何清漣
2016年1月27日
全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun
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中国の株は相変わらず下がってますし、外国為替市場の危機も頻発しており、人々の心中にこんな疑問がわきます。「中国の金融危機はいつ爆発するのだろう?」と。今回は「中国の金融危機は焦眉の急」「しかし危機は当面爆発しないのはなぜ?」の二点をみてみましょう。
★危機迫る前に逃げ出すネズミたち
最近、中国農村商業銀行の株主が次々にタオバオで株を安売りしました。数えてみると去年の4月以来、タオバオで安売りされた銀行株は11行に及びます。中国の金融業にとってはこうした投げ売りは投資家が危険がくる前に逃げ出そうとしているわけです。
では、なぜ金融株の「一掃セール」ブームはおきていないのでしょうか?それは金融業界の参入障壁が極めて高く、資本の出し入れには監督部局の批准が必要だからです。農村の商業銀行は中国金融システムでは下っ端で、かつて金融拡張時期に地方政府が資金を吸収するためにうまれた業界で、その株の売買行為は基本的に監督部門の批准を必要としないのです。
中国の金融業の支配的地位をしめているのは国有商業銀行で、その株式所持者は一般に大変高い資格の国有企業や「戦略的投資者」としてみとめられた外国資本銀行であり、こうした大株主は株の所有権移転には関係監督部局の批准をへなければなりません。また地方銀行の資産というのは中国金融総資産の13.4%しか占めていませんから、金融業の食物連鎖では一番の小魚で、そこが安売りしたぐらいでは「在庫株投げ売り一掃セール」にまではなりませんし、またしたいと願ってもできない仕組みなのです。
とはいえ、こうしたこうした安売りセールは確かに銀行業界の利潤が急速に下降し、不良貸付が増えているという状況のもとでの避難行為には違いなく、金融業というのは投資家たちが懸命に頭をしぼったところでもぐりこめなかったおいしい独占業界ですから、もし危険の匂いがプンプン漂っていなければ、儲けが命の資本が逃げ出したりするはずがありません。
★中国金融業は敗血症状態
中国の金融業はたしかに敗血症患者です。過去、十数年、中国は世界一の通貨大国になり、金融は高度にバブル化しました。2003年から2013年の10年間、基礎通貨は88兆人民元増加し、外貨資産は3.4兆ドル増えましたが、その元は主に通貨の増発です。しかし中国の金融システムは敗血症の病人のようで、たったいま新鮮な血液の資金を投入しても、すぐあちこちで腐った血液(不良貸し出し)が噴き出します。
▶︎中国の銀行の不良資産の大きな特徴
⚫︎超巨額であること。
2015年9月から10月の間に、国際金融業界と投資業界が中国政府の発表した銀行の不良債権率について論争がおき、質疑のなかで中国銀行監査会は銀行の不良債権率を発表しました。
しかし、海外では中国の発表したデータの1.5%という数字には中国GDP伸び率のデータ同様、疑いが持たれています。国際金融業界では本当ははるかに多く、リヨン証券の推算では8.1%で政府発表の6倍にもなります。これだと中国銀行は7.5兆人民元、中国GDPの十分の一の資本不足になります。この政府発表と海外の推計のあきらかな相違の主な原因は二者の指標に大きな差があるからです。中国銀行は地方政府の債務、国営企業の債務といった政治的な原因の貸付金を不良債権として計上せず、帳簿上では黒字として計上されているのです。
⚫︎多元的な銀行の不良債権の原因
この多元化というのは中国銀行業界の不良債権の原因がかかわる主な経済領域のことです。その主なものは不動産産業、大型国営企業、巨額の地方債務がすべて原因となっています。
1;不動産産業は銀行の巨額不良債権
もし米国などの不動産市場でしたら需要が供給を決定し、供給過剰であれば売れなくなって業界は建設を中止します。原因は単純で誰も買わない不動産建築にお金を貸す銀行などないから企業が破産するからです。でも中国では違います。地方政府が財政上の必要から土地の供給量を決定し、国有商業銀行の貸し出しは地方政府の政策に従属しますから資金を提供します。これによっていつまでも新たに不動産を供給し続け、全国各地に「幽霊タウン」が50箇所もできました。国家統計局の相対的に控えめなデータでも現在全国の地方に売れないである住宅は4.3億平米、建築中の住宅44.4億平米、合計48.7億平米でこうした不動産への貸金は銀行業界の巨大な重荷となっています。
中央政府が不動産業を救いたいというのはつまりは地方政府の財布を救いたいということです。総合国土資源部、国家統計局、財政部のデータでは2004年から2013年の10年間に、中国の土地販売代金が財政収入にもたらした比重は40%を超えています。最高の2010年には69.4%に達し、以後、2011年59.3%。2012年43.6%、2013年59.8%、2014年は不動産業界の情勢が厳しくなったのですが、それでも全国の売地収入は依然として4.29兆元です。地方政府が財政を維持するには不動産開発を続けるわけですから、中央銀行が背負う巨額の不良貸付はますます重荷となっていきます。
2;国有企業が銀行の不良債権製造機に
中国の30以上の産業はとっくに生産能力が全面的な過剰状態になっています。こうした儲からない、高負債で損をだし続け、半ば生産停止状態の赤字会社に対して何年間も地方政府は雇用先を確保するために銀行貸し出しをさせ、各種の補助金を出し無理やり維持してきました。2015年12月に開かれた中央経済工作会議は2016年の6大主要経済任務を決定したときにこうした「キョンシー企業」をなくすことを重点工作の一つとしました。「キョンシー企業」は中国株式市場のA株上場企業のなかに266社あって一割を占め、業界は製鉄業、製炭業、セメント業、ガラス業、石油・石油化学、鉄鋼業、非鉄金属業などです。2015年12月初めまでにそれらの生産価格指数(PPI)は連続40ヶ月以上負債増加状態で8割が赤字です。
キョンシー企業の経営陣自らこうした企業は「死んでるように生きており、生きるも死ぬもならない状態」とのべています。こうした状態は地方政府、銀行、国営企業が続けることを望んでいるからです。なぜなら「脱産業化」は必然的に、① 現在の隠れ失業状態を表面化(約2000万国営企業労働者の失業)してしまう。② 大量の企業債務が銀行の不良債務になってしまう。あるレポートではもし二年以内にすべてが倒産するとしたならば企業の7割の有利息負債は不良債権となり、その影響を受ける債務は10671億元、一年あたり5309億元となる。そのうち1割が債券、9割が銀行債務で、毎年4800億の不良債務は銀行に対して巨大な圧力となります。
中国国営企業の債務が一体いくらあるのかは外部からはうかがい知れません。なぜなら政府は常に帳簿をいじるゲームをおこなっているからです。一例を挙げるだけでも、2015年10月22日の中国の財政部月報では一つは国営企業債務の総額が増えました。9月30日、中国国営企業の全体債務総額は77.7人民元(当時のレートで12兆米ドル)で中国のGDP総額を超えました。ふたつ目はその増え方の速さ。その前月の総額は71.8兆人民元だったのです。この意味は中国国有企業の月間債務増加量の債務は一ヶ月の間に6兆元(米ドルでは1兆ドル)増えたということで、これは月間増加量では最大です。ある分析ではこれは前例のないテコ入れ操作によって政府債務となっていたものをふたたび国有企業の債務に付け替えたものだということです。
★金融危機が爆発しないのは、中共の「銃」のおかげ
結論は
1;地方銀行の株主たちが危機を前に在庫一掃セールをしているのは中国の金融システムのなかで地方銀行が最も中央の保護をうけられない末端だから。金融システムがトカゲの尻尾切りをするなら地方銀行こそがその腐った尻尾になる。
2;中国禁輸システムの不良債権は「うまくくのも政府次第、ダメになるのも政府次第」であること。国有商業銀行の主要任務は中国政府の経済発展大計画に奉仕することであり、地方政府が税制収入を維持したいと思えば不動産市場が深刻に過剰供給状態にあっても依然として不動産業界を先頭に、現地の就業先としての国有企業を維持することを保障しなければならないのでその結果、銀行業かには天まで届くような不良債権が積み上がります。
3;中央政府は普段に各種のやりかたで銀行の不良債権率を引き下げようとしている。1988年にできた4大資産管理会社の不良債権はがし;2005年から各種の銀行の戦略的投資者として外資銀行をひきいれ、多くの国有商業銀行を再包装して株式市場に上場し株投資家に購入させた。この山のような不良債権をいかにして消すかは現在その方法を考慮中。
4;中国政府は100万人の武装警察をもってもっぱら国内の治安維持にあたらせており、これはあらゆる「文官的」な方策が尽きても各地で取り付け騒ぎがおきない保障となっている。2015年、e租宝や泛亜など多くの金融商品が破産し万単位の投資者の財産がきれいさっぱり奪われましたが、それでも全国的な集団性騒擾事件が起きなかった、ということは中国政府の分離方式がこうした中小の火事を消し止めることができるという証明です。考えてみれば実弾をこめた銃を持つ武装警察や私服警察がゴロゴロしている銀行の前で誰が大騒ぎをおこせるでしょうか?(終)
拙訳御免。
原文は;何清涟:中国的金融危机为何总不爆发?
http://www.voachinese.com/content/heqinglian-china-economy-20160126/3164334.html