何清漣
2014年4月25日
全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun
http://twishort.com/Fvmfc
最近、中国経済の「微刺激」なる用語が正式登場しました。この意味するところは「リコノミクス」の三大要素の一つ「政府は経済刺激策を取らない」の放棄です。
《なぜまたゾロ、「政府刺激策」が?》
中国経済政策がまたしても政府による経済刺激政策に戻ったのは、この2月から予兆がありました。でも「リコノミクス」のポイントが「政府刺激策をとらず」でしたからそれが足かせになって所謂「景気刺激策」というのは「やるのはいいけど、表向きは言ってはいけない」話になってしまい、やるには「新しい包装紙」に包んでやらないといけなくなりました。だから「微刺激」なんですね。
李克强総理は確かに政府による経済刺激政策をとりたくない、とおもっていただろうことは認めるべきでしょう。しかし中国経済はすでに「政府投資依存症」にになっていて、やめたくてもモルヒネや大麻のように止められないんですね。この点については、去年7月に「李克强経済学の制度基礎は何処に?」http://yangl3.sg-host.com/2013/07/24/liconomics-japanese/ で話しましたが、不幸にして予想は的中してしまいました。
今年の二月に、中央銀行は馬駿を研究局首席経済学者に招聘しました。ここ数年の中国地方債務の過多に多くの人々は心配していましたが、馬は地方政府債務の総体は制御できるという楽観説をとる少数派です。ですから、彼が選ばれたということは政府が通貨緩和政策をとるということを意味します。馬は現有債務の解決にあたるというのは地方政府の債権発行ルール整備を加速し、同時に起債を継続するということで、2014年の地方政府の発行規模は2013年の3500億源から五千億元以上にアップされました。財政副部長の朱光耀は4月の国際金融会議の記者会見で対外的に関連方案をつくって債務の積み上がった地方政府hにさらに多くの予算の自由を与えるとあきらかにしました。
このような経済調整政策は経済情勢が大変深刻なことを意味します。去年末からシャドーバンクの信託業務の危機は絶えず。民間の貸し倒れが続き、資金ショートが中小企業を破産させています。実体経済もよくならず、3月の全国財政収入は1.01兆元で同比5.2%増、企業所得は881億元で7%減、そのうち工業企業は28.9%減です。地方財政は依然として土地売却に頼りっきりです。
一四半期当たりの全国土地譲渡金は1.08丁減で同比40.3%増、地方財政収入は1.95兆。土地売却と地方財政費は1;1.7。今年一四半期以前、政府が経済を救うべきかどうかとかしていたのですが、 今となっては救いの手をのべてもすぐには効果はないかもしれないけれども、救わなければ必ず枯渇する段階です。
《『微刺激』は地方政府の干天の慈雨》
経済成長速度が落ちているという圧力下で「微刺激」案が生まれました。4月の初めに開かれた国務院常務会ははっきり三項目の経済推進措置を明らかにしました。スラム改造開発用の金融政策、、鉄道投融資体制の改革と鉄路建設の加速、大小零細企業の所得税優遇政策の実施範囲の拡大の研究です。
これに対し、国際投資業界は歓迎し「微刺激」策は「大規模刺激」より良いとおもっているからです。このゆるい成長への措置は全体として規模が小さく、GDPの0.21%でしかなく、あらたな生産過剰を招かず、新たな地方債務の問題を引き起こさず物価上昇の内憂をもたらさない、と。国内投資業界も引き続き儲けられると快哉を叫びました。なぜなら中国が投資のホッとポイントだと思われてこそ、彼らの業務は好景気なのですから。地方政府は中央の『微刺激成長』策に積極的に対応し、早々と地方版の『微刺激成長』を準備して満を持していました。
報道によれば、広東、海南、天津、江西、貴州省では今年度の重点項目を投資計画におき、その学派それぞれ36658億、17950億、8231億、6000億、2499億元で、総合計は7兆元で環境保護と交通が重点とされます。元々の2014年の6大経済任務のうちの「債務危機を極力抑える」は当初の約束した役割を果たしていません。
現在、各省の環境保護プロジェクトは調査するに値するはっきりした内容がありませんが、交通と新市街建設は過去ずっと地方政府の主要な政治経済の領域でした。鉄路建設だと建設された鉄道が経済効果を生むかどうかが問題で、いい例が中央鉄道総公司の総負債額が3兆元。しかしこれの地方版がいま、増加への途上にあります。
多くの省が鉄道建設計画を持っており、江西省の批准した重点計画のうち交通プロジェクトは43項目あり、今年中に5つの高速道路をつくり、つづいて6つの高速道路を計画しています。新たに計画しているのもさらに13あり、4つの鉄道とあわせると全体計画hあまるで大躍進時代のスピード並みです。各省の新市街建設計画も楽観をゆるしません。国家発展改革委都市・村改革発展センターのプロジェクトチームが2013年、12省、区の156地級としと161の県級市を調査し、9割以上の地級市が現在新市街新区の建設計画をもっており、12の省と市は合計55の新市街新区を建設計画しています。
もっとも狂乱的な某西部省は3新区、5新市の総面積は現在の市域の7.8倍にもなります。中国のいたるところに、「幽霊都市」「睡眠都市」「死の都市」が出現していることでもわかるとおり、今年の所謂新市街か建設は依然としてただGDPを作り出し、地方政府の財政収入を生み出すだけの、経済構造を更に悪化させる一度来た道、なのです。
これらの通貨増発がもたらす投資は確実に地方政府に取っては甘露のようにオイシイのですが、中国経済の長期発展という角度からみたばあい、かえって阿片吸引を止められなくなるのと同じ事なのです。
《中国の金融安全の真の脅威は何処から来るか》
習近平は最近、11の国家の安全を強調しましたが、その中二は経済と金融の安全があります。事実上、中国経済と金融を脅かしているのはほかでもない、中国政府の経済刺激政策です。中国経済は基本的には政府主導の投資刺激策によって30年以上高成長を続けていますが、政府投資というのはあからさまに言えば通貨供給量(つまり、お札)の増加による経済の繁栄です。古いことははいわずとも、この十年を例にとっても不断に通貨発行量と地方債県を増やす事によって、政府投資が経済を牽引してきました。その結果、世界は中国が世界一の通貨印刷機になり、中国経済の高度なバブル化と地方政府が債務の泥沼に陥っているのをまのあたりにしています。
危機に直面して、去年12月の中央経済耕作会議も、今年3月の政府工作報告もどちらも「穏健な通貨政策」を実行すべきだとしています。つまりこれ以上、通貨と地方債を発行し続けてはいけない、ということでした。ところが一カ月もしないうちに、「微刺激」方案がでてきたということは、中央政府が経済発展ですでに策も力もつきはてているということを物語るものです。過去十数年、高速鉄道、大学都市、不動産業発展など政府の強い刺激が次々におこなわれましたがしかし経済成長を推進するすべはなく、かつ巨額の債務と病膏肓に入る経済構造が残りました。いま、再び政府が投資刺激策で経済発展させようとするいままでの道に戻るということは前経済構造が完全に望みがないということです。
経済構造の調整にはとりわけ中国と言うこの厖大な経済体では代価を支払わねばなりません。2008年は外資が中国から撤退する転換点でしたが、当時の不動産価格は2009年以後のような高いものではありませんでした。私はかって、あの時がおそらく中国経済構造の最後の調整のチャンスと書いたことがあります。しかし当時の中国トップは改選期にあたっており、政治的な危険を引き受けたくありませんでしたから、政府投資刺激という近視眼的な方法をとりました。
世界経済が困難に直面していたわずか一、二年の間は中国だけ不況に陥らず、「中国モデル」の優越性を示しこそしましたがが、それは却って中国経済構造の調整の最後のチャンスを逃してしまったのでした。2009年以後の巨額と牛の大部分は不動産と株式市場に流れ込み、不動産業を営む中央企業だけが大儲けをしました。
2009年から2013年の5年間、この種の業界は純利で二千億元も儲けましたが、その他の政府投資先の業界は 巨大な生産能力過剰に陥りました。現在中国の投資環境と2009年の間には大きな違いはありません。依然として新たな投資先領域はなく、「微刺激」方案は貨幣供給量を以前同様に増やそうとしており不動産業(新市街化計画)と株式市場に流れ込もうとしています。
関連部門は4月上旬に上海と香港の株式市場相互乗り入れ制度を開き、香港と内地の投資家は相手のマーケットで口座を開設してはならず、投資だけがオッケーであるとしました。これからみると、当局も「次の経済のホットポイント」がつまりは投機であるということがはっきりわかっているとみえますね。
現段階での中国経済政策のふらつきはぶりは月単位で変化しています。3月の政府工作報告が「穏やかな通貨政策」(経済方針)から微刺激(通貨緩和政策)になるのに一ヶ月しかかかりませんでした。政策のぐらつきは中国経済が政府投資依存で、中毒者が麻薬をやめられないようなものだということがこれからもはっきりと見てとれます。(終)
拙訳御免。
原文は 「微刺激:经济泡沫与投机继续膨胀」 http://www.voachinese.com/content/he-qing-lian-20140425/1901535.html