何清漣 @HeQinglian 氏
2013年08月17日
全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun
上海高裁の裁判官集団買春事件が暴露されて後、メディアの注目は暴露した陈玉献(*爺注;上海のホテル経営者。民事敗訴後、原告、弁護士と裁判官がグルとわかりホテルでのご乱行映像をネット暴露し高裁裁判官らが党籍剥奪、クビに。)の利口なやりかたと頑強な性格に集中しましたが、『南方周末』は8月15日に「裁判官集団買春事件の背後に司法ブローカー」という記事で司法権はとっくに法律共同体(裁判官と弁護士)の飯の種と化していると指摘して更に深刻な問題があることを提起しました。司法ブローカーの存在については、中国メディアでは実はずっと登場してはいたのですが、ただはっきりした報道ではなく、さまざまな事件にみえがくれしていただけだったので、この「南周」の報道はなかなか読み応えがあるものとなりました。
《司法ブローカー;中国司法利益集団の重要な一環》
「裁判官集団買春事件の背後に司法ブローカー」の報じた現象は余りにもどぎつかったのか、『南方周末』のサイトでは既に当日消去されていますが、他のネット上で検索できます。(*爺注;「法官集体嫖娼案背后的司法掮客」で検索すると出て来る)まず先に4300字の長文の要点を紹介しておきましょう。
「8割の弁護士の収入は微々たるもの。ただ残りの2割の”司法資源の或る連中”にくっついてるだけだ。そのうち大きな経済事件でも弁護士は1割の弁護費用がもらえるだけで残り9割は司法ブローカーのものになる。法律圏の中で自分の持っている法曹界人脈を”販売”して訴訟に影響を与える人々を”司法ブローカー”といい、その職業は弁護士、官僚、メディア人もいる。彼らは利用可能なすべてのコネをつかって司法裁判を自分達の”軌道”にのせてそれから利益を得ている。小は労働教育所から保釈されて審理を待つ間、大は刑事事件や天井知らずの経済訴訟までおよそ司法に関する利益のあるところには『ブローカー』の影がある。数多い中小レベルのブローカーはおもに人脈の”紹介料”で稼ぐ。大物ブローカーとなると請け負った事件を丸ごと下請けにだす。大ボス達が出す多くの文書のは原則的には『公正な審理を』だが、こうした指示は解決せよ、立案するな、審理延期といった程度のものだ。”ケーキの分け前”に与ろうと戦う者には退職した司法関係者もふくまれる。ネットで検索すると上海の番付上位15人の弁護士事務所にはなべて上海高等裁判所や中級裁判所の退職したボスが顧問になっている」と。
このような「司法ブローカー」が上海だけのものだとおもうなら大間違いです。私が長年集めた資料ではこの種のブローカーは中国の各地司法システムにあり、それもすでに長い間にわたっています。ただ地方に寄ってそれぞれ特徴があって広東では「賄託」(*爺;翻訳不能だが文字から意味がようわかりますな(-_^))とよばれています。
元最高人民法院副院長の黄松有は広東省司法系統で「潮汕グループ」を結成し、メンバーには高裁執行局長の楊賢才(*収賄で無期判決)と広州最大の法律事務所トップの陳卓倫がいましたた。陳は有名な法律ブローカーで、広州で法律業務の収入が億元を越えるナンバーワンの金持ちと言われました。広東省高裁の長官・麦崇楷は職権を乱用して裁判審査に介入した。そのやり方はメモを回して部下に裁判の処理方法を指示するものでした。麦崇楷の署名許可する事件は2種類で、ひとつは指導者たちから回されて来たもの。もうひとつは自分の親戚や腹心から回って来たケース。そんなわけだから事件を抱える人達や代理弁護士は金を惜しまず麦の息子、愛人、妻子、手下に接近し「賄託」して麦の指示を得ようとしました。「賄託」するのはみな麦の近親者で、時には両方の側からおいしい思いをすることもありました。ある事件では一審は麦の情婦が代理人となって、麦が口をきいて原告が勝ち情婦ももうかったったのですが、二審の高裁では、今度は負けた被告から”材料”が届けられ麦が口出しして逆転勝訴しました。つまり情婦も麦も儲かったというわけです。
各種の法律ブローカーの中でも弁護士の演じる役割は大きいのです。過去数年に発生した有名な裁判官腐敗事件では武漢中級裁判所事件(2007結審)では44人の弁護士が裁判官に贈賄容疑で調べられたし天津裁判所の破産事件の余罪では弁護士の姜志武が重要な賄賂仲介人だった。安徽省阜陽中級裁判所の余罪では弁護士の賄賂仲介のほかに、専門に裁判所に賄賂を贈る「訟託」といわれる”職業”まで登場しました。
《弁護士はなぜ法律ブローカーの中で重要な役割を演ずるか》
弁護士が贈賄するというのは司法腐敗を構成する他の官僚達とは違う特徴があります。その他の官僚の収賄は贈賄者と役人の間での権力とカネの交換です。でも裁判官の腐敗は直接の当事者と裁判官の間というより、往々にして第三者、例えば事件の弁護人が仲介し3者共同参加型なのです。代理人が賄賂を仲介し、裁判官がこれを収賄し、贈賄者は不当利益を得ようとする。このとき弁護士の役割は法律事務顧問ではなく、「腐敗ブローカー」なのだというべきでしょう。
弁護士が賄賂仲介者になるのは中国共産党が司法システムを管理している以上、必然的に産まれるものです。(*爺注;中国の裁判では裁判官より、共産党委員会が指導権を握っている)中国の法律は裁判官に民事、経済事件の裁判で比較的大きな自由裁量権を認めています。裁判官は上級(共産党指導部)の言う事は絶対きかなければならないのですが、それ以外の分野ではなんら制約をうけず、裁判官は自由裁量権を濫用して私利を得られる極めておおきな自由空間があるのです。
中国の訴訟では弁護士は裁判官に較べて弱い立場にあります。弁護士も当事者もみな知っている事ですが、が多くの情況下では事件の勝負は法律や事実で決まるのではなく裁判官の個人的傾向や更に高い権力からの干渉で決まるのです。これが中国の弁護士の働く司法環境であって、この点は訴訟当事者ですらはっきり知っています。
数年前、湖南省高等裁判所の呉振漢の収賄事件で、全てのかかわった弁護士が全部「裁判官に贈賄しなければ裁判に勝てない」と報告しました。当事者ですら弁護士を選ぶ時には「裁判官に有力なコネを持っているか」を基準にしますし、もし弁護士が「コネが無い」などと言えば事件を依頼されもしないのです。だから多くの弁護士はやむなく依頼者にかわって賄賂の仲介人にならざるを得ないので法律代理行為が賄賂紹介行為に変わってしまいます。これはすでに中国司法界の隠れたルールです。
こうした空気の下で、数年前滑稽な話がありました。北京の弁護士・翟雪俊が客を集める為に、北京と広東の裁判官に「共に共同して訴訟利益を分配しよう。裁判官のあなたが事件を紹介してくれたら4割はあげます」と名刺をそえた手紙を送りました。これがバレて弁護士免許を取り消されたのですが記者会見した翟雪俊は「現実に普通に裁判官が事件を弁護士に紹介する事はどこでもやってる。みなそういってるよ。だから俺もこうしたんだ」と述べたのでした。
以上書いて来た様に、弁護士が熱心に裁判官とコネを付けたがるというこの中国的特色の現象は、はっきりいえば、つまりは「裁判官に迫られてそうなった」ということなのです。
人類社会では3種類の腐敗が社会を破壊しかねない危険をもっています。それは教育と医療と司法です。教育は直接、人類の次の世代の人格を養成するから、教師は「人類の魂のエンジニア」と呼ばれ、その人品と人生観は青少年に多大な影響を与えます。
医者の仕事は患者を死から救い、怪我を治す。患者に対してその立場は大変優位にあり、その医徳の有無が病人が有効で人道的な治療を受けられるかどうかを決定します。
これに対して、裁判官の品行はこの職業が社会正義を実現できるかどうかを決定するのです。大変不幸な事にこの3職業は中国ではすでに深刻に堕落しており、こういうわれている始末です。
「現在3種の蛇が庶民を喰う。黒蛇、白蛇、眼鏡蛇。キミの子が病気になれば白蛇が、訴訟になれば黒蛇が、学校にいけば眼鏡蛇が噛みに来る」と。
この3つのうちで司法腐敗の影響の怖さは他の腐敗よりさらに劣悪なものです。なぜなら、社会秩序の最後の制度的な防壁を失わしめ、司法判決を利益の道具にしてしまうからです。司法権が落ちぶれて法律屋共同体(裁判官、弁護士、時には検察官も)手中の金儲け道具になるとき、社会の人々はもはや法律など屁ともおもわなくなり、ただ権力と暴力に魅かれるようになります。中国社会がまるでひどいジャングルと化すにあたっては司法の腐敗は直接関係があるということです。(終)
拙訳御免
原文は 「当司法权堕为“生财资本”之后」;www.voachinese.com/content/justice-corruption-20130816/1731467.html
何清漣氏のこれまでの論評の拙訳は;Webサイト 清漣居・日文文章 heqinglian.net/japanese/ に収録されています。
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