中国民衆の消費力は低下し、  内需を押し上げることが一層難しくなるのです。  (終わり)

     原文は;中国经济走衰,北京手中无牌 https://www.sbs.com.au/language/mandarin/zh-hans/why-does-china-drop-its-gdp-growth-target-for-the-first-time-in-decades

    これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら

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